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おい!今度の行き先はサッカー漫画だってよ!?  作者: 赤星べお(※完全なPNにしました)
2章 スーペルゴレアドール!
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48話 愛のままに 恋のままに 僕は君だけを裏切らない

好きな事やってプロになれていいね、とか言われるけど、ここに来るまでセンチメンタルな思い出は全て犠牲にしてきてるからね?


 by 吉〇麻也

 

 様々なガラクタを焼却炉そばのゴミ置き場で分別していく。


「こ、これ燃えるかな?」


「か、火力次第じゃないでしょうか?」


 適当……というよりか、印象的な感覚で燃える・燃えないを判断していく。

 ぎこちない距離感を修正するために、なるべく普段らしいコミュニケーションを心掛けるのも忘れない。


 分別に関しては申し訳無いが、実際に燃やすときに用務員の方の判断に任せるしか無い気がする。

 何世代前なのか分からないボロボロのスパイクは一応皮だし……、ポイントの部分ごと燃やしていいものなんだろうか?

 風化していつのか分からないサッカー雑誌は、まあ紙だから燃えるだろうけど。

 ちょっとセクシー過ぎるやつに関しては、秘技サンドイッチ作戦でカモフラージュ中だ。

 つか、誰だよ。エロ本拾ってきたの!


 ……なんて答えは一人しかいないけどな、なぁM山君?


 とりあえず鉄とアルミ以外はみんな焼却炉に入れられてしまう様なアバウトな時代だ。

 あまり深く考えないでインスピレーションの赴くままに分けていこう。


 そんな感じで荷台に載ったガラクタの廃棄処分は終りを迎えた。

 後は一輪車を用具室前に置いてくれば任務完了だ。


「それ返してくれば終りですか?」


「うん。悪いがグラウンドを迂回するルートでいいかな?」


 出来れば望月の森山折檻シーンはもう見たくないし、見せたくない。

 というより、裸エプロンに見える森山を見たいヤツなどいないだろうし。


 ガラガラ、と軽い音を立てながら一輪車は進む。


「乗る?」


「乗りませんけど?」


 やっといつもらしい二人に戻れた事をお互いに安堵しながら、西のお使いは終了を迎えた。


 ☆☆☆


 遠回りをしながらの帰り道。

 

「例えばーなんだけど、二人に選択を迫られた時に俺がどっちかを即答してたらどうしたの?」


 途中、当たり前の様に浮かんだ疑問をぶつけてみる。

 迷わせることが目的だったらしいが、そもそも迷わなかった場合どうなっていたんだろう。


「あ、それは絶対ないって言ってました」


「ど、どうして!? それも洋二先生が言ってたの?」


 あまりにあっさりと行われる全否定宣言。

 そんなに優柔不断に見えるのだろうか、俺?


「はい。仮に先輩の中で選ぶ方が決まっていたとしても、選ばれなかった方を思いやって答えを口に出すことは出来ないはずだ、って。優柔不断と見るか、美徳と見るかは人に寄って違うだろうけどね、とも言ってましたが」


 言われてみると、その通りなのかもしれないけどさ。

 どうも内面まで見透かされているようでちょっと嫌な感じだ。


「さっきの話に戻るんですけど、私がニアで紺野先輩がファーとかってやつなんですが……」


 ここで芝浦は一度口ごもる。

 やがて、思い詰めたようにゆっくりと口を開いた。


「キーパーの立場だったら誘い込むようで二股みたいな感覚になるってさっき話してましたが、例えばこれがもしFWだったらどっちかに決めなければならないんですよね? 迷ってるウチにニアもファーも駄目になってしまうじゃないですか? 先輩がもしストライカーだったらどうしたと思います?」


「そうだなぁ……。もし迷ってるうちにシュートコース無くなったらパスに逃げちゃうかも? FWは逆にゴールの可能性を考えて、とか言って仕切り直し出来る時もあるし――」


 ……ん!?

 ちょっと待てよ? パスに逃げる、だと……?

 タイミングを逃して選択出来るチャンスを逃した結果……?


 そうなった場合、キーパーからしたらシュートが飛んでこないという最良の結果なんじゃないか?

 勿論、危険なラストパスを出されなかったら、という前提だけど。


 幾つかの選択肢を瞬間的に与える事で逆に選択の自由を失くしてしまう現象。

 ニアを少し開けるなんて、セオリーを無視するような行動を強制した事の理由の片鱗……。


「あ、いや。そうじゃなくてですね。私が聞きたいのはそういうんじゃなくて――」

「芝浦!!」


 俺のかぶせ気味の声に芝浦はビクッとした感じで身を正す。

 自分でも知らないうちに大きな声が出ていたらしい。


「は、はい!?」


「もしかしたらだけど……、分かったかもしれない。さっきの良く分からない奴の目的!」


 俺の言葉に、芝浦はちょっと困ったような呆れたような表情を浮かべる。

 

