八月十五日鬼火の声がする
鬼火、人だまとどう違うのでしょうね?
人だまって人の魂の様ですが、幽霊ではないのですね。
考えると、寝られません、ただでさえ蒸し暑く寝苦しいのにねえ。
「おや、庭でなんかチラチラしてるな?」
一つ、二つ、くっついては離れ、また固まったり
「これだ!鬼火だ!」
確かに雨の日に多いと言われてますが本当でした。
「ななんだ、こっちへ来るぞ、おい、待て来るな!」
青白い鬼火が10個ほど僕の周りを漂ってる。
「火なのに熱くないぞ?」
雨の日に多く見られるというけれど確かに、今日は蒸し暑い。
「チロチロ」
「ピロロロ」
こいつ音が出るのか、ん?もしかして言葉か?
「ソウダヨ」
「おっ!しゃべった。」
「ピピロ、コンバンハ、オジサンハヘイタイサンジャナイ?」
「兵隊って、だいたいおじさんじゃない、お兄さんだよ。」
「ププ、チチロ、ソウカボクラハコドモダッタカラネ。」
ほお、声がだんだん大きく聞こえるようになったぞ
「鬼火の子供だったのかい、君たちは。」
「プロプロ、モモモ、、ニンゲンノ子供ダヨ。」
「人間の?じゃあ人だまじゃないか。」
「チチ,ピピ、チチ 僕タチハ人間の子供だったンダ、チチ、、」
鬼火たちの言葉はとぎれとぎれだけど、だんだん子供の声になって聞こえるよになった。
「アタシハ、女の子だったノヨ、プロロ、ピピ」
縁側に座ると鬼火たちは僕の前に座るように並んだ。
「ぼくたちのお父さんお母さんシラナイ?」
「お父さんにお母さんだって?」
「ソウぼく達空襲で亡くなったんダヨ、、ブブブ」
「空襲って戦争の時かい。」
「ソウダヨ、B29が飛んできてここらの家はミナヤけたんだ。」
「家族は助かったのかい?」
「たぶん、家族と離れた魂は幽霊にもヒトダマニモナレナイノ、、」
「鬼火ってそういうことなのか、、、」
「オにびッテ、イワレルノガつらい。」
「そう、お父さんに会いたい、優しくて強いオトウサン。」
「お母さんの作るオハギまたタベタイよ。」
「アタシハ弟に会いたいな、まだ赤ん坊だったンダヨ。」
鬼火たちは、青い色が増してきました、線香花火のように、ほのおがポロとおちました。
ああ、あれは涙なんだ
「ごめん、ぼくには君たちのお父さんもお母さんも分からないよ。戦争が終わって八十年近くたったんだよ。」
「八十年!そんなにたったんだ!」
「じゃあ僕たちのお父さんお母さんも死んじゃったんだ、、、モウアエナイ」
「弟はおじいさんになってるわ、それじゃワカンナイヨ。」
鬼火はますます青くなり、しだれ柳のような小さな炎を落としています。
「ごめんね、君たち、時間は僕にもどうしようもない。ぼくは戦争が終わって生まれたんだもの。、、、、待てよ、そうだ!」
「どうしたの?」
「君たちぼくについてきて!」
夜の町を僕と鬼火たちは歩いています、人が見たら僕を魔物だと思うだろうね、なんせ早歩きしてる僕の周りは鬼火だらけだもの。
懐中電灯だけは持たずに済むけどね。
「ほらここ。」
ここはどこ?」
「ここかい、ここはね市の公園だよ。聞いたことがあるんだ。戦争が終わって沢山の人の骨にをここに埋めたんだ。子供をなくしたお父さんやお母さん、生き残った子供たちがこの記念碑を建てたんだよ。」
「ほら沢山の名前があるだろ?遺骨は見つからないけど、君たちを不憫に思った親たちが名前を刻んだんだよ、もしかしたら君たちの名前やお父さんお母さんの名前があるかもしれない。」
「でもそれがドウシタノ?」
「君たちの名前があれば、お父さんやお母さんは君たちのことを知って埋葬したってことになるじゃないか。それにお父さんお母さんも魂が天国にあればきっとここに君たちが来るのを待ってると思うんだ。そうだとしたら、みんな鬼火じゃなくなるんじゃないかな?」
「ということは、おかあさんに会えるんだ!」
鬼火たちは、記念碑の周りを飛び回りました
「あったよ!僕の名前だ!」
「あたしも!お母さんが入れてくれたんだ!」
「ホラココに、この記念碑を建ててくれた人の名前が書いてある。これぼくのお母さんだよ!」
「亡き姉幸子へ、、、これあたしの弟よ!」
鬼火たちは、白く白く輝いてきました。
「おにいちゃんありがとう!」
「あたしたち、天国にいける!」
白い炎はぐるぐる回りながら空に上がっていきます。そして空からも白い炎が沢山降りてきました。二つの塊は一緒になると大きく回りながら空を漂っています。
すると突然炎の塊は下に降りてきて僕の体を包み込みました。
輝くような光の中、ぼくは見たのです。
お父さんやお母さんといる子供たちを
親子たちは嬉しそうに笑うと、光は僕を離れ空へ登って行きました。
「あれえ?今空に花火があがったぞ?」
「え?お祭りは明日よ、だってお盆と終戦記念日同じ日だもの。」
公園を歩く二人連れは空を見上げながら話していました。




