千里の拳。これがパンの力だ!!
この一週間で雪が家の前に一メートルくらい積もって、親戚中の家に除雪のヘルプとかをしているうちにこれだけ時間が経ってしまいました。ブックマークを登録してくださった読者様、評価を下さった読者さま、拙作に感想を下さった読者様。更新が遅れて本当にごめんなさい。宜しければ気が向いた時にでも読んで下さい。本当に御免なさい。
疾風が大地を翔け上がる。野を越え山を越え、敵と合間見える為に。目の前を遮る木々を避ける。
それは風にとっては造作もないことだった。木々を傷つける事無くまた木の小枝を折る事もなく、風は自由自在に木々に導かれるようにして山を翔け上がって行くのだ。
ここで爆空は思う。未だに自分は師の教えにある、自然と一体化するという奥義を体得したわけではない。これらの身体操作の数々は日々の修行を通じて、自然と対話すること中で身に付いた仕業なのだと考えた。
故に土や泥が彼の足の裏を汚すようなことはない。どこに足を踏み入れれば、足の裏が汚れるかを前以て大地が教えてくれるのだから。地面に落ちた枯葉を踏むことも、健気に生きる草花の命を散らすこともない。
だが、この先に彼を待ち受ける存在は違った。言うなれば爆空と対極の存在だった。前に進む度に何かの命を奪い、辺り一体を破壊し尽くす邪悪の権化。唯一の救いがあるとすれば、今目の前で起こっている惨劇の全てはかの者にとって不本意な事態であり、決して自分の意思で破壊や破滅を望んでいるわけではないことだけだ。
胸に様々な思惑を秘めてついに爆空は目指す場所までに到着する。だがしかし、巨人の出現によって変わり果てた山と森の姿を見て絶句した。
「なんということだ」
あるべき色彩と形を失った風景を見た爆空は両目から涙を流した。これが以前の弱いままの爆空ならば悲しみに心を折られていた。修行の半ばの爆空ならば怒りに心を奪われていた。だがそこにはかつての嘆くばかりの無力な少年はいない。
今の爆空は違う。屈辱は雪辱に、私憤は義憤に変わる。己の無力を呪うならば、今この時を変える。森の自然はこの程度の理不尽に屈したりはしない。故郷の人々の心はここで折れるようなことにはならない。今は悲しむかもしれないが、明日には絶対に立ち直っている。ならば今の自分がすべきことは一つしかないはずだ。鍛えぬいた我が拳で巨人を打ち砕く。
ただそれだけだ。
その時、爆空と巨人の目があった。爆空は臆することなく巨人を視線を交わす。爆空はごく自然な動作で戦闘態勢に移行する。両脚を開いて腰を落とす。左手は前に、右手は右大腿のあたりに掌を開いて添える。爆空の視線は巨人から捉えたまま、ついに相対するまでに至ったのだ。
巨人は歩みを止めた。何とも嫌な気配に勘付いたのだ。この気配は何処のものか。それまで意識も虚ろなままだった巨人は自らの存在を許さぬ者、即ち外敵の存在を知る。
巨人は目をかっと見開く。今までは何も感じる必要がなかったので、自分の目を使おうとも思わなかった。巨人がただ歩くだけで周囲が気を利かせて道を譲ってくれたので全く気にかける必要が無かったのだ。
これはどういうことだ。何が起こっているというのだ。
前に何かが存在していて、巨人の前に立ち塞がっている。結果はどうあれせめて破壊する前にどんな相手が自分の邪魔をしようとしているか興味が沸いた。
爆空は突き出された左手で敵から向けられた意志を圧した。敵を倒す時に、わざわざ自分の居場所を教えることも相手に殺意を向ける必要はないのだ。こうして敵に掌を向けて、敵がこちらに向けた気を制圧するだけでいい。さすれば敵は己の放った殺気のせいで身動き出来なくなる。これらはリュウ・パンパンの教えだった。
