第5章その1
寝袋の中でトムが目覚めた頃には、日はすっかり昇り切っていた。目をこすりながら横のベッドを見ると、とっくにハジメは起き出していて、ベッドも整えられていた。
隣りの部屋からカタコト音が聞こえてくる。トムが起きた気配を感じたのか、ドアが開き、ハジメが顔をひょいとのぞかせた。
「おはよう、よく眠れたかい?」
「うん、眠れた」
「じゃあ朝食にしよう。顔を洗って・・・あ、寝袋はたたんで、ベンチの中に片付けておいてよ」
そう言い残すと、ハジメは台所へと引っ込んだ。トムはしばらく寝袋の中でぼんやりとしていたが、もう一度ハジメに声をかけられると、慌てて起き出した。
家では部屋の片付けなどしたことも無かったが、何とか寝袋をまとめると、ベンチの下にある収納箱に押し込もうとした。なかなか上手くいかない。トムが四苦八苦していると、またハジメが顔を見せた。
「あぁ、ダメダメ。まず表面を整えて、寝袋の端と端をきちんと合わせて、箱の大きさに畳まないと」
ハジメがお手本を示して、寝袋を小さなスペースにきれいに納めた。トムはただうなずくしかなかった。
「君には、たくさん教える事がありそうだ」
ハジメがにっこりと笑った。




