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呪縛のルカ〜約束は幾千の死を越えて〜  作者: 白希
Chapter Ⅰ Prescience
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Episode27 闇に潜む




 深い闇が街を覆い、街灯の明かりが孤独な影を写し出す。静寂に包まれた都市中を、風が静かに抜け、軽やかなざわめきを運ぶ。一筋の月明かりが空に浮かび、都市中を神秘的な雰囲気で満たす。

 そんな中、それぞれの心に抱えた想いが、静かに寄り添いながら、夜の神秘に包まれていた。



「どうだ?」


「うん、気配は感じないかな。」

  

 そのような都市の路地を、壁に背を張り付かせ、周囲を確認しながら慎重に進む者たちが居た。


「エフィ、ごめんな。少しの間だから我慢しててくれ。」


 カナデの優しく発された言葉に、言われた本人は“コクコク”と素早く頷いた。


(にしても、エフィは軽いな。やっぱり、あの村での扱いが……この都市を抜け出せたら、俺もお金を稼いで、エフィに好きなものを気兼ねなく食わせてやれるくらいになんなきゃだな。)


 カナデはエフィを“しっかりと抱き”ながら、思案に耽る。

 

「………」


 真暗がりの中でカナデには全く見えてはいなかったが、エフィの様子はといえば、頬を真っ赤に染め上げていた。

 そんなエフィの状況を説明すれば、エフィがカナデの首元へと手を回し、カナデがエフィの背と太ももを支えた状態───エフィはいわゆる“お姫様だっこ”をされていた。


「行きましょう。もう少しで城壁が見えてくるはず。」


 イルの言葉に、カナデは思案に耽っていた顔を上げれば、確かにもう少しの所まで城壁が近づいていた。



 カナデとイルが話し合いの末に辿り着いた方法は、神聖使団の目を掻い潜り、都市を人知れず抜け出すことだった。

 深夜を選んだのにも理由があり、




────────





「なぁ、イル。実際のところ、ハイヴォスに勝つことって可能なのか?」


「悔しいけど、間違いなく無理だね。まともにやりあって勝てる相手じゃないよ……ただ、」


「ただ?」


「ハイヴォス大司教が持つ魔導封印にも、弱点はある。」




────────





 ハイヴォスが持つ強力な固有魔法にも、唯一の弱点と言えるものがあった。

 それは──、


「視界に捉えられなければ、魔導封印は発動できない。その為に夜か。」


「これだけ暗ければ、発動条件を満たすのは簡単じゃないだろうしね。」


 魔導封印は、使用する相手を肉眼で捉えられなければ、発動できないものだったのだ。それを心得ていたイルは、夜に行動を起こすことをカナデに提案していた。


 三人が進む路地には街灯はなく、月明かりだけが微かに彼らを照らしている。前へと目を凝らせば、月明かりの中でも、目立つ高々と聳える城壁がもうすぐという所にあった。

 それを目で捉えて、三人が静かに安堵の吐息を漏らした…


 そこへ──、



「ねぇ、君たち。こんな夜更けにどこに行こうと言うんだい?」


 突然に、上方から声をかけられる。

 三人が何事かと、視線を上へと動かせば──、

 月の光を背負って城壁の上にて胡坐をかき、カナデたちを迎え入れるかのように、仰々しく両腕を広げる金髪の若い男がいた。


 カナデはその者を目で捉えて、

 そして、鋭い視線をその男へと向ける。


「おいおい、何さ。初対面なのにいきなり睨んでくるなんて、随分なものじゃないか。」


 カナデのそんな視線を受けて、ヘラヘラした様子で、実際は思ってもないだろうことを口にするその男の服装は、


 ──黒


 暗闇の中に溶け込むかのような、全身黒ずくめだった。


「神聖使団ッ!」


 カナデが怒りに身を震わせながらそう叫ぶと、彼は金髪を夜風に靡かせながら恭しく一礼して、


「お知りいただけているとは、光栄だね。神聖使団所属、7つある司教区の内、カリタスを預かるエルドラル・ミリエンだ。よろしくね。」




 カナデたちに新たなる脅威が立ちはだかった。





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