こんな小さな輩が、なぜ自分に道を譲らない。巨人は激しく憤慨した。目を開いたその先に見えたのは小さな人間。鼻息だけで吹き飛んでしまいそうな脆弱な存在だった。
「止まれ。もしくは引き返せ。これ以上、前に出るつもりならば、お前の無事は保障できない」
自分の言葉が相手に理解できるかどうかはわからない。そういった状況でも爆空は決して相手を軽んじたりするような真似はしない。獅子は兎を狩る時にも全力を尽くす。その逆も然り。忘れてはいけないのが、獅子は獣の王者。どんな時でも弱者を労わる慈悲の心を忘れてはいけない。王者が狐や狼のように奸智を用いれば、王の威容は失われる。相手が邪悪の化身であろうと退路を閉ざしてしまってはいけない。真の勇気ある者は最後の最後まで対話の機会を諦めてはならないのだ。
だが、爆空の声は巨人の耳には届かなかった。巨大な岩塊のような拳が爆空のいた場所を一瞬で砕いた。地面は抉り取られ、周囲はまたも瘴気に毒される。
巨人は地面に突き刺さった己の拳を見た。その一撃の威力は絶大だが動作は緩慢。当然ながら爆空の死体はない。巨人は逃げた獲物の姿を捜す。巨人は耳まで裂けた口を全開にして、力の限り絶叫する。こいつだけはここで殺しておかねばならぬ、と言わんばかりの有様だった。
「忠告はしたぞ。化け物」
その声は怪物の頭上から下方に向かって届けられた。なんと爆空は殺気を察知するやいなや、瞬時に死角へと回り込み背後から巨人の頭の天辺まで上り詰める。
この驚愕の事実を前に巨人は茫然と立ち尽くすばかりだった。爆空が何を伝えたのか、巨人は彼の言葉の意味を知ることは無かったが彼の意図だけは確かに伝わっていた。このままでは脳天に一撃を食らうのは当然の成り行きである。巨人は頭上の爆空を振り落とそうとも、手を伸ばして捕まえるわけでもない。この時、意識が理解に追いつかない状況が出来上がっていたのだ。
爆空は下に向けて左手を差し出した。今度は敵の頭上から攻撃の意志を以って圧しているのである。これらの技は魔術や妖術の類ではない。自然との対話によって知らずのうちに身についた生存術である。
師曰く、カナブンに牙は要らない。カナブンに角は要らない。なぜならばカナブンは己の弱さを熟知しているから。カナブンの薄い甲羅では冬の寒さを凌げない。だからカナブンは冬には姿を消してしまう。非力なカナブンでは外敵に立ち向かうことなど出来はしない。だから、カナブンは争いの気配がするとすぐに逃げてしまう。
「故に己を知るカナブンを追いかけるということは、自然に牙を剥くことと同じ事だ。天に唾する者は相応の報いを受けることになる。だから俺はお前を罰することはしない。ただこうしてお頭に手を乗せてやるだけでいい」
今度は爆空の右手が、すでに下方へと伸ばされた左手に沿ってゆっくりと無駄なくそしてただ静かに降ろされる。
「力は要らぬ。気孔の要所を押えるだけでいい。五体に張り巡らされた気脈の流れほんのすこしだけ止めてやれ」
皿の上に置かれたパンの中からリュウ・パンパンが弟子に向かって告げる。実は爆空が心配だから同行した、とは死んでも口にしないリュウ・パンパンだった。
爆空の右拳が巨人の頭の中心に乗せられた。巨人の頭の上はさながら灰色の荒野だった。今もこうして立っているだけで、一瞬でも気を抜けば意識を持って行かれそうな気分だった。おそらくは巨人の体内に存在する毒気を発する源となっている物の仕業だろう。これが常人ならば瞬く間に邪悪な気炎に巻かれて意識を失ってしまったのかもしれない。運が悪ければそのまま瘴気に魂までも毒されて生ける屍になるという可能性もあった。
「ぬんっ!」
爆空は右の拳に力を込めた。そして、一気に体内で錬成した見えざる力の奔流を解放する。次の瞬間、爆空の大きな背中は膨れ上がった。頑健な筋肉に覆われた背中から白い炎のような柱が沸き立つ。