「ソ、ソーデスカ……。ソレハソレハ、トテモヨカッタンジャナイデショーカ?」


「あ、あれ? あのー? 芝浦、……さん?」


「いや。もう別にいいんですけどね? 何ていうかこういうのも今更だし。せっかく気を使われても台無しになるわ、周りのお膳立ても結局何も意味がないわで、私の決定力不足が原因な訳しょうし……。私自身も森山先輩並みの決定力しか無いんだっていう事を自覚したわけですよ、悲しい事に……」


 よく分からないタイミングで芝浦に変なスイッチが入っていたようだ。


 まあ今までの流れからして、超の付く鈍感でもなければ何となく分かる事ではあるんだが……。


 せめて『選手権終わるまで』とか『プロ入りが決まるまで』とかのある程度の仕切りが欲しいとは思う。

 俺がここでこれから先もやっていけるという自信みたいなもの。


 でも……、


『何もしなくても女がずっと傍にいてくれるとか舐めた事思ってない?』


 唐突に頭の中にいつかの姉の言葉が浮かんでくる。


 そろそろ形にしなきゃいけないんだろうな、きっと。


 大きく深呼吸を一つ。


「なあ、芝浦?」


「……なんでしょう?」


 うん、ちょっとやさぐれてる感じだ。 

 多分、これも俺のせいなんだろうし。


「あのな……、今まで面と向かって言えなかったけどさ。俺、凄く芝浦に感謝してるんだ。親父さんの件も含めてだけど、俺、芝浦家の人と出会えて本当に良かったと思ってる。だから……、って訳じゃないけど、で、出来ればこれからも傍にいてくれると嬉しい……、と思ってるんだが……」


 なんて不器用な告白だと自分でも思う。つか、告白にもなってない気さえする。

 下を向いて目も合わせずにただ独り言を言っただけのような宣言。


 芝浦はパタッと足を止め、目を見開いて驚いた顔をする。


 そんなに変な事は言ってないと思う。

 情けない話だが『好き』という言葉は怖くて逃げてしまったが、せめて本音は伝えられたとは思う。


「あ、あのー?」


 芝浦は顔を真っ赤にして、胸の前で両手の親指と人差し指で指回しを始める。

 まるで指に絡み合った糸を手繰り寄せるような仕草に自然に笑みがこぼれてしまう。

 例えば、本当にそこに糸があったとしたら赤かったりするのかな、なんて思ってすぐ止めた。


 だってメチャクチャ恥ずかしいじゃん! キャラじゃないじゃん! ……楠の。


「ほ、本気ですか……? 家族ぐるみでお付き合いとか……? まさかプ、プ、プロポ――」

「ス、ストーーーップ!!」


 流石にそこまではオフサイドすぎる。


「い、言いたいことはあんまり間違ってないんだが、話が飛躍し過ぎてるから!?」


「ぜ、前提に……、といった形でしょうか?」


 うん。それも戻りオフサイドだ。早くこっち側に帰ってきてくれないかな。


「とりあえずだな……、俺は芝浦の事は特別に思ってる。それだけ分かっててくれればいいと思う」


 気恥ずかしさで、無意識で歩く速度が上がっていく。


「ちょ、ちょっと先輩? 待ってくださいって! 普通ここで特別な人宣言した女子置いてきます?」


 小走りで追ってきた芝浦に肩を叩かれる。


「ほら行くぞ?」


「……むう」


 日差しの様な眼差しに目を合わせることが出来ずに、そのまま会話は途切れたまま夕暮れの中を肩を並べて歩く。


 込み上げてくる想いの中で、世界がまるで自分の物になったような錯覚を受ける。


「……某有名バスケ漫画の主題歌の気持ちが分かった気がした」


 ボソッと言ったつもりだった。


「別に叫んでもいいんですよ?」


「!? え、嘘? 聞こえてた?」


「えへへー」


 独り言のつもりがまんまと聞かれていたことに焦る俺。

 そこに芝浦から抜群の微笑の爆弾が投下される。


「あ~~~~、もう!!」

「ふふふー」


 わざとらしい芝浦の笑い声。


 そうしている間に、部室がどんどん近づいてきた。


 さて、この何とも言えない雰囲気どうすればいいんだろう……?

 


 とっくにお気づきの方もいるかと思いますが、今回含め、今までのタイトルや文章中でも80後半から90年代中頃までの名曲や名フレーズをオマージュしたものがところどころ入ってます。後から調べて年代的に没になったものも多いですが……。


 例えばですが『望月』の回は南〇少年パ〇ワ君のエンディングテーマだったり、秋のライオンなんかもそのまま冬から秋にしただけですし。

 読んでる最中で、『あれ、これって?』みたいなのも楽しんで頂けたら、と思っています。ま、あくまでオマケ程度のモノとして、ですが。


もう少しで学祭編が終わってシニョーリ君達がやってきて帰って、その後でやっと選手権が始まれます。良かった良かった。

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