Arousal~覚醒~ 1
耳元で大きく鳴り響くベルの音は眠りから覚める。
ボサボサの髪をかきあげながら、ベットから置きあがる。
朝食の前に、となりの部屋の妹、クレハにあいさつをするのが日課になってる。
幼いころに原因不明の病気にかかってしまった妹は部屋からもあまり出ることできなくなるぐらい身体は衰えてしまった。
ベットから起き上がることがなくなった。妹、クレハは朝のあいさつを楽しみにしてくれるように起きて待っててくれる。
クレハの部屋と書かれたプレートのかかるドアを2回ノックする。
黒髪でヘアーバンドが印象のクレハはにっこりとこっちを見て微笑む。
「おはよう クレハ」
「おはようございます お兄ちゃん」
少し怒った表情でクレハは時計を指差しながら、顔をを引きずる表情をする。
「お兄ちゃん、今日は10分の遅刻ですよ。1日一回の兄弟のスキンシップなんだから……」
少年は妹の顔を見れずに困った表情のまま下を向く。
「ごめん、クレハ、急いでるんだ。今日も3時ぐらいに帰ってくるから」
「あ……お兄ちゃん、クレハね……久しぶ……」
「……早めに帰ってくるよ」
クレハは寂しそうに部屋のドアから兄の姿が消えるのを見送る。
テーブルに置かれるメモ書きには今日も遅くなると書かれた母のメモと用意された朝食もあるが1時間も前に用意されたものであり、完全に冷めている卵焼き、
と食パン、それらを無造作に取り食パンに挟んで家を出るのもアヤタの日常の一つだった。
家に残る病弱なクレハを考えるばかりか次第にアヤタには妹、クレハに対して冷たくなってしまっていた。
いつからクレハのことが邪魔なように思い始めたのか?
色々なことが過る中、アヤタを呼ぶ声が聞こえる。
「あやたー」
空をぼっーと眺めるようにアヤタは遠く見ていたところに、細くて柔らかい指の感触が頬をつつく。
サイドテールがふわっと揺れるの印象的な少女。
アヤタと同じ学校の制服でもある。
「あ……雪乃……」
「あ……雪乃じゃないよ、クレハちゃんのことでも考えてた?」
雪乃はそっとアヤタの腕を手を通すと持たれかかる。
学校の屋上での日光の暑さと静かに風が当たると心地よい冷たさが身体を巡る。
「ねぇ、アヤタ クレハちゃんのことは可哀そうかもしれないけど、私のことも考えて……」
「今は雪乃ことだけしか考えないよ」
今度は二人の間を入るように、冷風のようなものが通り抜ける。
あまりにも強烈な風で一瞬目を閉じてしまった。
アヤタと雪乃の目の前に信じられない光景が広がる。
町中が赤い水のようなものにつかるように太陽も夕暮れのよう赤く染まる。