87話 ハンド?人違い?OH,ソウジャナイヨ。いきなりファウルしてしまったよ~♪
「全ては困難であるが、全ては可能である」 ピクシー
敬愛するピクシーの語録で進行していますw 名古屋の調子が悪いのを見ると、こういった英雄を思い出します。僕自身も一時期サッカーがつまらないと思ってしまう時期があったのですが、彼のプレーで「やっぱ面白いじゃん」って戻されてしまいましたw 僕にとってフトバル(セルビア語でフットボール)の恩人ですね。
点差も広がり、四対一。
残り時間も十分を切ったころ、ペナルティーエリアの外。
内村の後ろからのプッシュに前傾気味の富良都が蹴ったボールが不破の右腕に当たったかの様に見えるシーンが訪れる。
そして鳴り響くホイッスル。
PKか!? と、どよめくピッチに主審はエリアの外を提示する。その前の内村のバックチャージをとったらしい。
主審が走ってきて「次はもう出すよ」と注意が行われる。
「止める?」
主審が富良都にそう声をかけた瞬間――、
首を振った富良都は受け取ったボールを右手でちょんと触りインサイドで優しく押し出す。
やられた!!
セットプレイがなまじ得意な奴だけに完全に虚を突かれた形となる。
裏に抜け出した梶薙と一瞬だけ遅れたがすぐに反応した西。他のディフェンスメンバーは咄嗟のことに動けていない。
ゴールエリアに向けトラップしてドリブルで侵入してくる梶薙。そのわずかに後ろ、必死で追いかける西。メンタル的なプレッシャーだけが精一杯だろうと察する。
ニアを消しながらゆっくりと前へと詰め、梶薙の視線が上がったその刹那――、
バッと一瞬だけニア側を開ける。
キックモーションがわずかに変化するのを見逃さなかった。
――迷ったな……
と感じながらボールへとトライする。
……はい。入りました。ゴールですね。
右腕と投げ出した右太ももの間。横腹を抜けていくボールに、言葉通り手も足も腹も出ませんでした。
流石に一対一は無理ゲーに近いな、とため息をつきながらボールを拾おうとしたら、梶薙にかっさらわられた。
勢いよく走って戻っていく梶薙が途中、富良都の頭をポンポンと軽く叩く。
その視界の片隅でユニフォームの胸元を噛んで「キィィィィィィ」となっている内村。あれはあれで、ちょっと面白くなってきた事に、我ながらがら順応性高いな、と苦笑いがこみ上げてきた。
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「イマのオモシロイネ! アレ、ドクトルの教えたヤツデショー?」
バウジールが両手を叩きながら喜んでいる。
「ええ。彼に駆け引きを教えるという意味で伝えたのですが、まさかこんな舞台でやるとは流石に思いませんでしたが」
「ソレが彼の良いところだと思うヨ。素直だモン。真っ白なキャンバス。下地が無いからすぐに染まる。勿論、注意しないと悪くなってしまう危険もアルケド……、今のは悪くないネ。彼の一つの武器でもあるウイングスパンとの相性もイイ!」
「結果として決められてしまったけど……」
「アンカリングは掛かってたネ、決めた方モ」
「今ならニアも入る、って一瞬だけど誤認させてはいましたね」
「ウン。オモシロイオモシロイ。本当にクスノーキーはオモシロイよ」
遙か遠い場所で、良き理解者二人は楠の事で盛り上がっている。
いつの間にか不思議なバウジールワールドに既に取り込まれて、割と居心地が良いと感じ初めてしまっていた芝浦洋二であった……。
もう日本はW杯アジア予選で本当の意味で苦戦することもなくなりましたね。2つとか3.5の枠を争っていた90年代のヒリヒリした感覚はもう味わえないのでしょうね。
森下さん、松永さん、前川さん、下川さん、川口さん、楢崎さん、小島さん、他にも本並さん、岡中さん、菊池(新)さん、森さん、候補ですが古川さんなど歴々の代表GKを思い出します。牧歌的な当時のサッカーもなかなか楽しいものでした。
う~ん、年を取ると懐古厨が加速してしまうと最近は特に感じていますw