爆空の右拳が当てられた場所を中心に大きな亀裂が生じた。巨人は真上から押さえつけられたような形で強引に足を止められた。巨人の両目から涙のようにして毒気を含んだ液体が流れ落ちる。気がつけば耳や口からも黒い液体が噴出していた。黒い液体の飛沫は付着したものを周囲はおろか巨人の肉体までをも溶解させていく。
この黒い液体は巨人が周囲に発散していた瘴気の原液であった。これらは本来ならば体内で熱せられて気化した状態で体外に排出されているわけなのだが、先程爆空が使った技によって機能そのものが失われてしまったのだ。
放出先を失った瘴気が体内に充満している。一刻も早く気体を放出しなければ、巨人の肉体は限界を超えて崩壊してしまうだろう。巨人には内なる力をコントロールでする術など最初から持っていない。自分の肉体がこうなってしまってから痛みを感じることはない。この後に及んでようやく意識が理解に追いついた。何とかしなければ自分に待っているのは確実な破滅だ、と。
右拳の先から膨大な力を感じる。巨人の体内に宿る悪しき力に違いあるまい。爆空は再び右の拳に意識を集中する。次々に出口を塞いで、体内の一点にだけ力の流れが溜まるように誘導しているのだ。力を暴走させて心臓を爆破してしまえば楽なのだが、そうしてしまっては周囲への被害は甚大になってしまう。脳か心臓にあたる部分の機能を一時停止させるだけに止めなければならない。何とも骨の折れる仕事であった。
巨人の足首が動きを止める。突然、頭部からの指令を受け付けなくなってしまったのだ。踝のあたりがどす黒く膨れ上がり、破裂寸前になっている。何とか膨張を止めようと反射的に両手を伸ばすが時は既に遅し、既に両腕の自由は失われていた。次いで巨人のふくらはぎと膝が膨張し、ガクンと体勢を崩して大きく膝をつく。膨らんだ腹部のへそのあたりから黒い液体が噴出する。それとほぼ同時に頭蓋の亀裂がさらに深く走った。
巨人の目から黒い液体が堰を切って流れ出す。同様に口からも黒い液体を一気に吐き出した。巨人の涙と反吐によって地面に黒い池が出来上がる。それらは一度、身を浸せば容赦なく溶解させる地獄の池であった。今度は巨人の肉体に黒い液体が反応して主の肉体を溶かし始めた。
爆空は巨人の頭から少し離れた場所に着地する。終わりの時が来たのだ。
「未熟な俺にお前を救ってやる術はない。故にこれからは俺はお前が誰にも迷惑かけないように一片残さず消し去ってやることにした。悪く思うなとは言うまい。だが、もしも誰かを恨むならば俺だけにして欲しい。俺は誰のものでもない俺だけの意志でお前を葬るのだから」
巨人は膝を屈し、首を垂れていた。どうしてこんな姿になってしまったのか、彼は一生知る機会はないだろう。なぜならば爆空・バーンズという男が彼の一生をもう一度終わらせることになるのだから。
爆空は腰を落とし、必殺の一撃を放つ為の準備を終えた。腰の位置まで降ろされた爆空の両腕は、ごく自然な所作で揃って下に向けられていた。これから繰り出される技もまた敵の命を奪う為のものではない。悪しき力を導き、宿業から解放してやる為の手段なのだ。果たして自分にそんな大それたことをする権利があるのか。爆空の中に僅かな隙が生まれる。
「これをお前がやらずして他の誰がやるというのだ。早く彼奴のカナブンを天に解き放ってやれ、爆空」
兵は不肖の器。兵法は詭道。武術もまたその因習から外れることはない。拳法家は拳を学んだ日から、何かを傷つけ奪っていく宿命を背負わされることになる。故に来るべきその日の為に自分の犯した罪の重さに負けてしまわぬよう、心身を鍛えるのだ。
