表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おい!今度の行き先はサッカー漫画だってよ!?  作者: 赤星べお(※完全なPNにしました)
 序章 スケープゴートへの転身。そして、それから……。
6/104

6話 完璧超人のポンコツ具合

 滞りなく練習は終り、最期のミーティングに移る。


 暑さは和らぐこともなく、ウンザリするような地面の暑さ。メンバーはその場で座り込み、半円を描くように司と相対する。


「8月の第2日曜日に練習時試合が決まったらしい。あと、月末にも壮行試合としてJリーグの鹿島ワンダーズとのトレーニングマッチも計画してるみたいなので、各自コンディションを整えておくように、と監督から。それとディフェンスについてだが、監督の方で明日からしばらくラインコントロールとか守備の約束事を始めるみたいから、各自気を引き締めてくれ」


「「おう」」


「では、今日の練習は終わり。解散!」


 司の声が響き、みな散り散りになっていく。


「楠はちょっと待ってくれ!」


 さっきと同じように俺だけ…。

  

「さっきの話だが、楠ってプレジャンプいつの間に辞めたんだ?」


「プレジャンプ?」


 ん? プレジャンプってなんぞ? なんか漫画雑誌的な響きだが? 俺の持つボキャブラリーには残念ながら見当たらない。


「良く分からないけど、俺は始めてもないぞ? 森山辺りなら持ってんじゃないの?」


「……? 何かと勘違いしてないか? プレジャンプってのはジャンプする前の予備動作の事だぞ」


「……」

「……」


「し、知ってた。知ってるぞ。本当だぞ? 司が知ってるか試したかっただけだからな?」


「あ、ああ。それならいいんだ。ま、かなり意識してやらないと変えられないものだと思うから知ってる事には別に驚かないけど……。やっぱ、それより性格変わってないか?」


 妙に探る様な目で俺を見る司――、


 確かに性格どころか人格まで俺に切り替わったわけだからな。それはしょうがない。

 しかし、なるべく気を使ってるとはいえ、西や他のメンバーや家族だって気付かない所を見ると、俺が装う楠はそんなに変じゃないはずなんだが。


「ごめん。待った?」


 後片付けを手伝っていたマネージャーの一人が駆け寄ってきた。当然ながら『待った?』は俺に対して言ったことじゃない。別に待ってなかったしー。

 

 彼女は望月 香菜絵かなえ


 まぁ、存在自体が主人公のサポーターでありストーカーでもあるメインヒロインだ。怪我やスランプに悩む彼を、幼馴染やヒロインと立ち位置を(計算して)変えながら陰ひなたで支える正統派だ。勿論原作でもこの二人は結婚している。

 

 ちっ。設定とはいえどんな徳を積んだらこうなるんだ?

 イケメンでサッカー上手くて、かわいい幼馴染がお互い初恋で結婚なんてルート。一般人ならミジンコ位まで遡って貯蓄しなければならないレベルだろうに。

 

「いや、俺も今きたとこ」


 そう言って微笑あう二人。


 何言ってんの、このバカップルは。もう三時間以上はここにいるだろう?

 つか、なんなのお前ら。実は俺たち付き合ってるんだー的なアピール止めてくんない?


「あれ、芝浦は?」


「声はかけてきたからすぐ来ると思うんだけど」


 ちなみに芝浦は1年生のマネージャーで芝浦 舞という。


 どうも司は芝浦を呼び出してもらっていたらしい。それと俺が残されたことに何の繋がりがあるのかは分からないが。

 はっきり言って俺は芝浦を全くというほど知らない。楠の記憶でも、話したことすらほとんど無いようだが。


 黒のロングストレートが基本の望月が正統派という感じなら、ポニーテールでわんぱく気味な芝浦は可愛げのある後輩というポジションだろうか?

 たしか原作ではマネージャーは望月しか触れられてなかったから、先の桜井や芝浦といったイレギュラーの存在はちょっとだけ怖い気もする。


「すいません。遅くなりました!」


 ポニーテールをふっさふっさしながら駆けてきた芝浦は息を切らしながら頭を下げる。


「いいよ。俺も今来たとこだから」


 ……さっきから、その答えはどうにかならないモンなのか?


「は、はぁ」


 司の答えに芝浦は若干戸惑う様子を見せた。だろうな。昼過ぎからみんな一緒だし。


「……で、お話ってなんですか?皇先輩」


「あ、それなんだけど。明日、楠と病院に行ってくれないか?脳の検査をしてもらった後、洋二先生に会わせてもらいたいんだ」


「わ、私がですか?」


 いやいやいや。ちょっと待てよ?病院ぐらい一人で行けるぞ。

 つか『嫌です』とか言われたらメンタルやられて違う診療も受ける羽目になるだろうが!


「ちょっと司? どういうことだよ?」


「ちょっと楠は黙ってて!」


 ――!? いやいや、俺の事だからね。当人黙ってろって流石に酷くないか?


 そのまま司と芝浦で会話は成立し、なし崩し的にその流れへと誘導された。

 

 なんだか良く分からないが、とりあえず明日の病院受診はマネージャー同伴らしい。


 九時に総合病院に待ち合わせ。

 

 一緒に行くという選択肢は今の所浮かんでこない。あまりに不確定要素が多すぎるからだ。


 『部活の準備も忘れずにしてきて下さい』と淡々と釘を刺す芝浦に、俺は適当な相槌しか返すことが出来なかった。

 

☆☆☆


 徐々にだがアニメでは知らない人物と接する機会が増えてきている。

 勿論、知らないだけで原作にはちゃんといるのかもしれないけど……。


 アニメオリジナルキャラで出番が多ければ、それはそれで『原作軽視』とかで話題に上がっててもおかしくなかったはずだ。


 でも今のところは分からない部分は出来るだけ避けたい。あまり本筋から大きく逸脱したくない、というのが素直な感想だ。


 ……なんというか、明日が怖い。





 この世界において『太陽のストライカー』という世界観は、現実や複数の『皆が知ってるであろう』ようなサッカー漫画達をミックスさせてる感じの設定ですが、「それって版権的にどうなの?」とか「それはちょっと肖像権が……」的な部分がありましたら、教えて頂けるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