表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤い月が見ている  作者: 日向あおい
第五話 風にのせて
33/47

(1)

 なんだろう。すごく気持ちがいい。

 

 ここはどこだろう。

 ひどく真っ暗で、何も見えない。

 

 なんだかふわふわして、よくわからないや。

 僕は、死んだのかな。

 そうなんだ、そうに決まってる。

 

 だって、あんなに矢が飛んできたもの。

 助かるわけないよ。

 

 そうか。

 僕は死んだのか。

 やっと死ねたんだ……。

 

『ばか言ってないで、目を覚ましなさい』


 え?

 その声はゆきしろ?

 

『いいから、目を覚ましなさい』

 

 目を覚ますっていったって、僕はもう死んだんだ。

 どうすることもできないよ。

 

『あんた死ぬってわかってるの? 死ぬためには、生き物でなくてはならないのよ』

 

 え、何?

 それはどういう意味?

 

『生きているから、死ねるのよ』

 

 何を言っているのかわからないよ。

 僕だって生きていたじゃないか。ちゃんと、息をして、ご飯を食べて、笑って、泣いて!

 僕が生きていなかったとしたら、あれは何だったって言うんだい?

 

『わからない子ね。確かに、そのイレモノはヒトだわ。ヒトの形をしている。でも、あんたは生きていない』

 

 えっ?

 

『でもね、そのイレモノはもう“モタナイ”のよ。あんたが、“こっち”に残るなら、新しいイレモノが必要になる』

 

 わけがわからないよ。モタナイとか、こっち、とかイレモノってなんだよ!

 

『いいわ。あんたも一緒にここへ入りなさい。これもそう長くはモタナイだろうけど、今は贅沢も言っていられないでしょう?』

 

 ちょっとまって。

 何、勝手に話を進めないでよ!

 

『さあ、こっち


 ────こちらへおいでなさい、鬼火の子よ……』

 

 

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 「まあまあ面白かったよっ、これからもがんばりなさい」ということでしたら、『お気に入り登録』してやってください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