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おい!今度の行き先はサッカー漫画だってよ!?  作者: 赤星べお(※完全なPNにしました)
2章 スーペルゴレアドール!
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30話 メランコリーゴーラウンド

『最初の70分はしっかり守ろう!』 by 山本○邦

 

 俺にとって、前半の内容は決して褒められるようなモノでは無かった。

 

 ……なぜなら、褒められる様な事なにもしてないから。


 ボールもそんなに触ってない。というよりも枠内シュートは驚きの0だ。それもエリア外からのロングであるならば、見切りも早い。。


「後半はアレの試験をする。後ろは三人。左から越野、西、不破。右サイドバックの和泉はそのまま右のハーフに上がれ。ボランチと左はそのまま。司は真ん中だ。いいな?」


 川上監督がどうしてもここで試したかったと試合前に言っていたBOXの許可が下りる。


 それは、全国大会に向けた最後の隠し球であり、3バックを始めた真の狙いとも言える。

 

 ――鹿島南最強世代の最終到達点。


 中盤で新しいタイプのBOXフォーメーションを完成させること。


 例えるならサイコロの5の形。真ん中に司を置いて、他のMFは司の位置に応じてそれぞれが独立しながら連動するというオートマチックとシステマチックを融合させたフォーメーション。


 司がいるからこそ出来て、その絶対的な司令塔を守り、活かす為に作られたシステムの構築。


 距離感、トライアングル、相手をどのようにサイドに追い出すか、といったベース作り。

 それらは全部、司を守る衛星としての役割としてきっちりと叩き込まれてきた。

 勿論、最終ラインも馬鹿上げする。

 中盤と連動する事で司のフォローと奪ってすぐの攻撃を託し、一方的に攻め続けるために。


 ――『T-BOX』。


 それがこのシステムの名称で、意味は司を守る箱といった所。


 超の付くほどの前輪駆動型。前めの選手は楽しそうに見える一方で、後ろの選手は超ハイラインの危険に晒され心臓に悪い。

  

 実戦でやるのは勿論今日が初めてだ。

 前半で勝負を決めたかった理由は『何があってもいいように』と点差を広げたかったからだろう。


「開始5分は今までのまんまだ。相手に変わってないと思わせろ。合図を出した後のボールアウトでシステムを変えろ!」


「「ウィッス!!」」


 威勢のいい指示と活発な返事が木霊するロッカールーム。

 

 あれ? 何気にキーパー蚊帳の外じゃん。


 …


 ……


 あ、望月? そのハチミツレモンちょうだい? え、これ司の? タッパー全部? いやいや。無理でしょ。え、マジ? 司の分しかないの?


 ……悪かった、もう言わない。


 いつもの通り、望月に冷たくあしらわれる。諦めて自分のバッグからスポーツ飲料を出して腰掛ける。


「わかってんな、楠? この戦法はお前にもかかってんだからな! 前カバーしろよ!」


 了解了解。裏のスペース潰せばいいんでしょ? 少し動いた方が体もあったまるし、願ったりの展開でもある。


 大げさに頷いて見せると、監督は満足したようだ。


 ふと、視界の隅に司の姿が映る。


 !?

 

 タッパーを持ってハチミツたっぷりのレモンのかけらを大量に口に含んでいる。


 マ、マジか? 後半あんだぞ? いや、でも望月怖いし。


 うん、なんだ。


 ……あの味は甘くて酸味があって、あんな素晴らしいハチミツレモンを貰える司はきっと特別な存在なのだと感じました 。


 ……言ってる場合か?


「ゲッホ! オゥエ……」


 やべ、司と目が合った。少し涙ぐんでる。


「く、楠……。た、助けてくれ……」(小声)


 ムリムリムリムリ! 望月にばれないように首を痙攣の様に震わせる。


「あ、いた! 先輩もどうぞ?」


 脇から芝浦が違うタッパーを持ってきて俺に渡す。


 あれ? つか、みんな違う所から食べてね? 俺も司みたいな感じなの? まさかこれ全部俺のなの?


 中身はもちろんハチミツレモンオリジナル……。なぜなら、僕もまた特別な存在だからです 。



☆☆☆



「お腹重い……。なんか口の周りベタベタなんだけど……」


 俺は半分以上残したけど、結局司はあらかたタッパーの中身を平らげた。すごいね。愛の力だ。

 今、フードファイトする理由は全然分からないけど!


 望月が芝浦になんか勝ち誇ってたけど、大事なうちの主人公様を壊すなよ?


「あー気持ち悪い……」


 だいぶテンション下がりまくりで、さっきからネガティブ要素満載の司。


 分かってる? 後半は君の為のシステム初披露なんだけど?

 なんかもう始まる前から駄目そうな匂いプンプンじゃん。頼むからしっかりしてくれ、俺の為にも。


 後半開始に向けて円陣を組む。相変わらず司の周りは甘いハチミツの香りが充満している。

 

 ――レノアかよ!? とツッコミ入れたいぐらいだ。


「監督も言ってた通り後半はBOXの試用運転を行う。周りの仲間の位置や動きを把握するのを忘れるな? うぇ……。いいか? 俺たちは勝つ! 全国に行くのは絶対に俺たちだ!!」


「「おお!!」」


 ……いまいち締まらないな。

 

 センタサークルの手前で口に手を当てて「オップ」って……。お前、そんなキャラじゃ無かったよ。


 もっとこうキラキラしてて格好良かったはずだよ。最初に会ったとき、物凄いオーラにしり込みしたの今でも覚えてるもん。


くすぃー? 後半点取ったら、不破に食べられたお菓子買ってー?」


 ……お前もこんな子供じゃなかったろ? なんだ? 揃いもそろって設定おかしくなってんのか?


 編集さーん。この子、迷走してますよー! もっと打ち合わせ密にやった方がいいと思いまーす! 打ち切り見え始める前に、誰か出版社にハガキ送ってくんねーかなあー。



 ――後半が始まる。


 ちょっとだけこの世界の事を考える。


 逆にこいつ等、もともとはこういう性格だったんじゃないのか――、と。

 それをアニメとかそういうのでキャラ作りしてたから、歪んで見えるだけなのかな、とか……。


 そりゃあ試合前日にエロ番組見て体調崩したなんて、少年誌やアニメで放送できるわけもないわな。

 むしろ、こっちの方がある意味高校生らしいと言えなくもない。スポーツマンとしてはとんでもないが。


 不破に関してはアニメで喋ってるとこ見た記憶がないので、ひとまず保留だな。


 そんなことをぼんやり考えているとピッチサイドで監督が怒鳴りながら右手を頭の上で回している。


――来た。T-BOX発動のサインだ。


「んがぁぁぁぁぁ!!」


 転がってきたボールを思いっきり観客席に蹴りこむ不破。


 観客席から「キャー」と悲鳴が飛び、その方向に両手を合わせて拝む不破。

 

 ……ナニガシタイノ?


 後半まだゲームに入れてない司をそのままに、自滅へのカウントダウンが幕を開けた。




 モデルは勿論『N-BOX』です。それに現千葉の超ハイラインも混ぜて、コンパクトさを極限まで上げることで、ミケルスのトータルフットの超ハードワーク的なイメージです。

 空想だから出来るおとぎ話のような戦術。無理が効く選手がどれだけ必要になるんだろ……。


※気付けば13万PVに2万Uになってました。序章終わりが3000PVとかだった事を思い出せば凄い驚きです。今後とも、なんとか頑張っていきますので、引き続き読んで頂けるとありがたいです。

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