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第6章その3
「うん、そうだよ。ハジメさん達は使わないの?」
「僕らは、買った品物の代金を、『感謝の念い』で支払うんだ。君にも見えたんだよね。皆んなの胸が光るのが」
「見えたけど・・・えーっ、買い物をしてお金を払わないなんて、おかしいよ」
「僕から言わせれば、混ぜ物の金属や、絵や数字を書いただけの紙切れで支払いをする方が、奇妙に思えるけどね」
軽く片目をつむりながらそう言うと、ハジメは紙袋をトムに手渡した。ふと、何か閃いた様子で、ポンと両手を打ち合わせた。
「そうか! 君がこちらの世界に招かれた理由は、ひょっとすると、『お金』のこと辺りにあるのかもしれないな」
言われたトムの方は、意味が分からず、目をパチパチさせた。