「お前が間違った道を歩むなら、共に地獄に落ちてやる。私が骨を拾ってやるぞ、爆空。だからこそ、今のお前が持ち得る渾身の拳で彼奴の命に報いを与えてやれ。それがファイティングカナブン・アーツの伝承者としてのお前の宿命だッ!!!」
人間は麒麟にはなれない。人の身ではどんなに修行をしても野原を歩けば草木を傷つけてしまう。この巨人と自分にどんな違いがあるというのだ。自然と一体化するということは自然に身を委ねることではない。自然そのものを自分の体一つで支えることなのだ。
爆空は大地に意識を張り巡らせて、周囲一帯に気を流し込んだ。瘴気によって傷つけられた山や森の苦しみを感じ取る。後から遅れて大地を伝って巨人の苦痛も爆空の中に流れ込んできた。他者の全てを理解することなど出来はしない。つかず離れずゆっくりと歩調を合わせて行くのだ。
やがて苦痛を理解することで得た環境との対話を終えた爆空は大地の力をも手にする。そして今度は足の裏から、既に流し込んだ己の力と共に大地の力の一部を借り入れることに成功する。
倒れかけた巨人の肉体から大地を腐食させる液体が噴出した。爆空は避けずにその飛沫を受け止めた。液体を浴びた胸と腕の一部がわずかに溶ける。しかし、カナブンのオーラを纏うことに成功した爆空の肉体に深手を負わせることは出来ない。
爆空は下に向けていた両腕を目線よりもやや下に構えた。彼の肉体の中に宿る自然の力はカナブンのオーラに導かれ今は身じろぎしない竜巻のように暴れだす機会を窺っていた。回転、螺旋、衝天。下手をすれば山ひとつ崩しかねない暴威を爆空は心の力で押し止める。
これらを放つのは、別れの挨拶を済ませた時だと己の魂に誓っている。
「待たせたな」
爆空と巨人の目があった。爆空の両肩に二匹のカナブンが止まっている。カナブンたちが巨人をあるべき場所へと導くのだ。巨人が爆空や村の人々にとっては災厄でしかない存在であったとしても、別れの挨拶ぐらいはしておきたかった。
「これで最後だ。この双子のカナブンがお前をあの世に旅立たせる。出来れば次は別の形で再会しよう。さらばだ」
満ちては引き、引いては押し寄せる波のように。突き出された爆空の両手は一旦折りたたむようにして胸の位置まで戻された後、半歩の踏み込みと共に巨人に向けられて再度放たれた。巨人の足踏みと比べても負けないほどの威力を持つ爆空の踏み込みが大地を激震させる。それとほぼ同時に巨人に向かって放たれた爆空の両手の掌底打ちが空気を突き破った。
大自然の底力と爆空のカナブンオーラによって作り出された衝撃波が巨人の上半身にぶち当たる。
爆空の上を飛んでいた青いカナブンが巨人のもとに向かって飛翔する。
「さあ、行こう。遅れて生まれて来た僕たちの兄弟よ」
青いカナブンの後から飛んできた赤いカナブンが、巨人に優しく語り掛ける。闇洞夜風によって魔物と化した巨人の犯した罪を赦し、天へと導く為に。
「君は一人じゃない。さあ、ともに天へ帰ろう」
この時、巨人は生まれて初めて他者の言葉に耳を傾けた。邪悪な力に毒されて生まれた歪な命が聞いた自らの生を否定しない最初の祝いの言葉。巨人の赤い瞳から喜びの涙が流れる。
「罪を憎んで、人を憎まず。贖罪の旅路の果てに生まれ変われッ!ツインズカナブンッ!ダブルストリームボマーッッ!!!」
最初の半歩は相手の防御を解く為に、そして次の半歩は敵の銅を打つ為に。二度に分けて、掌底打ちを放つのは相手を殺さぬ為に。パンパンは最初から爆空を魔槍を越える存在とする為に鍛えていた。
「一打の旋風を以って、二撃の烈風を止める。これぞ新たなファイティングカナブン・アーツの奥義だ」
爆空が大地を蹴って、二度目の爆発が起きた。一度目で突き出された両手は弧を描くが如く戻して、今度は前に向かって伸びる旋風として撃ち出された。これこそが一打目の威力を敵の体内で相殺する為の技。
