27話 I just keep burning heart ~りすんとぅみー×2~
『Love』じゃまくて『heart』!大事なことなのでもう一回。『Love』じゃなくて『heart』!
監督が忘れていた清水へも連絡は済ませておいた。
1週間程度のタイムラグ。そこは『監督が忘れていた』で貫き通す。だって事実だし。
特に嫌みを返されることなく済んだので、まずは一安心だ。
「無視されたのかと思って心配してました」
と、電話越しからも人の良さそうな雰囲気が伝わってくるスカウトさん。
――ホントすいません。うちの監督が適当なせいで。
結局、県大会が終わってから練習見学の流れが決まり事なきを得た。この間に違う選手に触手が行ってたらどうしてくれんだっての。
一応監督にも報告――。
監督は『自分の目でしっかりと見て自分で決めろ』と言ってくれた。
相変わらず、言うことだけは立派だし。
そんな今現在だが、他のチームメイトにもそれぞれ各チームからオファーが舞い込み初めている。
八神は虹野と何やら連絡を取り合って相談してるみたいだし、西は南方のチームを検討しているようだ。寒いのが嫌いだから、というのが理由らしいが……。もう南国とか行っちゃえばいいと思う。
氷高に関しては不明だ。『いちいち言うことじゃない』でバッサリ。
そんな中、不破だけが即答でジェイドユニオン(JEU)市原に入団を即決したのは驚きだった。
何でも『最初に必要と言ってくれたところにお世話になるのが礼儀』らしい。まさかの男気全開である。
来年から『ヴァルシエヴィッチ』とのムキムキコンビはきっと、新宿二丁目の話題にのぼる事間違い無しだ。
あとは森山がワゴン行きしそうな気配が漂っている位か。まぁ、なんつーか頑張れ。
なんなら『森山と交渉する権利をやろう』とか各チームにFAXで送ってやってもいい。ま、実際にはそれでも来ないという惨状なんだが。
森山には『モデルや女子アナと合コンセッティング』という大事なマッチメイクがあるんだから、何とかそれが出来る立ち位置を確保してもらいたい。
俺の件は当然ながら洋二先生にも相談済みだ。
練習の見学については『僕で良ければ一緒に行こうか?』と有り難い申し出を頂いたので、即答でお願いしてある。
鹿島だけかと思ったら静岡も一緒に行ってくれるらしい。
「僕はトレーナーだしね。ちゃんとプロになって活躍して貰わないとお金請求できないでしょ?」
……ですよね。お祈りメールは俺的にももう沢山だし。
あと鹿島と清水のチーム事情なども分かる範囲で調べてくれるらしく、まさに洋二先生様々である。
清水の監督が元ブラジル代表のGKであることや優秀なブラジル人GKが活躍していること位しか、今の俺は情報を持ってない。
多分清水に関しては、行っても100パー試合に出られないことは分かってるしそれはいい。どうせどこ行っても、すぐレギュラー取れるなんて勘違いはしてないからな。
問題は『どちらの方が未来に繋がるか』だ。
楠自体が、司のストーリーから外れていくのは仕方が無い。それはもう始めから分かっていたことだから。
スポットライトは司と共にイタリアに行く。
その後の脇役人生をどうやって確立するかが問題なのだ。
清水を県予選終わってからとした以上は、あまり鹿島にすぐ行くのも優先してるみたいでアレだし。
まあ、とりあえずこの件はゆっくりと考えていくとしよう。
☆☆☆
そんなこんなで県予選はあっという間に訪れ、大会は案の定『司無双』を見せつけている。
監督の指示より『司くーんナイッシュー!!』とか『司君ファイトー!!』の方が目立ってる事が一番の問題といった所か……。
危なげなく準決勝まで勝ち抜き、全国まであと一つという所。
なんつーか、さ。
この前『生まれながらのギフト』を否定したばっかだけど、司を見てるとそれも間違いだったような気さえしてくる。
だって、1万回リセマラしてもコイツのステータス絶対無理だもん!
初回無料の10連ガチャ全部SSR並のスペックよ? 信じられる?
俺だってある程度頑張ってきた自負はある。
すっと司のシュートを受け続けたことによって動体視力が恐ろしいほど進化してたし。
敵のミドルシュートに反応して横っ飛びしたのまでは良かった。
でも、飛ぶのが早すぎてボールが来る前に俺の体は地面に落ちてしまい、その上をゆっくり浮遊していくシュート。
野球で言うチェンジアップみたいな感覚。
「あれ? ボールがまだ来ない(泣)。あぁ、体が落ちるぅぅぅぅ」
久々に喰らったボールさんの嫌がらせ。今度は時間さえ操りだしたようだ。恐るべし。
点差もついていた事で、ギャグの様な失点風景も苦笑いで済んだのだが、これが接戦だと思うと恐ろしい。
全く望んでない形であったが『ボールが止まって見える』状態も味わったぜ。
目が鍛えられすぎた故の、まさかの大チョンボだった。
そうそう。
司のサニーライゼットはまだ未完成のままだ。
今の状態はただ不規則に揺れて落ちる超速のシュートといった所だ。個人的には軌道が定まるよりこっちの方がヤバイんじゃないの、と思うほどの決定力を誇っている。
あと、まさかの森山が新しい技を使い出した。
その名も『敵とワンツー』だ。
ドリブルが得意で無い森山は相手DFと一対一を根本的にやらないという選択肢をはじき出した。
相手の足下にトラップ出来ないほどの強いボールを蹴る。敵が反射的に出したインサイドトラップ。勢いを殺せずこぼれたボールを掻っ攫って進んでいく。
まさかディフェンダーとしても、FWから至近距離からパスされると思って無いだろしな。完全に意表は突いた感はあるが、常識的に考えて絶対に無い選択肢だ。
怒って追ってきたDFにすぐボ-ル取られて、結局点に結びつかない所まで行くともはや喜劇でもある。
司の決定力が跳ね上がってるから、完全に割を食ってんだろうなあ。
そう思うと同情の余地が少しはあるのかもしれないけど……。
つか、そうした状況の中で敵と戯れ出す森山って実は何気に凄いのかもしれないな。凄い馬鹿なのは知ってるが、他にもなにか常人には計り知れないマスクデータ的な何かが備わっている可能性を感じる。
氷高はサイド大好きから脱却を始め、カットインなどプレーの幅を広げ出した。西は集中力を研ぎ澄ますことでこぼれ球の予測精度を上げてきている。不破もスー○ー頭突きを会得し、俺もネガティブゲートを習得中だ。
司とそれを固める脇役達も少しずつだが、これからに向けてクオリティを上げてきている。
そうした中で、決勝の相手は予想通り日立工商。ま、お約束だわな。
俺たちは最前線に大きな不発弾を抱えながら、日立工商とたった一つの切符を争うことになる。
決戦の地は『鹿島スタジアム』――。
夏休みに壮行試合を行った場所でもあり、地域的にもこっちの完全ホームだ。
何度も訪れる『絶対に負けられない戦い』の最初の大一番。
やぁぁぁってやるぜ!
権利侵害ダメ。絶対。
この世界もJリーグという扱いですが『Japan Premier league』という形を取っています。
そのうち『JPL』という形で一度、正式に違うと言うことを出した方が良いのかもしれないですね。
というか、消えた『プレミア構想』を、全く別な自分ルールに変えている感じです。
まあ、箱庭なんで『こうだったらいいな』という世界を設定している訳ですが。外国人枠の緩和(単純に枠の増加や代表経験のあるアジア枠は外国籍扱いしない)等、完全にフィクションなのを明確化したいと思っています。ま、その辺はまたの機会に。ではでは。




