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七不思議ツアー終了


 とりあえず七不思議がひと段落したので、皆で屋上をあとにした。

 下の階に降りると、田中先生が待ち構えていた。


「おせぇ」

「「す、すみませんでした」」

「新しい七不思議を考えてたから、たなちゅう先生勘弁してほしいんよー」

「まあいい」

「素直じゃないな~」

「ぅおっ」


 どこからともなく花子さんが現れたので、ビクッとなってしまった。ちょっと恥ずかしかったから仲間がいないか探すと、小餅先輩も同じような反応をしていた。どうやら小餅先輩もあたしと同類らしい。周りが全然こういうので驚かないから、妙に親近感。


「花子さんってトイレから出れるん?」

「この学校内ならどこでもイケるよ!てか、トイレだけとか退屈過ぎてあーし死んじゃうってー」

「元々生きてねぇだろ」

「えぇ~いづっち辛辣~。あーし泣いちゃう~」

「ひっつくなうぜぇ」


 あ、田中先生と花子さん知り合いなんだ。というかこのやりとり彼カノ?友達以上恋人未満?距離も近いな。花子さんが田中先生にバックハグ、ていうか覆いかぶさってる。田中先生もそれを追い払おうとはせずに、好きにさせている。


「ほえ~、花子さんと仲良しなんねたなちゅう先生」

「まぢマブ!」「腐れ縁だ」

「息ピッタリ」


<ぼくと いよ くらい?>


「だね」


 十六夜先輩は花子さんのことを日常みたいに受け入れてる。まあ、こっくりさん憑いてるから当然っちゃ当然か。

 そんな十六夜先輩の隣にいる小餅先輩は、なんか怖がってる?


「は、花子さん、こんばんは……」

「やっほーこもっちー!もーそんなに怖がらなくてもいいって、いっつもいってんじゃーん!」

「は、はい」

「いいんちょ、花子さんはいい怪異」

「いい怪異かどうかは何とも言えないけどー、悪い怪異ではないよ!」

「自分で言うんだ」

「ぼく、悪い怪異じゃないよ?」

「貴方は怪異じゃないでしょ!?」


<ぼくも わるいかいい じゃないよ>


「貴方は怪異です!悪くないのは知ってます!」

「てへ」 <てへ>


 小餅先輩が二人(一人と一匹?)に揶揄われてる。こっちもこっちで仲がいい。


「お前ら、じゃれんのはそれくらいにしろ。そろそろ学校閉めるから帰るぞ」

『はーい!』


 全員で小学校の遠足の時のような返事をして、皆連れだって昇降口から外に出た。花子さんは校舎の中に残って、見送りをしてくれた。因みに骨野郎はまだ走っていた。本当に日の出まで走るつもりかお前は。





「ちょっと車回すからここで待ってろ」

「え?家近いですよ?」

「こんな時間に学生が歩いてたら補導されんだろ。俺が全員送ってく」


 田中先生の車を正門前で待つことになった。

 

「朔、のんたん、今日は来てくれてありがとうなんよ」

「此方こそありがとうございました!」

「どした?改まっちゃって」


 結桜がこうやってお礼を言ってくるのは珍しい。いや、何かしてもらったときにちゃんとお礼は言うけどこうも改まったのは片手で数える位しかない。


「いやー途中で具合悪くなっちゃったし、それなのに最後まで付き合ってくれたからにゃ?」

「気にすんなって言ったろ。それにあれはちょっと疲れちゃっただけだって」

「そうだったんですか?梧桐さん、体長は大丈夫ですか?」

「大丈夫です。屋上に行ったらすぐに良くなりましたから」


<さく いつでも おくじょう きていい>


「こっくりさんもありがとうございます」


 そんな話をしていると車の音が聞こえて、紺色のシエンタが止まった。


「待たせたな。とりあえず乗れ」

「「「お邪魔します」」」

「失礼するんよー」

「おジャマ」

「こっくりさんは?」


<くるまのうえ>


「大丈夫なんですか?」

「………爪は立てるなよ」


<わかった>


 全員車に乗った後、屋根からカチカチという音が聞こえたが特に屋根が凹んだりすることはなかった。こっくりさんが質量がある怪異じゃなくてよかった。


「順番に送るが、誰が先だ?」

「この中だとうちが一番近い?」

「十六夜先輩たちは?」


<さくたちのほうが とおい ぼくたちは ちゅうかんくらい>


「あ、今日はいいんちょが家に泊まるから一緒に降りるよ」

「私はさくちゃんと同じマンションなので一緒で」

「わかった。居待、十六夜、梧桐の順でいいな?」

「お願いします」


 順番が決まったところで田中先生がアクセルを踏む。緩やかな運転で早々に結桜の家に着いた。

 結桜の家は2階建ての昔ながらの日本家屋、両親はたまにしか帰ってこずほぼおばあちゃんとの二人暮らしだ。


「ありがとうございました!」

「おう」

「結桜ちゃん、またね!」

「また明日」

「まったにゃー!皆さんおやすみなさい!」

『お休みなさい/お休み』


 各々挨拶を交わして、結桜の家を後にする。

 何分か走ったところで、住宅街の一軒家の前に車が止まった。


「ぼくたちはここで」

「田中先生ありがとうございました」

「おう」

「十六夜先輩、小餅先輩また」

「おやすみなさい」

「またね」


<またね>


「おやすみなさい。お三方ともよい夢を」

「お前らもな」


 十六夜先輩と小餅先輩が降りて、残りはあたしたち二人になった。

 あたしたちのマンションへ向かう途中、運転中は無言をだった田中先生が声をかけてきた。


「梧桐」

「何ですか?」

「お前、何か変な感じはないか?」

「え………?」


 体調ではなく、変な感じはないか?何か引っかかる聞き方。もしかしたら、花子さんから何か聞いたのかもしれないが、今日はまだ聞きたくない。今の所少し不安というだけで他は特に変わりない。

 

「いえ、特には」

「…………そうか。なんかあったら言え、話くらいは聞いてやる」

「ありがとうございます」


 田中先生の口は悪いけど、こういう所が生徒から慕われているんだろうな。






「着いたぞ」

「「ありがとうございました」」

「おう」


 たそがれマンションに着いたので、朔ちゃんと二人で車を降りる。


「黒鳥、ちょっといいか?」

「はい?さくちゃん、ちょっと待ってて」

「ん」


 田中先生が運転席から手招きしていたので、何だろうと思いながら其方に向かった。


「お前、花子さんのとこに行った後梧桐から変な感じはしなかったか?」

「…………嫌な感じはしましたが、今の所大丈夫かなと」


 田中先生は花子さんと旧知の仲。鴉の時に会った事はなかったけど、花子さん経由で私のことは知っているので妖怪や怪異の話をしても問題はない。

 確かに、あの時嫌な感じはしたけど何かは分からなかった。それよりも朔ちゃんが心配で原因は二の次になっていた。


「人ならざる者からの私怨。標的は梧桐だ。だが、今の所人が多い所にしか出れないくらいの力だ」

「…………」

「花子さんも知っている。学校以外はお前が守ってやれ」

「そのつもりです」

「…………後で対策を考えよう。一人で無理はするな」

「はい」


 朔ちゃんは、私が守る。





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