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おい!今度の行き先はサッカー漫画だってよ!?  作者: 赤星べお(※完全なPNにしました)
2章 スーペルゴレアドール!
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51話 君の世は さざれ石の 想いとなりて 恋のなすまで

サッカーの神様は、いつも僕にだけちょっと優しい。


 by フェノーメノ

「お、覚えてないんですか!?」


 素っ頓狂な声をあげた芝浦の視線が痛い。

 

 と、いうことで――、

 そのままさりげなくさっきのベンチへと誘導する。

 絶対に余計な注目を浴びてしまう事が、最近多い事で生まれたリスク管理である。


「い、いや、ごめん」


 小さく頭を下げる俺に、まだ信じられないといった表情を見せている。


「ま、まさか前の先輩に戻っちゃったんじゃないですよね?」


 言ってる事がよくわからない。

 というよりも、むしろ戻れなくてここにいるんだが、俺は……。


「私と最初に会った日の事、覚えてます?」


 さっきのベンチに戻った瞬間に、簡単な質問が飛んできた。


「勿論。司に病院行けって言われた日だろ?」


「…………」


 あれ? どうやら間違いらしい。

 おかしいな。確かに楠の記憶の方も確認したはずなんだが。


「はぁぁぁぁ~~」


 芝浦がひと際大きなため息を吐きだした。


「ん、何ですそれ? それって七月の終わりですよね? 四月からマネージャーしてる後輩を認識するのに三ヵ月も掛かってるってことですか?」


 ……思わぬ地雷だったみたいだ。

 言われてみれば確かにその通りではあるか……。

 絶対、新入部員とかマネージャーの挨拶とか無いはずないだろうし。


(……何で記憶にねーんだよ、楠!)


「じゃ、じゃあ私がマネージャーの話をしに行った時の事も覚えてないんですか?」


 慌てて一生懸命、楠のメモリーを漁るが――、


 ……無い。


 そんなシーンは全然入ってないし、それどころか芝浦に関することすら入っていない……。


 流石は、脇役とモブの関係性といった所だろうか。


「うぅ。覚えてないです。ごめんなさい……」


「はぁ……、もういいです。今更、怒るつもりもないんですけど……ねぇ?」


 ちょっと不貞腐れたように芝浦は、ガクッと首を垂れる。


 その後、芝浦から記念すべき初対面ファーストコンタクトの内容が明かされた。


 ()()()()、俺を探して『サッカー部のマネージャーになりたいんですけど』って勇気を持って言いに行ったこと。


 それなのに、『俺、知らない。向こうに司、……皇いるから言ってくれば?』と冷たい対応された事。

 しかも、向こうって通路とトイレしかなくて、男子トイレの前で司を出待ちするのか? って軽いパニックになった事。

 結局言えなくて、後日神津と川上監督の方にお願いしに行ったこと。


『何気に結構恨んでます』というのも、付け加えられた。


「それは、本当に済まなかった」


「はい。許してあげます」


 詫びる俺と許す芝浦のこの距離感。


 あまりに心地良過ぎて流されそうになるけど……、

 彼女の想い人は俺でなく楠だ。もう一度、心の中でその事実を確認する。


「でも、あの頃の先輩だったら、私、絶対好きにならなかったと思います!」


 そう! 彼女の想い人は俺でなく楠だ。もう一度、心の中でその事実を確認……、って、オイ!?

 ちょ!? 今、その前提壊れたっぽいんだが?


「普通に冷たかったですよ? 私とか他のマネージャーが話しかけても、何かぶっきらぼうで。でも、有名人だし、そういうモンなのかなぁって思って。だからあの時、一緒に病院行けって言われた時は、まず怖いって思いましたもん、正直。でも、なんかすぐに『いつもと違う』って気付いて……。あれ、何だったんですかね?」


(まぁ、中身が変わってますから……ね?)


「急に優しくっていうか、人が変わったかのように打ち解けてくれましたよね? 昨日今日だって、前の先輩だったら、絶対楽しくたこ焼きなんて焼いてないですよ? それどころか紺野先輩と仲良くまでなってるし……、大体ですね! そもそも先輩は――、」


 ちょっと話を変えた方がいいな。

 何気に核心を突いてる事に気付かれても困るわけだし。


 それにさっき、絶対に聞き逃してはいけない事を言ってたわけだし。


「それよりさっき『あの頃の先輩だったら好きにならなかった』って言った? それって、今の俺なら……ってこと?」


「ふにゅ!?」


 何か変な声出た。

 さっきまで饒舌に喋ってた芝浦が、あっという間に『あー』とか『うー』しか言えない状況に陥っている。

 しかも首をブルブル振って、遅れてくるポニーテールに顔を叩かれて悶絶してる。

 しっかりしているようで、実はボケてるのも何だか可愛く見えるのは、欲目なんだろうか?

 

「ええ! 好きですよ! 悪いですか? 何か文句ありますか? 夏休み、一緒に喫茶店行ったり、スポーツショップ行ったり、楽しくてしょうがなかったですよ! リボン褒められた時は嬉しくて恥ずかしくて、素っ気なくしちゃった事は今でも心残りですが何か!?」


 プルプルしながら、真っ赤な顔で捲し立てる芝浦の勢いは止まらない。


「先輩だって、何か変な日本語だったじゃないですか!? ブラジル人みたいな!」


「なっ!? それは触れるなや?」


「何です? 似合ってるジャナイカナって? 似合ってるなら似合ってるでいいじゃないですか?」


 言い訳と見つめあいが過ぎて、どちらかと言わずお互い同時に笑いだす。

 

 結局は、お互いの今が大事であり大切であることに変わりはない。

 そんな簡単な事に気付き、確認しあうまでの時間だったという事なんだろう。


 昨日の様に芝浦は離れることもなく、後夜祭は静かに終わりへと向かう。

 

 ゆっくりとした時間は名残惜しく過ぎ去っていく。

 そうして、すぐにまた新しいステージが足早に近づいてくる。


 言うまでもなく、最後の選手権――、


 静大付属を叩いて気持ちよく大会を迎えたいところだ。

 

 このメンバーと最高の結末を迎える事を!

 芝浦に優勝と笑顔を届ける事を!

 そして、プロへの足掛かりと自信を手に入れる事。

 

 芝浦も優勝もこの世界での居場所も……、全部手に入れるために。


 この夢と想いが、最後に大きな一つの未来に重なりますように。


 


 


 



 

 日本勝ちましたね!うーん、このサッカー付けの毎日でも、やはり自国が勝利すると感激が全然違いますね!


 ワールドカップも勿論ですが、インハイなど熱い戦いが繰り広げられている今、現在。

 世界の有名選手のプレーを簡単に見られるのは、若い選手たちには素晴らしい環境ですよね。

 自分の頃は媒体が新聞や雑誌等がメインだったので、羨ましい限りです。


「クライフターンってどんなの?」とか言ってました。漫画やイメージが先行し過ぎて、良く分からない複雑なターンにガラパゴス進化してしまってたのは、笑い話であり、サッカー部のコミュニケーションの一つでもありました。


ま、作中はそんな時代という事です、はい。

いやぁ、日本!良かった良かった!

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