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おい!今度の行き先はサッカー漫画だってよ!?  作者: 赤星べお(※完全なPNにしました)
 序章 スケープゴートへの転身。そして、それから……。
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3話 絶対神との邂逅

※誤字や軽微な文体の修正を行いました。

 グラウンド上ではもうすでに大勢の部員が集まっていた。

 談笑やシュート練習や遊びでボール回しなど思い思いの時間を過ごしている。


「よくまぁ、こんなくそ暑い時に外でやれるもんだよ」


 すでにさっきまでの勢いは暑さに負けてしまったのは言うまでもない。

 

 その中で円になっている集団を見つけ、その輪に入っていく。


 勿論この前の猿顔の西もいる。そろそろ猿顔の枕詞は外してもいいだろう。


 輪を作っていたメンバーは5人。俺の知っている情報で言うと次の通りだ。


 FWフォワードの森山 君晴きみはる


 シュートをポストに当てるのが得意なロン毛だ。特に決勝点時の決定力の無さはマジで神としか言えないほどのポストマニアでもある。背番号は9。


 左のサイドハーフの氷高ひだか 時雨しぐれ

 

 左利きの天才肌。チームですめらぎと二枚看板を背負う。背番号は7。クールな二枚目という設定らしいが、狙いすぎて失敗した感じでこの頃には普通の性格になっていたはずだ。


 八神やがみ 瞬はダブルボランチの一人で、地味に中盤で働いてくれる縁の下の力持ちだ。性格は軽いが、責任感は重い。背番号は8。


 あと不破ふわ けんと西 直人なおひとはセンターバックコンビだ。


 俺含めてザル守備をいかんなく発揮する守備ユニットだが、みんなアニメではそれぞれ代表に呼ばれるので、もしかしたらポテンシャル的には高いのかもしれない。やたらとゴツい不破の背番号は3で西が5だ。


 氷高以外は小学校から一緒の設定だ。

 たしか氷高は中学からのテコ入れキャラなので設定が後付けだったような記憶があるが、この世界では上手く馴染んでいるらしい。


 彼らが話していた話題は先月行われたサッカーワールドカップの事だった。日本も出れていたらなぁ、と話している。


 ――あれ? おかしくないか? 日本で結構前から出てなかったけ?


 この漫画、俺が子供の頃と言っても5歳か6歳の頃だったはずだ。16、7年前だとしても時期がずれている。楠本人の方の記憶も探ったが、どうやら時系列は間違っていないようだ。

 っていうと何か? 実は原作は結構古かったりするのだろうか。


 不思議な感覚だ。転生ついでにタイムトラベルまであったんなら、流石についていけない。


 いや、待てよ。


 そもそもこの漫画の時間軸自体がおかしいのかもしれない。完全オリジナル選手ならまだしも現実にいるモデル選手だって全然年取らないしな。


 まぁ、いちいち深く掘り下げるのはヤボってもんなんだろう。


「そういやさ。夏休みの最後の頃に壮行試合あるみたいだぜ?さっきつかさが顧問と話してるの聞いちゃってさ」


「マジかよ?どこ?」


「聞いて驚け! なんと鹿島ワンダーズだ。地元としてうちら鹿島南高校の選手権三連覇を応援するイベントみたいだぞ」


「マジかよ、すげぇな。ガリーニョ来るかな?」


 西の情報に食いついたのは森山だ。流石ロン毛はチャラい。ミーハー丸出しだ。


 ん? ガリーニョだと? 現実に鹿島にいた超大物の元ブラジル代表じゃなかったか?

 『サッカーの神様』とか監督の方で一時期騒がれてたような気がするが……。

 というかまだ現役なの? 日本に来た時から結構いい歳だったような気がするけど。


「な? 楠も元ブラジル代表の玉、受けてみたいだろ?」


「楠じゃ無理だろ?楠に止められてるようじゃブラジル代表に選ばれる訳ねーだろ?」


 なんだと?サル顔。もう一度言ってみろ?


「んなの分かってるよ。止めるなんて言ってねーだろ? 受けるだけだよ? なぁ?」

 

 なぁ? じゃねーよ!


☆☆☆



「無駄話はそこまでだ。練習を始めるぞ!」


 遅れてやってきた皇が到着すると、空気が一瞬で締まる。


「今日は最後に軽いミーティングを行う。まずはジョグとアップ始めるぞ!」


「「おう!」」


 一斉に部員たちが列になって走りだそうとする。勿論俺も遅れない様に行こうとするが、


「ちょっと楠だけ残ってくれ。他のメンバーは先に始めてくれ」


 まさかの呼び出しッスか!?


 すいません。マネージャーの件はちょっとした間違いです。キャプテンの女取ろうだなんて、そんなふてえ野郎いるわけないじゃないですか?えへへへへ。


「頭は大丈夫か?」


「へ!?」


 いくら相手が楠でも流石にそれはないだろう。そんなに心配するレベルまでは落ちてないと思いたい。

 それとも何だ? 実は相手の思考を読めるとか? 『実は俺エスパーなんだ』的な。


「多分この前の脳震盪を起こしてたと思うんだがちゃんと病院行ったか?」


 あ、そっちか。普通に驚かせないでくれ。


 まぁ、原因はお前が蹴ったボールだったみたいだしな。

 意識刈り取るレベルのボールなんてもうぶつけるなよ? 俺じゃなかったら大変なことになってたよ? マジで。


「問題ないよ。とりあえず変わったことはないし」


「脳は後から来ることもあるから、一度きちんと診てもらってきた方がいいな。後から後遺症なんか出たら俺だって責任取れないぞ?」


 ……保身デスカ?


「それよりも、性格少し変わったような気がしてさ。そっちの方が何か気になるんだよ?心配だから。頼むから一度診てもらってきてくれ」


 !? す、鋭過ぎる。流石はミスターキャプテン。伊達にアニメ主人公の看板背負ってないわ。


「わ、わかった。明日の午前中にでも行ってくる。午後の練習には間に合うと思う」


「そうか。良かった。取り敢えず今日まで練習は念のため軽めにしておいてくれ」


 そう言うと皇は爽やかな笑顔をまき散らしながらジョグのメンバーの方へ走っていく。

 

「何してんだ楠?さぁ、行こうぜ?」


「お、おう」


 少し遅れながら皇の後ろを走って行きながら、俺は確信した。


 やっぱりコイツはモノが違う。オーラというか雰囲気というか……。

 分かりやすくいうと『持っている選手』だ。明らかに他のメンバーと格が違う。


 参ったな。この手のやからとやり合わなきゃいけないんだろ? ハードル高すぎんだろ……。


 部室での気合は暑さで消滅し、更には主人公と会話しただけで俺のメンタルはマイナスへと突入していった。




勿論『ガリーニョ』のモデルは御大将の事です。

若いころはフラメンゴで『オ・ガリーニョ』(若い雄鶏)というニックネームだったそうなので、そのまま拝借いたしました。

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