5/33
第2章その1
トムが出会った若者の名は、ハジメと言った。トネリ村では聞き慣れない響きの名前である。
ハジメに促され、トムは彼と並んで森の道を歩き始めた。自分の置かれた状況に順応してきたトムは、子供らしい好奇心を発揮しだした。
「ハジメさんは、森の中で何をしていたの?」
「ああ、森の恵みを頂戴しにね」
ハジメは、自分の背負っていたカゴの中身をトムに見せた。中には色とりどりのキノコや木の実が八分目まで入っている。食べ物を前に、トムのお腹がグーッと鳴った。自分のへその辺りを押さえて、トムは耳まで真っ赤になった。
「丁度いい。ニトリさんの店に行って、食事にしよう」
ハジメが笑いながら言った。
トムとハジメが村にたどり着いた頃には、日も大分落ちかけていた。
「ここが僕の村だよ。『感謝と念いの村』というんだ」
そうハジメが教えてくれた。
「ふうん、面白い名前だね。長いし」
無遠慮に自分の感想を口にしながら、村の通りに目をやったトムは、行き交う村人達の姿に驚愕した。人間のそれではなかったのである。




