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おひとよしシーフ(Lv99)による過去改変記  作者: はむ
第七章 中央教会の聖女コロン
64/208

064-救いのないセカイ6

~廃城から発掘された日記より~


【聖王歴128年 黄の月 12日】


 ついに恐れていた事が現実のものとなってしまった。

 森の魔物を殲滅すべく、討伐隊が送り込まれる事になったのだ。

 しかし、本当に森の魔物達は全て悪しき存在なのだろうか?

 確かに巨大なドラゴンに私は誘拐された (今も記憶が不確かで、全て私を騙すための嘘なのでは無いかと疑っている)が、そもそも今は亡き子竜のピートと私は親友同士であった。

 例え種族が違えど、きっとわかりあえるはずなのに。

 だけどもう私の声は届かない。

 誰か助けて……!


【聖王歴128年 黄の月 13日】


 中央教会から大司祭がやってきて、ありがたい教えとやらを説いていった。

 そんなもの幼い頃から、散々聞かされてきているのに何と今更か。

 曰く、神は始めに人を創り、その血肉とする為に動物達を地に放った。

 それを横取りするために悪魔の世界から現れたのが他種族で、人の姿を模倣したズル賢い者がエルフやダークエルフなのだそうだ。

 ……バカじゃなかろうか。

 その理屈でいくと、草食動物である森ドラゴンの説明がつかないではないか。

 それに、他の動物達の存在意義が私達の血肉にするためなどとというのも、殺生を正当化するための詭弁きべんにしか思えない。

 だけど、今の私がその本音を言ったところで、悪魔が取り憑いただの適当な言い掛かりを付けられるに違いない。

 どうしてこうなってしまったのだろうか。


【聖王歴128年 黄の月 14日】


 城に戻ってきた騎士や魔導士達が、今日は何匹ドラゴンを狩ったやら、臨時報酬で夜の酒が美味そうだと楽しそうに会話していた。

 何故だろうか。

 神に創られし偉大な生き物であるはずの人間達が、酷く醜く見えてしまうのは。

 正義の名のもとに、か弱い動物達を痛めつけているようにしか見えないのだ。

 もしかして、私は本当に悪魔に憑かれてしまったのだろうか?

 わからない、わからない、わからない。

 誰か教えてほしい。


【聖王歴128年 黄の月 15日】


 何故そこまで東の森に執着するのかと大臣に問いただしたところ、どうやらそこが中央教会が定める『全ての始まりの聖地』であり、私達の魂が天に召される時にそこを通る、というのが理由らしい。

 別に魂の通り道なのであれば、森にドラゴンが居たところで何の問題もないと思うのだが、大臣曰く、邪悪なドラゴンに支配された森は瘴気に汚染され、天界へ繋がる門が開かなくなるのだそうだ。

 では、実際に誰かがそれを確認したのかと問いただしたところ「そうに決まっています」と意味不明なことを言い出したので、彼の言葉に何の信憑性も無いことだけは分かった。


【聖王歴128年 黄の月 16日】


 ついに明日「聖地奪還作戦」が決行されると報告があった。

 それはつまり、森のドラゴンだけでなくモンスター達も全て根絶やしにするということだ。

 でも、そんなことをすると森の動物達だって巻き込まれてしまうだろう。

 それに、秘密のお花畑も……。

 ピートとの思い出の場所を誰かに踏みにじられるなんて許せない!

 どうにかお父様を説得し、私も現地へ赴くことになった。

 私の前で絶対にそんな事はさせない!

 

【聖王歴128年 黄の月 17日】


 聖地奪還作戦なんて名ばかりだった。

 あんなものは奪還などではない……単なる侵略と略奪だ。

 正義の名のもとに、逃げ惑う魔物達を後ろから襲い■■■■■■■■■■■■■■書いていて気分が悪くなってきた。

 惨状を思い出したくない。

 もう嫌だ。


【聖王歴128年 黄の月 18日】


 兵士の一人が「聖地らしきものを発見した」を報告してきた。

 この男に案内され森の奥で見つけたのは、苔だらけの黒い石板がひとつ。

 ■■なモノのために、多く■生き物達が命を散らしたのか?

 こんなモノを手に入れるために、美しい花畑は軍足で踏みにじられたのか!?

 聖地■こんなに血塗れにして……天がそれを許すのか?

 もしそうだとすれば、この世界の神は何と残酷な■だろう。

 本当に分からない……。

 もう、この日記の続きを書くのは止めよう。

 何も信■られない。


  ■      ■


       ■


【聖王■130年 青の月 ■■日】


 あの日に起こった事の全てが■りだった。

 もう一度■り直す事ができるなら。

 今度こそ、今度こそ――――――――――――――

■■■■■       ■ ■ ■

■■■■■■      ■ ■ ■ ■

■■■■■■■    ■ ■■■■■■

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