第二話
去年まで、冬の女王様の冬の力は弱まる一方でした。
冬の女王様が、魔法使いのお医者さんのところへ行ったところ、こう言われました。
「冬の女王様は今まで頑張ったので、そろそろ力を出すところがボロボロになってきたんでしょう。ここだけは私たちでも治せませんから、お子さんに次の女王様になってもらうのがいいでしょう」
お医者さんの言葉を聞いた冬の女王様は、娘が今年で大人になることもあって、他の女王様に伝えることなく代替わりをしたのです。
「知らされてないのに、なんで秋の女王はそのこと知ってるんだよ!」
夏の女王様は、先ほど冬の女王様に怒鳴られて、機嫌が悪いみたいです。
「私は春とか夏には冬の女王といろんな所行ってたから、それで知った」
何も気にしていないように、マイペースな秋の女王様は淡々と話します。
「大人なんて言われても、わかんないよ」
話が聞こえていたのか、冬の女王様が呟きました。
「ちょっと前まで子供子供って言ってたのに、皆、急に「大人なんだから」「大人なんだから」って。クリスマスプレゼントもないって言うし……。だから私はずっとここにいることにしたの! 皆が勝手なこと言うなら、私だって勝手なことしてやるんだから!」
怒りを込めて言う扉の向こうに、「ほんとに子供の駄々だな」と夏の女王様が頭を掻きました。
それきり、冬の女王様は一言も喋らなくなりました。
「けど、これは困ったな。どうすればいいんだ?」
眉尻を下げた夏の女王様は、他の二人を見ます。
「私にはどうもこうも……」
両手を上げた秋の女王様は、最後の一人の方へと目を向けます。
「私は……ここでは話せないから、ちょっと移動しよう」
夏と秋の女王様を連れて、春の女王様は塔から離れていきました。
「……何よ」