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prologue~はじまり~
太陽が沈みそして夜を迎える頃だった。町全体が突如津波のような水に覆われる。一瞬にして増水をしたように見えたそれは水ではなく赤色に染まる血のように見えた。
血のようなどろっとしたのはなく、さらさらの赤い水まるで絵の具で赤色を水で溶いたような色にも似ている。
一面が赤色の水が広がると目の前に一人の髪の長い少女がしゃがむような姿で現れた。
吸い寄せられるように少女に近づくと知らず知らずのうちに声をかけていた。
「クレハ?だよな……」
少年は長い髪の後ろ姿からベットからいなくなった妹の姿だと思った。
「もう勝手に、ベットからいなくなってたから心配したんだ クレハ……」
少女は返事をするわけでもなく俯きながらも何かをつつくようなしぐさを見せる。
不思議にそれが気になってそれを覗き込むように少年は少女の背後から覗きこむしぐさをすると、
弱々しく小さな声が囁く。
「お兄ちゃん、クレハね お兄ちゃん達と……」
少女は振り返ると額に不思議な模様が浮かび上がるのが見えた。
「これからはずっと、いっしょだからね」