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七不思議を考えよう



「このままでいいというのは何故ですか?」

「もっちー先輩、そもそも七不思議というのは噂から成り立ってるんすよ。人に語られなきゃ怪談にはならないっす。そして、その噂や怪談を広めるのがオカ研の使命なんよ!」


 結桜は腰に手を当ててエッヘンと胸を張る。

 七不思議は色んな人の噂話が伝わる上で尾ひれがついて、さらにその上に背びれや果ては存在しない羽びれまでつくことだってある。それが広まれば怪異となる。最初の語り部が分からない怪談はあれども、語られない怪談は存在しない。


<じゃあ ぼくが いるあいだ うわさが ひろまったほうがいい?>


「そうだね!だからこっくりさんはたまにでいいから、屋上で姿を現してほしいんよ!」


<わかった>


「ぼくは?」

「いよっち先輩は屋上にいるだけでいいんすよ!元からミステリアスな感じだから、もう1年の間でも噂は広まってるんすよ!」

「おー」

「わ、私は?」

「もっちー先輩についてはそんなに知ってる人はいないんすよ。なんかいよっち先輩と一緒にいること多いなーくらいっす」

「そ、そうですか」


 小餅先輩はあからさまにホッとした様子だった。自分が知らない所で噂にされるのはいい気分ではない。


「でも、ぼくと一緒だといずれ噂になる?」

「それはありますね」

「んーじゃあ、会うの控える?」

「えっ!?」


 小餅先輩があんまり見たことないショックを受けた顔をしている。確かに学校にいるのに友達と会えないのはあたしも嫌だ。


「冗談。ぼくがもたない」

「あ、いや、うん!ですよね!?」


<さや うれしそう>


「そそそんなことないですけど!?」


<ぼくも さやに あえるの うれしい>


「ぼくは毎日会いたい」

「ふ、二人して揶揄うのはやめてください!」

「揶揄ってない。本心」


<うん>


「あぅ…………」


 小餅先輩が顔を隠して小さくなってしまった。

 なんか小餅先輩可愛いな。普段しっかりしてるからギャップがあって。


「あらあらまあまあ」

「どした?」

「いんや~?何にも~?」


 結桜が一人でニヨニヨしてる。なんかキモいな。

 不意に望が服の裾を掴んで、ちょいちょいっとしてきた。


「のぞみ?」

「さくちゃん、私も毎日会いたいんだからね」

「お、おう?」


 なんかむくれてる?いや頬っぺた膨らましてても全く怖くないし、むしろ可愛いだけなんだけど。


「お隣だからいつでも会えんじゃん」

「そうだけどさぁ」

「それに、結構な頻度でご飯食べにきてんじゃん」

「いつもご馳走様です」

「え、そんな頻度で行ってんの?」

「ん。週3回以上は」

「はえ~初耳」

「言ってない。言う必要性を感じない」

「ぶー」

「何が不満だ」

「他人の青春を知りたいんよー!」

「知ってどうする」

「茶化す!」

「やめろ」


 まったくこいつは。まあ、一緒にいて楽しくて悪い奴ではないんだけどさ。









「それじゃあ、七不思議としては”屋上のこっくりさん”ってことでおけ?」

「おっけー」

「いいのではないでしょうか」


<いいよ>


「噂としては、屋上に大きな狐のこっくりさんが突如として現れる。たまに見える黒い影はこっくりさん本体、彼がいるときは屋上に入れなくなるっとこんな感じ?」

「そんなもんでいいのか?」

「まずは土台を作らんと。でもこれだと弱いかな~」

「じゃあこういうのはどうかな。さっき屋上に来た時、こっくりさんからスマホにメールが届いたよね。だったら、屋上の扉をガチャガチャした人のスマホにこっくりさんがメッセージを送るっていうのはどうかな?」

