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おい!今度の行き先はサッカー漫画だってよ!?  作者: 赤星べお(※完全なPNにしました)
最終章 Just like a wavin’flag
85/105

70話 転がる夢なんだよ 捉まえたいのは

「前に出ること。それだけでサッカーは即座に美しくなる」元本代表監督オシムさん


「くっ!?」


 和泉がサンドロに裏街道をやられ慌てて反転して追いかける。 


 ……が、


「は~い。ご苦労さん」


 そこへぬっと現れた西がサンドロの前方を塞ぐ。もうすでに何度目かの光景だ。


 ぐいぐいとサンドロに尻を当てながら右手で俺にチョイチョイと手で合図をする。


 ちゃっちゃと拾え! という訳だ。


 すでに飛び出そうとしている俺より早く相手FWも挟みに動き出そうとした瞬間――、


「うわぁぁ!?」


 盛大な悲鳴と共にボールをお腹で包むようにして前のめりで西が倒れる。


 ……チョットわざとらし過ぎない?


 ピー! っていう笛が鳴ると同時に西は平然と立ち上がり、何事もない顔で山なりにボールを投げてよこす。


「うむ。満足な判定じゃ」


 そう笑顔で言い放ち緩い感じにポジションへ戻っていく。


 うん。これにはサンドロさんも激オコだ。


「全然押してナイヨー! ホントダヨ!! アイツからケツこすりつけてくんだヨ! もっとよく見てヨ!」


 慌てた様子でFWに入っている他のブラジル人選手が『カーマ、カーマ』と宥めに入る。


 ……しかしまぁ、西も言うだけの事はありやがるな。


 なぜか味方のくせに悔しい感じがしてきて複雑な心境だが。サンドロの心境も分からないではない。


 多分だが、サンドロからしたら薄く透けたTバックスパッツを見せながら恍惚の表情で尻を当ててくる西は気持ち悪い存在以外の何物でもないだろう。本当にそんな表情をしているかは適当だけど。


 かなりの確率で、すでに『コイツ、ゲイだ』と認識されているはずだ。

 だって、もの凄く嫌そうな目で西を見てるもん。


 は、待てよ!? もしかして、それも計算の内だというのだろうか? 

 もしそうなら評価も『なんて恐ろしい子』に改めるべきなのかもしれない……。


 そんな中、八神が司に当てた縦パスをフリックして後ろに流したのが、森山への最高のアシストになりあっさりと先制に成功する。


「うおっしゃぁぁぁぁ!!」


 一目散でダッシュをする森山は脇目も振らずに川上監督に抱き着きに行く。


 ――こっちは全て計算通りだ。


 最初のゴールはまず監督と喜びを分かち合う。映像的にグッとくる感じが望ましい。


 なんていうか……仕込みだ。


 遅れて他のメンバーも合わさり一体感を醸し出しながら喜ぶ。


『厳しい指導ながら選手たちから厚い信頼を得ているのはその人柄と熱意によるものだろう』


 特集の際にはそんなテロップが下に出されそうな絵面を意識している。


 そんな中、ぼっちでセンターサークル内で、わざとらしく靴紐を直している越野にもグッジョブを送っておこう。

 それぞれがそれぞれの役割に徹する。


 それが鹿島南魂だ! 



 ……だから、俺にもなにか役割を頂けると嬉しいヨ?


 


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 サンドロは西が心底気持ち悪いらしい。


 中に入れそうでも縦への突破へとメインに切り替えたようだ。和泉が一対一で遅れを取っていることもあり、八神が囲みのサポートに回ったのも理由の一つになるだろうが。


 アーリークロスへの対応と中へのコース取りは八神がしっかりと行っている。結構遠めからでもちゃんとコースを切ってくれる辺りは本当にありがたい。


 結果、だいぶ縦に切り裂かれることはあるのだが、その辺の対策は変態の西がしっかりと対策している。


 深めに入られたとしたら怖いのはゴール前への速いボール。それの対応は俺だ。角度がない分、横切るボールにだけに集中出来るのは大きなアドヴァンテーシだ。


 次にマイナスへのボールだが、引いた内村と西が重ならないようにカバーしている。高めのボールに関しても麻野や越野が絞って警戒している。


 基本的にサイドから入れられたボールが対象に届くまでに最低でも二枚、多ければ三枚のフィルターが行くように調整している。この辺は夏からの連動の成果が十二分に出ていると言えるだろう。


 その結果、全く危なげない形で前半を一対〇で折り返すことになった。



「おうっし、よくやった! この調子で行くぞ!!」


 ロッカールームでテンションがおかしなことになってる川上監督が声を上げた。


「監督。これ」


 そこへスッと現れた望月が数枚のレポート用紙を監督に手渡す。

 前半の気付きや修正点などが記されてあるだろうレポートノートに後半の傾向という文字も目に入ってくる。


「守備に関しては今のところ注文はない。サイドがやられても焦ってつり出されないこと。しっかり中を絞ってそこで勝負しろ」


 県予選の時は結構ルーズだった指示はさすがに細かくなっている。

 選手同士のやり取りも真剣みが出てきており、もっと良くしようという気持ちがみんなから見て取れる。

 

「ディフェンスラインはさ、ただ横に繋げるんじゃなくてタイミング見てもっと前にダイレクト入れなきゃ! あれじゃ瞬が前向くの大変だろ? リズム変えないと! ボランチで時間作れるように出すほうが気使わないと」


 司の言葉にスポーツドリンクを飲みながら西が頷く。

 

「麻野もさ、中が怖くても相手のリズムを崩す事考えなきゃ。切り替えのスピード上げないと! 内村ももっと貰える様に角度考えて!」


 中央で司がそれぞれに注文を出していきお互いの意見を出し合っていく。

 

 そういった選手たち同士の確認が一通り済んだのを見て、再度監督が声を荒げる。


「時間が経てば経つほど相手は難しくなる。二点取らなきゃいけないからな。それで負けてる相手が考えることは分かるな? 攻めてくるぞ! でも、その分相手の後ろには大きなスペースが出来やすくなる!!」


 そう言ってホワイトボードに書かれた相手の両サイドバック辺りの場所を黒のマジックでぐりぐりと円を書きなぐる。


「そういったスペースを氷高や司は意識していけ! 和泉も行けそうだと思ったら行けよ? 上がってこれないと思わせたら、その時点でお前は負けだぞ! 沢入と佐倉は交代。佐倉は何を求められてるか分かるな? スピードだぞ、スピード!!」


 マシンガンのような監督の言葉が続いていく。


「氷高、お前足りないからな? もっと参加しろ!」


 名指しで指名されて少し口を尖らせた氷高の向こうでは、司が若干緊張気味の佐倉の肩を優しく叩いている。

 そして今度は軽く拍手を二回。


 ――パン、パン、と。


 全員の注目が集まる。


「これはゲームだ。必ず勝てるゲームだ! さぁ、行くぞ!!」


「「おう!!」」


 

 ――そして、後半の幕が開ける。


 今回はトルシエさんをイメージした回になっています。良くも悪くも日本サッカーにおいて大きな成長を促してくれた方だと思っています。


 キャラクター方が話題になっていたことも多いのですが、フラットスリーやウェーブといった戦術も有名でしたね。はたして森保新監督は、どんなサッカーを見せてくれるのか楽しみです。個人的にはキーパー出身の監督とか出てきてほしいんですが、クラブチームレベルでもなかなか難しそうですねぇ……。

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