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ゴブリン殲滅

「ん~、ゴブリン居ないんだけど?」

『私達も二度くらいしか見たことが無いですね』

『何よりも不味いしね~』


 あの化け物に実質負け、ボクには全体的にステータスが足りないことが原因なんだと感じた。それ以上に誰かと戦うということをしたことが無いというのも原因なんだろうけどさ。だからこそ、ひとに最も近い姿をしているだろうゴブリンと戦って対人の戦闘経験を積もうとしていた。

 しかし、そのゴブリンがなかなか見つからない。オークやらオーガやらは見つかるのだが、目的のゴブリンだけは見つからない。【動植物図鑑(ワールド・メモリー)】を開き、ゴブリンの詳細を確認する。ゴブリンはこのように書かれていた。


種族名:ゴブリン

危険度:Fランク

 一人でいるときは人間を襲うようなことはしないが、巣を作り集団などになると食糧確保と繁殖のために人間を襲う。武器は基本的に使うほどの知力はないが、ゴブリンキングというゴブリンをまとめる存在がいるときは別。ゴブリンキングがいると、統率が取れ武器も使うため、危険度はAランクに跳ね上がる。

 主食は薬草や獣の肉で、繁殖時精力をつけるために人間の肉や自分より強い種族を食べるようだ。そして、巣を作り終えた後、森からゴブリンの姿は見えなくなる。その時、巣には数百から数万のゴブリンがいることだろう。


「あ、これ、やばくね」

『どうしたんですか、主様』

『どうしたのだ~?』

「今、ゴブリン、繁殖期。巣、たくさん、ゴブリン、いる。その代わり、森、ゴブリン、いない」

『どれくらいいるんですか?』

『なんでカタゴトなのだ~?』


 あまりの規模に知らず知らずのうちにカタゴトになっていたようだ。一匹いたら数百匹はいるあの黒光りする例の虫よろしく大繁殖する。そのため、今は姿が見えない。そして、そのゴブリンの巣のようなものが今、眼下に広がっていた。崖の下に巨大な街のようなものが存在していた。旧石器時代のような家に緑色の皮膚を持ったゴブリンが入ったり出たりしている。数件の家だけで済んだらよかったんだけどね。


「数えんのが億劫なんだけど…」

『大体数万個の家がありますね。一つの家に一匹なんてことは無いでしょうから…大体十万匹くらいでしょうかね』

『害悪は殺さないと駄目だよね~』


 たくさんのゴブリンを見て、目をギラギラと輝かせる二人。ここまで圧倒的な数を相手にする経験もそう無いだろう。戦いの中で成長していけることもあるだろうし、せっかくの機会にゴブリン駆除とボクの戦闘経験を積むとしよう。


「始まりはやっぱりこれだよね。ファイアーブレット、一斉掃射」


 背後に複数のファイアーブレットを展開すると、崖の下を歩くゴブリンに向かって一斉に放つ。化け物にあったときには気が付かなかったが、空中に魔力のもととなる魔素と呼ばれる物が漂っている。それを直接操って魔法を編むこともできるようで、それをやったところボク自身の魔力を一切使わず魔法を使うこと出来てた。そのため、魔力を使いすぎたときに起こる倦怠感も無く、たくさんの魔法を使うことが出来た。

 突然の奇襲に慌てふためくゴブリン。ファイアーブレットに当たったゴブリンは灰へと代わった。


「二人もどう?って、もう居ないし」


 先程から無言の二人を不審に思い後ろを見ると、その姿は既に無かった。やれやれと思いながら視線を下に向けると笑顔で蹂躙する二人の姿があった。


「なんか、凄く楽しそうだよね。…あ、安置で魔法を放っていてもボク、成長しないじゃん」


 成長できないこと気が付いたボクは、二人と同様に50mもある崖の上から飛び降りる。痛覚耐性Lv8があるおかげか、痛みは一切無い。最初にステータスを確認してからまだ一度もステータスを確認していないからどれくらい上がっているか分からないが、ある程度は成長していることだろう。

 きっと、そんなこともあり今ボクは無傷で地面に着地していた。地面はひび割れていたりしているが、ボクが無傷なので在ればいいんじゃ無いかな?


「さて、ボクとも戦おうか?ゴブリン達?」

『グギギギギャアアアアアア!!』


 雄叫びのような声と共に数匹にゴブリンがボクを覆うように移動し、袋だたきにしてくる。知能が最低ランクのハズのゴブリンが棍棒や石斧を持っていた。図鑑の通りであれば、何処かにゴブリンキングがいるんだろう。ゴブリンキングと言う奴であれば、その他のゴブリンよりも大きい個体を示しているような気がする。

 しかし、いくら周囲を見回してもゴブリンより大きな個体は見当たらない。ただ単純に知能が高いが故にどこからかボク達を見ているのか、それとも既に逃げてしまっているのか。前者であれば皆殺しにすればきっと見つかることだろう。もし後者なのであれば、また探さなくてはいけないという面倒くささがあるため、ゴブリン達を纏めて殺して森を探すしか無いだろう。