空を飛ぶ事を競う、双子のカナブンがぶつかり合って地面に落ちてしまう自分たちの仕出かしたことの同じ親から生まれた兄弟たちが共に競うことの愚かさを知るという例え話からパンパンが思いついたファイティングカナブン・アーツの新しい技であった。
一度目の衝撃と、わずかな時間を置いて放たれた二度目の衝撃が巨人の中に入り込んだ。自らの肉体を内部から破壊しようとしている暴走した力は一度目の衝撃によってさらなる勢いを得た状態となっていた。怒涛の勢いで押し寄せる力の本流の経路の全てを破壊した。残るは巨人の肉体を限界まで膨張させて爆ぜさせるのみ。しかし、ここで爆空の放つ二度目の掌底打ちの衝撃が怒涛の勢いで再び進撃する。
このままでは二度の衝撃で巨人の肉体は大爆発すると考える読者の紳士淑女もおられることだろう。しかし、ご安心していただきたい。暴走している側の力は一度目の攻撃である程度、力の方向性を操作されている為に全く逆の力の方向性を持った二度目の攻撃を受けてしまったのだ。この場合、どちらかの力が勝れば周囲を巻き込む大爆発が起こってしまうが今回に限ってはそうはならなかった。なぜならば爆空の二度目の攻撃は暴走した巨人の力と一度目に放った攻撃とが合わさった力と同量のものだったからだ。
「「これがパンの力だッ!」」
爆空とパンパンが同時に叫んだ。食パンを五本作る修行が今、生かされたのだ。軽量カップを使って材料を用意することも、軽量スプーンを使って調味料を用意することも決して無駄ではない。正しい分量の計測は美食の源になり、やがてはこの世に正義と秩序を為すことになる。みんなも「めんどい」とか「信じられない」とか言わずに大匙や小匙を使って調味料を使おう。減塩はすぐに結果が現れる一番効率の良い健康療法だぞ!( ← 一部の人間の偏見です。気にしないで下さい )
新生ファイティングカナブン・アーツの奥義、ツインズカナブンダブルストリームボマーを受けた巨人の肉体は膨張と収縮を繰り返しながら地面に倒れこんだ。いかに闇洞夜風の力が強大であろうと体内で同じ大きさの力に暴れ回られてしまえば減衰する以外に道はない。これが何らかの科学物質ならば相殺される際に新しい物質を生み出すことになるのだが、闇洞夜風は大地の下にあるという死者の国という異世界から運び込まれた超自然的な存在である。四大元素が機能している爆空の世界では、対となる元素同士が等位存在になって反応すると消えてしまうのだ。この点がパンパンの故郷である世界と筆者や読者の紳士淑女の住む世界との違いである。
「敵に救われたな、爆空。この程度の弱い敵だからこそ、お前はどうにか生き残る事が出来たのだ」
山よりも大きかった巨人の姿は、今や目の前の若木ほどになっていた。体中ボロボロになって縮んでしまった今の巨人は、無念という言葉を体現したような姿だった。パンパンが宿ったパンを皿の上に乗せた爆空は、巨人が息絶えたかどうかを確認する為にここまでやって来たのである。敵に救われた。そうに違いない。師匠の言う通りだろう。敵が引き際を見誤ってあのまま暴走すれば、あの禁断の力を使ってしまったかもしれない。
「仰る通りです。お師匠様」
「今のお前にハイ・パンダーの力は手に余る。これからは菓子パン作りの修行に移行し、さらに力をコントロール出来るようにするのだ。良いな」
「はいっ!」
次は転生処刑人ではなくエクスパンダーを書くと思います。今年の冬はクレイジーなので除雪が絡むと親戚や知人のほとんどが60オーバーなので更新が遅れると思います。でもこんな話(神居先生、ごめんなさい)を評価したり、感想を送ってくれたり、ブックマークを登録してくれたりしてくれる読者様たちの為にもやるだけやってみます。それでは失礼させてもらいます。