78話 空を奏でるもの
「全ての場面でGKには揺るぎない自信が求められる。それをわずかでも欠いたり、怪我を恐れるようなことがあれば、すでにソイツは偉大なGKなどではない!」 byブッフォン
やはり思い通りにはいかないものだ……。
大きく息を吐いて澄み切った空を見上げる。
両手で持ったボールをクルクルと回して、ヘソが真下に来るようにセッティングする。
ずっと頭の中で、今日の事だけを思ってやってきた。シミュレーションだって、しすぎたぐらいにやってきたはずなのに……。
でも――、
だからこそ面白い。
完璧だと思ったものが、さらにそれを上回るレベルで返される。もう一度、それを越えなければならない試練に内心で富良都はほくそ笑む。
(さすがは世代最高峰。挑み甲斐がありすぎて泣けてくるよ、全く……)
自分のライバルは『最高の選手』というフィルターのせいなのか、誰よりも司を完璧なサッカー選手と見ているのは他ならぬ富良都本人である。
研究されたら、能天気に『それを打ち破ろう』なんてのたまう本当の司の残念な現実は彼の持っているイメージには含まれてない。
まさか本当の敵がマネージャー達の分析班だとは思いもよらない富良都であった。
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「大体20メートルってところダネ」
古沢が難しい顔をしながら続く。
「キーパーから見て少し左に過ぎるから、右利きだと中へ逃げるボール……。直接なら外から巻いてくるってところかな?」
「間違いなくカレは狙ってくるヨ。だって、そういう顔してる」
バウジールの言葉に洋二も頷いた。
眼光鋭くゴールマウスから目を離そうとせず、富良都はただひたすらにゴール両角を交互に睨み続けていた。
「あの顔が演技だったら、それはそれで凄いですけどね。でも、彼はそういう腹芸をするタイプではなかったような……」
不安そうな洋二に気遣ったのか、バウジールは優しい顔になる。
「ガリーニョに言われてさ、楠のためにカレのキックは沢山見たよ。確かにこの年代では突出しているケドネ……」
「JPだと別に……。下から数えますよ、僕は」
途中でテレビから全く目を離さず古沢が断言する。
確かに古沢にしてみれば、練習ではブラジルの新旧10番を相手にして、試合では元西ドイツ代表の世界王者や元アルゼンチン代表であのマラドーナと対抗したレフティーなど錚々たるビッグネームが並ぶ。
「それでもウチの大将のフリーキック以上は世界中いないですよ」
言葉の外に『特訓してきただろ!』という熱い想いがこもっているのが伝わってくる。
洋二は古沢の言葉に強く頷くと、ブラウン管の楠へとエールを送った。
「楠の真の強みはネェ……、」
いまだに話し続けるバウジールの声は耳に届くことは無かった。
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「森山! 二歩左!! 間開けんな!! 不破、麻野もっと寄れ!」
ガンガンとポストを足裏で蹴りながら壁の作り方に指示をだす。
対富良都対策として、直線上のコースは開けて、左右に二つの壁を作る作戦だ。外から巻いてくる可能性が高いため、デカイ奴は外側に配置してある。
コースが切れないより出どこが見えない方が、こいつの場合は質が悪いという判断だ。
一応、蹴る前は中に氷高が立っているが助走の瞬間に中へ入ってくる予定だ。敵が入ってこないように邪魔する役目も担っている。
「OK! グッジョブ!!」
親指を立てたところで、一つ深呼吸。
空を見上げていた富良都 奏良と一瞬だけ視線が交差する。
すぐに視線は外されたが、内側に助走を取った富良都を見て右側に半歩ほど移動して、左足に重心をかける。
そして再開のホイッスルが鳴り響いた。
今年も海外(ニュージーランド産)のGkがやってきましたね。でも、それは外国人枠が増えたからの恩恵なのでしょうが、三つのままだったらどのくらいのチームがGKに使うのかな?と思うこともあります。
ディドが来た時に、試合でスローを少し前に出してあげていたら、チームメイトは「意地悪するな」と全て足元に要求されたそうです。今とは隔世の感もありますが、日本はJリーグが出来る頃はその辺のレベルだったのです。それが今じゃBチームとはいえ、ポルトガルの名門で活躍する若手なんかも出てきて凄いとしか言えないですね。
なんか上手くまとまらなくて申し訳ないのですが、今年もサッカーが楽しく行えるといいですね!ということで、終わりにしたいと思います。




