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第1章その3

 それでも、しばらくの間はその場所に留まっていたが、次第に高まってくる緊張感に、トムは耐え切れなくなってしまった。

 そこから立ち去ろうと、身体を起こし、左足を一歩踏み出したまさにその瞬間、異変が現れた。

 遺跡の出入り口の石造りの門の輪郭が、なぜだかぼやけて見える。いや、透き通ってきたという方が正確であろうか。

 トムは驚きのあまり、数分間、関節が固まってしまったかのように動けずにいた。しかし、その異様な空間が、自分の方に迫ってくるのを察知して我に返った。

(あぶない! 逃げなくちゃ)

本能的に危険を感じとったトムは、出口とは反対方向の、遺跡の奥へ奥へと走り出した。百メートルほど走ったところで後ろを振り返ると、ぐんにゃりとした空間がどんどん大きくなり、すぐ傍までせまって来ていた。

(あれに捕まったら、終わりだ)

トムの心は、恐怖でいっぱいになった。無我夢中で足を動かし続けた。何としても、逃げ切らなくてはいけない。

 どれ位走り続けただろうか。息切れしたトムは、草の上に倒れ込んだ。呼吸を整えてから、上半身だけを起こし辺りを見回す。遺跡の中に居たはずが、いつの間にやら、うっそうとした森の一本道へとたどりついていた。

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