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おい!今度の行き先はサッカー漫画だってよ!?  作者: 赤星べお(※完全なPNにしました)
 序章 スケープゴートへの転身。そして、それから……。
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20話 決定機逸脱同盟

 

 堪え忍びようやく氷高に渡ったボールは、ハーフウェイ手前の左サイドに存在している。


 久しぶりに来たチャンスを作れるチャンスだ。相手が前懸かりになっており、カウンターのお膳立ては整った。


 走りながらボールを貰いに行く司の後ろには、スッポンマークで名を馳せた本間選手がピッタリとくっついてきている。

 流石に出しづらくて躊躇するシーンだ。一瞬、戸惑う氷高に『出せ』と司の指令が飛ぶ。


 強めの指示=(イコール)強めのパスと認識した氷高がグラウンダーのパスを送る。

 少し戻りながら、八神へといったん戻すかのように左手で八神のポジションを指示する。

 

 何となく分かる。見たことある。これはフェイクだ。

 アニメでの記憶が何となくカンニングしてるようで若干後ろめたい……。


 そんなシチュエーションを作り出した上で、ボールが来た瞬間に急ターンを仕掛け置いていく狙いだろう。


 このトラップには確か二つのフェイントが入っている。


 一つは前述の八神を使った誘いだ。『リターン』と相手に思わせる事でディレイしたと錯覚させる狙い。


 そしてもう一つ。あえて戻ってくるもう一人のボランチ『サンチス』とのギャップに行って受けたことにより、相手のどこかにマークの受け渡し的な考えをよぎらせる。更に言えば、リターンすると思い込んでいるなら八神へも注意は分散する。バックパスを弱めに出すような雰囲気も出せれば、カットしようなんて欲目も引き出せる、といった具合だ。


 サッカーしてなかったら良い詐欺師になったろうなぁ、アイツ。

 そんな俺の罰当たりな感想の向こうでは、まんま予想通りの展開が起こっている。


 裏のスペースに抜け出した司を慌てて追いかける本間選手。2メートル位は離したっぽい。


 状況は3対3。スピードに乗っている分、若干こっちが有利か。


 1点目のロングが効いてるせいか、相手のセンターバックが詰めに来る。


 引き寄せて……、引き寄せてのスルーパスは『糸を引く』と形容詞を付けなければならないと思うほどの速度と精度。キーパーが飛び出しを躊躇するペナルティエリアのやや中、森山の微かに前方へと転がっていく。


 FWがボールのスピードに合わせる必要もなく、利き足で流し込めるように――。


 そんな意図の込められたボールだ。


 そして、森山は難なくそのボールをゴールに流し込む……、


 事なくポストで跳ね返した。 



 エリア外に零れたボールを相手左サイドバックの早田選手が拾い、縦のリオナードに当てる。



……おいおいマジかよ? まさかのカウンター返しじゃねーか。ったく、森山のアホが!! せめてライン切るなりやりきれよ。


 やっぱり司以外ゴールを決められない呪いでもかかってるんじゃないか、とバカげた考えがふっと頭によぎる。


 リオナードはトラップの瞬間を狙っている内村を『知ってるよ』と言わんばかりに、フワッとボールを浮かせて体を流す。当たりに行くはずだった内村は、対象が無くなったことで前につんのめるように転倒する。


 シャペウとかいうやつか……。いちいちオシャレで絵になるのがまたムカつくな。


「不破! ディレイ!!」

「んが!」


 不破が当たりに行き、西がそのカバーに入ろうとした瞬間。


 インステップ気味に蹴られた早いグラウンダーのパスがエリアを斜めに横断していく。


 このタイミングで!?


 一直線にファーへと運ばれてくるボールに飛び込んできたのはアーリンド。


 遅ればせながら必死で逆サイドに反応し体を投げ出す。


 正直、多少なりともコースが切れればそれでいい、程度の絶望的な反抗だ。


 だが、アーリンドはシュートを打つことなくボールを優しくトラップしてペナルティエリア中央に返した。


 !? 遊ばれてるのか。これはアレか? もしかして舐めプってやつか?


 そのボールに走りこんできたのはさっきのボランチの本間選手だった。西もブロックに向かうが距離的に向こうの近い。ボールも向こうに転がってるし。


 何とか態勢を立て直し、本間選手のシュートに備えようとする。今度は中央に慌てて戻る。

 真ん中の場合『ネガティブゲート』ってどうすんだよ?


 そんな疑問が沸いた瞬間、本間選手のシュートがゴールへと向かってきた……が、すぐにはるか上空へと消えていった。


 おーおー。屋根まで行くんじゃねーの、アレ? 森山よりも盛大に外す奴もプロにいるんだ……。


「ホンマー! ゴールにパス! ゴールにパス! ワカッター?」


 お? 急にガリーニョが優しくなった。


 まるで子供に言い聞かせるような口調で、ピッチ上にも少し失笑が漏れる。


「おい! 早くゴールキック蹴れよ。頼むから」


 そう言って本間選手が去っていく。何だかすごく気まずそうだ。まぁ気持ちは分かる。ドンマイだ。


 とりあえず、最悪の結果にならなかったことの安堵が今更やってくる。

 

 『さぁ、司に届けてくれ』と想いを乗せて、俺はゴールキックを左に開いた越野へとまわした。

 

 




 



 ストックが切れそうです(現在2/21)。序章終了までは何とか持ちこたえたいと思っています。

その後は、まとめ書きしてから二章も毎日更新という形を取ろうと考えていますが、果たしてどうなるか……。とりあえず、そこまでお付き合いしていただけると幸いです。

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