「いいんじゃないですか」


 いい案だとは思うが、こっくりさん要素が足りない気がする。

 結桜も同じことを思っているのか、うーんと少しうなっていた。


「う~ん、いいけどもうちょっとこっくりさん要素がほしいんよ。例えば、10円玉を扉の隙間から差し込むとか?」

「お賽銭?」

「それっぽいんよー。こっくりさんは道具が必要だからにゃー。50音と数字、はい、いいえ、鳥居を描いた紙、10円玉、この二つはマストなんよ。その要素は入れたいけど、どうしたもんかね~」


 また結桜は考え込んでしまった。

 本来のこっくりさんは複数人で50音と数字を描いた紙、10円玉を準備して、紙の上に10円玉を置きその上に参加者の指を置く。そして「こっくりさんこっくりさん、どうぞおいで下さい。もし、おいでになられたら”はい”へお進みください」と唱えて、10円玉が”はい”の所にいったら質問をする。終わり方は「こっくりさんこっくりさん、どうぞお戻りください」とお願いして、鳥居まで戻ったら「ありがとうございました」とお礼をして終了。その後使った紙は細かくちぎって捨てるか燃やす、使用した10円玉は3日以内に使うことと最後まできちんと後始末をしなければいけない。


「あ」

「十六夜さん、何かありましたか?」

「うん。まず鍵がかかってないのに開かない扉を確認。因みに必ず二人以上で行うこと。代表者が『こっくりさんこっくりさん、どうぞおいで下さい。もし、おいでになられたら扉を二回ノックしてください』っていうんだ」


<ぼくが にかい とを たたけばいい?>


「うん。その後、こっくりさんが参加者の質問にメールで答える。最後は『こっくりさん、ありがとうございました』ってお礼を言われたら、こっくりさんは3回とをノックして」


<わかった>


「で、どうかな?」


 花子さんのような手順もあり、質問に答えるというこっくりさん要素もある。紙とか10円玉とかの道具要素はないけど、場所が場所だしなかなかいい線いってるんじゃないのか?

 ちらっと結桜を見ると、拳を握ってプルプル震えていた。あ、これはうるさいやつと思っていると、結桜がすごい勢いで顔と拳を上げた。


「rrrrrロマン!!いい!すっごくいいんよ!こっくりさんの呼び出し方も、質問に答えるのも、帰し方も七不思議っぽくてサイコーなんよ!いよっち先輩、天才!」

「えっへん」


 結桜が興奮して 十六夜先輩を褒めまくっていた。

 めっちゃ巻き舌だし、やっぱりな。何となく好きそうな展開だなとは思っていたし、七不思議としても手順があった方がいい。


「こっくりさんは十六夜さんが言った案に賛成ですか?」


<うん こたえるのが いやなときは のっくしなければ いいんだよね?>


「そうですね。全部答える必要はないと思いますよ」

「むしろそっちの方がいいんよ!レアキャラみたいで不思議さが増すんよ!」


<わかった ぼくも きぶんが ある>


「ぼくと一緒の時は?」


<こたえないかも いっしょのじかん じゃまされたくない>


 こっくりさんにだって自我がある。大切な人と一緒の時間は邪魔されたくないだろう。



 


「これで完成したんよ!あとは七不思議として広めるだけなんよー」

「どうやって広めるんだ?」

「んー?オカ研のSNSアカウントに載せたり、学校新聞に載せてもらったりだね。あとは部長が配信で話したりだにゃー」


 オカ研の部長ってみたことないけど、配信もしてるんだ。まあ今どき、趣味で配信する人は珍しくはないだろう。小学生からかなりご高齢の方など、年齢も様々だしな。


「オカ研の部長さんって配信者なの?」

「そだよー。登録者2000人くらいでまあまあいるんよ。部長はなんかよくわかんないアバターで配信しとるよ」

「よくわかんないって……?」

「なんかツチノコみたいな、チュパカブラみたいなモケーレ・ムベンベみたいな?」

「何て?」


 確かによくわからない。



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