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おい!今度の行き先はサッカー漫画だってよ!?  作者: 赤星べお(※完全なPNにしました)
2章 スーペルゴレアドール!
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39話 危ぶむなかれ! 危ぶめば……

パン屋は昨日作ったパンでは生活できないし、サッカー選手も昨日の試合に頼っては生きてはいけない

by 黄金の隼 (ドイツ)


 司の居残りシュー練に桜井にやらせることで、日課に穴を開けることなく桜井のレベルアップも図れる。

 うん。一石二鳥だな。


 ビシバシ撃ち込まれるシュートに桜井は跳ぶことさえ出来ていない。

 ま、最初はしょうがない。慣れるまでは桜井も大変だとは思うけど、人間なんでも慣れが大事だし。

 しばらくすりゃ、昆虫ライダーにやられるショッ〇ーの様に華麗なダイブが出来るようになるはずだ。


 ちょっと離れた場所では、八神や西達といったいつものメンバーもいる。

 内村や最近こっちに昇格してきた一年生も混じって鳥かごをして残っている。

 何だかんだでボールを蹴ってる時が一番なんだろうな、あいつらも。

 なんて、ボーっと見てたら西に声をかけられた。


「一緒にやろうぜ?」


 手を使っていいなら、と言ったら怒られた。

 バックパス取っていいのは中学ん時で変わっただろ、って。

 へー。わりと最近だったんだな。

 つか、サッカーってちょこちょこ細かいルール変わり過ぎじゃね?

 何だろう? どっかの会長辺りが思いつきで決めてんのか?


 そんな風景をただ眺める。

 段々と西日が校舎に隠れ、薄暗くなっていくのを感じながら。

 影の伸びたグラウンドに、ボールと戯れる青少年達。

 

 なんか違うタイトルでもう一個行けそうだな。まぁ、ニッチの方だろうが。

 そんなタイミングで照明が付いてグラウンドに再び明るさが戻る。


 何も考えずにボールを追っかけてられるのもあと僅か、か……。


 ボーっと練習を遠めから見ていたせいだろうか。

 すぐ隣に監督が来ている事に全く気付かなかった。


「なあ、楠?」


「うわぁお!?」


「何だよ、おい。WAO! って?」


「……普通に驚いただけっすよ? つか何すか? 急に隣にいないで下さいよ。超焦るじゃないっすか?」


 監督は大げさに笑った後、妙な質問をしてきた。


「お前らってさ、静大の嶺葉みねばって昔の友人なんだよな?」


 ああ、その話か。残念なことに決勝で負けちまったって西が言ってたな。


「そんでな? そいつらがさー、高校最後の思い出にお前らと練習試合やりたいって打診してきたんだけど、お前どう思う?」

 

 な、なんですと!? 

 そりゃ結構なイベント事じゃん?


「こっちは全国も控えてるしどうすっかなー、って俺は思ったんだけどな。だけど向こうの気持ちも分かるし、大会終わったらバタバタすんだろ? デュッセルドルフとかの選抜もあるから時間ねーだろうし。やるなら全国前なんだけどどうしたもんかなーって思ってなあ?」


 ん? デュッセルドルフって3月くらいからじゃなかったっけ?

 余裕無くはないだろうけど――、


 あ! そっか。

 選手権終わったら司もういないんだ。


 監督なら知っててもおかしくないもんな。だから……、か。


 個人的には賛成したいところだけど。

 どうせなら、まとめて聞いてみた方がいいだろう。 


「丁度、あの頃の仲間、みんないるんで聞いてみましょうよ?」


 そうして司、西、八神、不破、森山の面々を呼び出す。


 桜井始めその他のメンバーにも軽く『練習試合の申し込みがあった』程度の説明をしたところ、司に任せるよと言って、先に帰って行った。


 他のみんなが部室に向かうのと逆に、俺たちは監督の所に集合。


 そして『嶺葉から練習試合の申し込みがあった』ことの報告。


「マジか? いいな、ソレ!」


友里ユーリ、会いたい!」


 単純に喜ぶ西の隣で、八神も珍しく食い気味の反応だ。


「アイツ、へこんで無いといいけどな?」


「んん!」


「つか静岡だろ? マジであいつら来れんのかよ?」


 森山や不破も自然に笑顔が浮かんでいる。

 それぞれが懐かしさや喜びを隠そうとせず、嶺葉に会えるという事を単純に歓迎している。

 やっぱり俺たちにとって『嶺葉 友里』という男は特別なんだと再認識する。


「でもいいんですか? タイミング的にどのあたりを?」


「あー、まだ決めてないんだがな。12月の頭位かなぁとは思う。非公式にはなるんだけど、お前らの壮行試合的な学内イベントになるかもしれんなぁ」


 そのまま司と監督で細かい話が進められる。

 とりあえず受理する方向で話は進んでいるらしい。

 良かった良かった。

 嶺葉もそうだが、これでシニョーリ君も心置きなく故郷くにへ帰れるだろう。


「じゃあ、先方には受けると言っとくけど、いいか? 絶対に怪我だけはすんなよ! あくまで調整と壮行が目的だからな。ガチでやらないの約束しろよ!」


「「うぃーっす」」


 若干気の抜けた返事に、ヤレヤレといった苦笑いで返す監督。

 

 嶺葉に再会できる喜びを分かち合うみんなの中で、いまいちソレを共有できない疎外感。

 

 本物の楠だったら、もっと喜ぶのかな? 