「ま、取りあえずはこのゴブリン達をどうにかしてから考えるとしようかな」

『グキキキ』

「その程度の攻撃じゃ、ボクには傷一つ付けられないよ?」


 数匹のゴブリンがボクを袋だたきにしようとしているのだが、その攻撃がボクには一切通らない。これは所謂防御力チートと言う奴なのかも知れないね。こんなにダメージを喰らっていないんだから、雑魚敵の攻撃は喰らわないとみてもいいだろう。

 そして、これはボクの予想に過ぎないけど棍棒や武器を使っての物理攻撃をすればするほどSTRが上がっていくんじゃ無いかなって思ってる。DEXだったら細かい作業とか、敵の攻撃をひたすら受け流したりしていく。DEFなら相手の攻撃をひたすら受けていくとかね。まだこれは予想に好きないけど、このゴブリンの巣を全滅させ次第ステータスを確認して、予想が正しいか確認してみようと思うよ。


「それじゃあ、さっさと塵掃除をしないといけないよね?」

『グギギギギャアアアアアア』

「五月蠅い」


 一匹だけタイミングの早いゴブリンが居たため、そいつの攻撃を隣の奴に受け流した。なんと言うことでしょう。ゴブリンの攻撃によって一匹のゴブリンが絶命したではありませんか。…この言い方も疲れるからもうやらなくていいや。 

 そんなわけで、背後に再びファイアーブレットを編むとボクを覆うゴブリンを焼き殺す。やっぱり物理で戦うよりも魔法の方が楽でいいよね。ボクの魔法を使う奴のイメージだけど、物理攻撃一発で死にそうっていうのがボクの中で魔法を使う奴なんだよね。

 だからさ、魔法を使うのにめっちゃ堅いって凄く厄介な存在だと思わない?ボクはそんな人間になりたいね。


「さて、ようやくボクの片付いたね。二人は…あぁ、生き生きしてらっしゃるようで。凄い笑顔」


 適当にそこら辺のゴブリンの家を焼きながらスルトとメトゥスの方を見る。スルトは背中から生えている二つの拳に火を纏わせゴブリンを殴り殺す。メトゥスはディアボリック・エミッションで殲滅する。そのときの

二人の目には光が灯っていなかったが、口は確かに笑みを浮かべていた。目以外は楽しそうだったよ。目以外はね。


『グゲルギギ』

「あ」

『グギャッ』


 焼いていた家の一軒から普通のゴブリンより一回り大きなゴブリンが出てきた。最初は起こった様子だったのだが、ボクの姿を見た途端、一気に顔を青ざめさせていた。正確には光の無い目で見つめる二人の姿を見たから何だろうけどさ。

 ボクから必死に逃げようとするゴブリンキングの足にダークブレットで穴を開ける。突然感じた違和感に足を止めるゴブリンキング。違和感の箇所に目を向け、足に穴が開いていることを確認すると絶叫をあげた。


『グギギギギャアアアアアアァァァァ!!』

「あはは、ふふふ、痛い?痛いよね?でもさ、襲ったキミ達が悪いんだからね。最初に奇襲したのはボクだけどさ。でも、今繁殖時期じゃなかったらここまで殺さなくてもよかったのにね。…キミ達は本当に運が無いよ」


 出来る限りの笑みを浮かべ、ボクはゴブリンキングに近付く。ボクが近付くたびにゴブリンキングは後ろに下がっていく。足は既に治っているようだが、その顔には何処か恐怖のような物があった。こんなちっぽけな人間如きから逃げようとするなんて無様以外の言葉が思い浮かばないよ。


「さて、怖い思いもこれくらいにしたいでしょ?あぁ、折角だキミには二つの選択肢をあげるよ。このままボクの経験値になる。それともボクと契約する。どっちがいい?」

『ご主人様、正気ですか!?』

「ボクは至って正気さ。今更一人増えたって変わらないよ。さっきからボクの後ろを着いてくるオーガ四匹も居ることだしさ」

『全然気が付かなかったのだ~』


 ボクがそういうと四匹のオーガがゾロゾロと崖の上から降りてくる。ボクは別に気配察知能力が高いというわけでは無い。そんなボクでも気づけた理由は、一度見たからだった。ボクが崖から飛び降りる前に一度後ろを見たとき心配そうにこちらを見る四匹のオーガの姿があった、それを確認したからだった。


「さて、キミはどうする?死ぬか生きるか。このままゴブリンを統率したという誇りを持って死ぬか、それとも誇りを捨ててまでボク野本で生き残るか。どちらがいいかはキミが決めなよ」

『グゲゲギ…グギ』


 ゴブリンキングはボクの前に跪いた。それに続くかのようにオーガ達も跪く。これでボクと彼等の間に契約が行われた。ボクは彼等の主で、彼等はボクの僕なのかな?彼等が僕だった場合、スルトとメトゥスはどういったポジなんだろう。…家族?

 まぁ、このことは後々考えようか。とりあえず、この五匹の名前を考えようか。赤、青、黒、白のオーガに碧のゴブリンキング。さて、いったいどうした物か。


「赤いオーガはガイスト、青いオーガはリーベ、黒いオーガはナーダ、白いオーガはナイトメア、ゴブリンキングはゼーレだな」


 体から魔力がごっそりとなくなる感覚が訪れると共にボクの意識は遠のいていったのだった。…アレ、前回はこんなことは無かったと思うんだけどな。

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