表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/33

第3章その1

 向かった店の名前は『笑顔の仲間亭』といい、村の目抜き通りにあった。

 二人が木製のスイングドアを押して店内に入ると、すでに夜の営業は始まっていた。数人の先客が丸いテーブルにつき、巨大なジョッキで発泡酒を楽しんでいた。

(うわぁ・・・この人達、顔がネズミだ)

ハジメとの約束を守って、トムは口の中でこっそりとつぶやいた。

「やぁ、ハジメさん」

「ハジメさん、久しぶり。元気だった?」

「ハジメさん、ご機嫌よう!」

顔見知りばかりらしく、店のあちこちから声がかかる。それぞれにあいさつを返しながら、ハジメはカウンターの奥にいる人物に話しかけた。

「今晩は、ニトリさん。今日は、キノコと木の実を持ってきたんだけど、好きなのを選んでよ」

「おやまぁ、こんなにたくさん・・・じゃあ、遠慮なく頂くよ」

後ろ姿からは、頭に布を被っていて分からなかったが、振り向いたニトリは猫の顔をした女将おかみであった。さすがに今度は、トムは驚かなかった。

 ニトリはカゴの中から手早く入り用なキノコと木の実を選ぶと、厨房に向かって叫んだ。

「ちょっと、あんた。ハジメさんからの頂き物だよ!」

「おーっ、いつもありがとうな」

野菜を刻む手を休めて振り返った店主の顔は、やはり猫であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