 いい奴だってのは分かるけど、そんな特別な思い出は無かったはずだし。

 精々頼りになるチームメイト辺りで、個人的な友人といった訳ではないみたいだし。

 ましてや俺的には初対面だなんだよなぁ。

 何かもう、よくわかんねーや……。


☆☆☆


「何落ち込んでんだコノヤロー! 元気ですかアノヤロー!」


 自宅の部屋で天井を見ながら物思いにふける。

 夕方の出来事をアレコレと思い浮かべていたら、変な生き物が湧いて出た。


 ……姉だ。


 以前、ノックを拒否してからはランダムにドアを開けるという暴挙を繰り返す困った存在だ。

 年頃の高校生の部屋を開ける危険性をどう伝えたモノだろうか?


「何? プロレス好きの男を捜してるなら、陸奥みちのくの方に行って欲しいんだが」


「あれ? 何だ元気じゃん」

 

 そのままバターピーナッツを持って、持参の座布団に腰を下ろす。


「ちょっと居座らないでくれる? つかここで食うなよ? お前こぼすからイヤなんだって」

 

「いやいや、お母さんがね。なんか要が元気ないって言うから来てあげたんじゃん。なに、舞ちゃんに振られたの?」


 ――ブッ!


 なんでそうなる?

 いや、そもそも付き合ってねーし!


「大体ね、アンタ。優しい言葉とか感謝の気持ちとかをちゃんと伝えてる? 何もしなくても女がずっと傍にいてくれるとか舐めた事思ってないわよね?」


「……言いたいことが良く分からないけど、姉さんはそういう言葉が無いと離れていく女だとは理解した」


「私だけっつうか、基本みんなそんなもんよ? 何も言ってくれないし、何も感じてくれない。そんな人の傍にいて楽しいと思う?」


 あー、確かに。

 そんな奴といても間違いなく楽しくないわな。

 なるほどね。

 前に俺がボッチの引きこもりになったのも、そういう事なんだろうな。

 ……何となくはわかってたけどさ。

『みんな、結局は他人だから』って無理やり思ってたけど、結局は俺といてもつまらなかって事だろ?

 ま、人っつうか、全部に興味をなくしてた頃だし、しょうがないけどさ。 

 

「じゃあ明日芝浦に会ったら、抱きしめながら『ありがとう』とか言えばいいのか?」


「出来るもんならやってあげなさいよ!」


 うっ。皮肉をマジ返しされるとは思ってなかった。


「で、出来ません……」


「つかさぁ、なんで振られたの? 何かしたんでしょ? あんなに良い娘、よっぽどの事しないとそうそう嫌われないわよ?」


 ……。

 ………。

 つか、何で俺が芝浦にフラれた的な話になってんの?

 そもそもの前提がおかしくない? 


「ん? あれ? じゃ、だったら何よ? なにいっちょ前に考え込んだりしてるわけ?」


「んー、いや。価値観の違いというか、感情の共有化っていうか……。何か上手く言えないけど、周りがワーってなってる時に、そこに混じれてないときの寂しさ的な?」


「あっそう」


 そう言って座布団を持って部屋を出て行こうとする姉。


 いやいや? 

 そこは逆に聞いてくれるところなんじゃねーの?

 

「勘違いしない方がいいよ? どういう流れかは知らないけど十人十色って言って、人それぞれ違うんだから。大体、1つの事に全員が同じ方向向いて、同じ感情持つ方が気持ち悪いわ。アンタはアンタでしょ? キーパーやってるくせに、今更周りと違うこと気にしてどーすんのさ?」


 バタンって音を残して出て行く不思議生物。

 いや、別にキーパーやってる人は個別化を望んでる訳じゃ無いぞ? 

 確かにマイノリティかも知れないけど、ちゃんとイレブンには入れて貰ってるわけだし。


 壁伝いにカチャってドアを開ける音が聞こえる。

 楓の部屋だ。


「違ったー! 舞ちゃんのことじゃ無かった! 何かつまんない事でウジウジしてた。あ、バタピーも忘れたし!」


 ……何が母さんだよ?

 只の姉妹の興味本位だろーが?


 部屋の中央に行って、姉の忘れ物を拾い上げる。

 適当に一つまみし、口に入れる。


「つまんない事……ね」


 ま、俺の事情からしたらそうかもしれないな。

 別に嶺葉に会うことに再会の感動が無いことは当たり前なんだし。

 うん。

 たまにはあんな姉でも役に立つな。バタピーも何気に旨いし。

 今日の所は感謝してやろう。


 ……と、思ったらドアをまた開けられた。


「あー! 私の食べてる! なに? 『この道を進めばどうなることか? 食えば分かるさ』とか言いたいわけ? バカヤロー!!」


 …

 ……。

 ホントに全部が台無しだった。

 


 




 GWにはちょこちょこ更新したいなー。赤い日はお仕事したくないなー。サッカーとフットサルだけで生きて行ければいいのになー。

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