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第3章その2

「いえいえ。喜んでもらえれば、サントクさん」

ハジメが笑顔で答えた。ニトリが白猫でサントクが黒猫。サントクがやや大柄であること以外はそっくりで、見分けがつかない。トムは面食らってしまった。

 厨房から出て来た店主と女将、そしてハジメのやり取りがしばらく続いた。それを後ろから眺めていたトムは、三人が奇妙な動作をするのに気がついた。ニトリとサントクが、両手を胸の前で合わせて目を閉じた。すると、二人の胸の辺りが黄金色にパァと輝き、その光をハジメが受け取る様なしぐさをしたのだ。

「ハジメさんにはいつもたくさん支払ってもらってるから、店の売り上げも倍増だ。今日はおごりだ。腹一杯、食べて行きな!」

サントクがコック服のそでをまくり上げて言った。

「じゃあ、お言葉に甘えて、この子にもご馳走してくれるかな?」

後ろで控えていたトムの背中を押し出しながら、ハジメはニトリとサントクにお願いした。

「おや、見かけない顔だな。名前は?」

「ト、トム・・・」

サントクの野太い声にドギマギしつつ、トムは小さな声で返答した。

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