75話 その男、キレたら凶暴につき ~内村宏樹~
「気でも狂ったか!?」 By R.バッジョ
94ワールドカップで途中交代を命じられた時にサッキ監督に向けて。本当は、もっと過激な禁止コードの言葉でした(このキ〇ガイめ!!)
整列を終え、それぞれがピッチへと散らばっていく途中、敵の10番、富良都を視界の片隅に捉える。
過剰なほどにうちの司さんを敵視している一年坊だ。
僕もアンダー17で何度か一緒にプレーしたことはあるが、ハッキリ言って傲慢で嫌いだった。
司さんとはJrの大会でチームメイトだったとはいえ、彼を尊敬するものとしてその行いと振る舞いは、目に余るを通り越して、不愉快の極みと言っていい。
何より許せないのは、だ。
先日の望月先輩が持ってきたビデオの中で、『八神の相方はどうすんだ?』という誰かの質問があった。
それに対し、富良都は何と言ったと思う?
『ああ、内村さんですね。その人は小者なので、泳がせておけばいいです。どうせ横か後ろにしかパスしないので!』と宣りやがった。
カッチ~ン来たね。カチンどころじゃない。
カ・ッ・チ・~・ン!!だ。
お前は代表で虹野さんと嶺葉さんの関係を学ばなかったのか、と。勝利の為に,あの虹野さんでさえ裏方の仕事に徹していたというのに……。
ムカつく、イラつくどころの話じゃない。
――絶対ぶちのめして、這いつくばらせた挙句……、泣かせてやる!!
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「うーん。代表以来かも……」
いつもより後ろの場所へ向かう八神先輩の声。違和感こそあるけど、別に心配も不安もしていない。むしろ安心感の方が強いぐらいだ。
その理由として、今、本人が言ったようにJrのワールドユースでスクランブルながらCBを無難にこなした実績がある。
しかも、その時に対峙したのがあのクリシュナーダや、リカルド・サンターナとナシメントのコンビといったとんでもない化け物たちだ。
挙げ句、練習では毎日のように司さんとマッチアップしてる。
越野には悪いが、最終ラインが全員右利きになったぐらいしかマイナスポイントはないし、こと守りに関して見れば安定感は上がったんじゃないかな。そもそも越野の左足を頼るほど繋ぎで苦労したことないしなぁ。
う~ん。
『キーパー含めてディフェンス全員その国の代表』って、敵からしたら普通に嫌だろうな。
楠さんも不破さんも最近、前より頼りになる感じだし。
そして、ホイッスルが鳴る。
さて生意気な一年坊に、お前が毛嫌いする司さんに二年間みっちり鍛えられた僕が、身の程を教えてやるとしよう。
うちのキャプテンより上だって言うなら、僕ぐらい簡単に剥がしてもらわないとね(にっこり)
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最初の接敵は意外にも早くやってきた。
敵のパスが少し前目にズレた富良都が追いかける形になったのだ。
ブラインドからチェックしていた僕は、スッと奴の前に体を入れる。
離れたボールに気を取られたせいで、富良都は僕を予期してなかったのかガツッと背中に突進してきた。
……本来なら倒れてファウルを貰ってもいい。
だが――、そこであえて思いっきり急ブレーキして全力で体を張る。
次の瞬間、『ガチン』って音がして後頭部に痛みが走り、振り返る。
すると富良都が口を押えながら悶絶した表情で倒れていく。
一瞬だけ審判を見る。
――ノーファウル。
当然だ。何もしていない。一旦、ボールを外に出してやり、倒れている富良都に手を差し伸べる。
「ほれ、さっさと起きろ! 大体、このぐらいで倒れんなよ? うちのキャプテンならもう一回体入れてくるぜ?」
右手で引き起こしながら、なるべく爽やかに笑う。
富良都はホントに痛かったのだろう。左手で口を押えながら睨む目が少しだけ涙ぐんでる。
……取り合えず、出だしでぶちのめした! だが、まだまだ。結果もそうだが、内容でも、一対一でもマジで泣かす! フルで泣かす! 全力で泣かす! 明日まで泣かす!!
なにせ俺と富良都のデートは始まったばかりだからな。
最近、仙台のスウォビィク選手のプレーに惹かれています。
あまり話題に上がらないのが不思議なほど上手いと思うのですが、何でなんでしょう。ステップの上手さ、大きなプレジャンプがほとんど無い、体を活かしたダイナミックなコース切り。大きいのに反射神経も俊敏性も高い。見てて「きれいだなぁ」と感嘆しています。
それなのにヨーロッパの試合だと、もっと上の選手見ててもあまり感動が無いんですよね。あれが当たり前のレベルになってくるからなのかな?と思ったり。
あ、アリソンの足技とキック精度は素で引くレベルでしたね。でも、個人的にはアボンダンシエリのキックが一番好きでした。早くて低い弾道が美しかった。あ、両足蹴れるコルドバも忘れちゃいけませんね。
海外だけの代表にキーパーもなれたんだから、そういった部分も早く世界に追いついた、並んだと呼べるキーパーが日本にも出てくれるのが待ち遠しいですね。




