分断の絶望
今、隣の老夫婦の家に招かれている。
「あんたは優しい子やねぇ。わしら年寄りと仲良くしてくれる。」とおばあちゃんが言う。
「気にしないで。僕はおばあちゃんとおじいちゃんに可愛がってもらったから恩返しだよ。それにただ2人と話がしたい。母さんは家をあける事が多いから2人がいなかったら寂しいし逆にありがたいよ。」
おじいちゃんが真剣な顔で語る「わしらには娘がいる。」
「え?」
「孫もいるかも知れん」とおじいちゃんが言うと僕は
「知らなかった...一度も会ったことないけど、遠くに住んでるの?それに孫がいるかも知れんってどういうこと?」
「あれは25年程前かねぇ」おばあちゃんが語る
「娘は進学で東京の大学に言ったんよ。」
「...」
「あの頃あたりから日本に争いが起きて、娘からきた最後の手紙に『身籠った』って書いてあったの。」
「東西分断じゃ。そのせいで娘にも孫にも会えん。」
「孫ももうあんたより年上だろうねぇ。」
「ごめん、僕、何も知らなかった...」
「なぁんで謝る?」おばあちゃんが続けて
「あんたの事は本当の孫のように思っとるよ。」
「そうじゃ」おじいちゃんはおばあちゃんの言葉にそう答えた
「ありがとうねぇ。」おばあちゃんが僕に感謝している。僕は何もしてないのに。
「お前には感謝しとるよ」おじいちゃんも同じく。
僕は今、真の意味で東西分断の悲劇を目の当たりにした気がする。
歴史は少しずつ動き出す。
そう、もうすぐ。




