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はーなっこさん、いらっしゃいますか?


「のぞみ、エリーゼさんと何話してたの?」

「………えっあ、なに?」

「さっきからぼーっとしれるにゃー。眠い?大丈夫?」

「うっうん、大丈夫!さぁ次いこ、次!」


 あたしと結桜は顔を見合わせて「今はどうしようもない」と結論をつけ、先に行ってしまった望を追いかけた。


 エリーゼさんに会ってから望の様子がおかしい。話しかけても心ここにあらずって感じで、返答も聞いているのか聞いていないのかわからない曖昧なものしか返ってこない。今もなんだか無理をしている感じ。だけど、今無理やり聞いたところで望は答えてくれないだろう。望は普段ほわ~っとしてるのに、意外と頑固な所がある。そのギャップも嫌いじゃないけどね。

 よし、くだらないこと考えてないで次行こう次。




「多目的校舎から本校舎に行くのってちょっと手間だな」

「ねー。1階にしか渡り廊下がない設計ってどうなん?」


 多目的校舎3階から1階まで降りて、今は本校舎に続く渡り廊下を歩いている。因みにまだ骨野郎が走っていたが無視した。アイツ一晩中走ってるつもりなのか?だとしたら迷惑この上ない。


「多目的校舎は後から出来たみたいだから、仕方ないんじゃない?」

「むー、それでも利便性は考えて欲しかったにゃー」

「あはは……」


 望はさっきよりかは普通にしているが、どこか違和感がある。

 色々くだらない話をしながら本校舎の3階まで上がったが、その違和感の答えは見つからなかった。





「さあさあ、ここが花子さんがいる女子トイレ!」

「いたって普通だな」

「そりゃあ学校のトイレだもん。私たちが普段使ってる所と構造的に変わりはないよ」

「まーなー」


 本校舎3階の女子トイレ、普通教室から離れていることもあってか使用する人は少ないらしい。あとは花子さんの噂があるから近寄りたくないって生徒もいるらしい。まあ、今もちょっといつも使ってるトイレより薄暗い感じはするし、分からんでもない。


「ここの3番目の個室を3回ノックして、花子さんいらっしゃいますか?と呼びかける!」

「誰がやるの?」

「もちろんうち!!」


 結桜が「俺やで!」という感じに親指で自分を指す。

 この中だと結桜がやるのが妥当かな。望がやってもいいだろうけど、身内感があって結桜が望む感じにはならないだろう。あたし?絶対嫌だ。


「じゃあ、いくよ」

「ん」

「うん」


 結桜が3番目の個室の前に立ち、その後ろにあたし達二人が立つ。

 コンコンコンっと軽いノックの音。


「花子さん、いらっしゃいますか」


 返答はない。

 あれ、でないのか?今までのが全部出てきたから、てっきりここも普通に出てくるもんだと思っていた。結桜も首を傾げつつ、こちらを振り返ろうとした瞬間。


「はーい」


 個室から声が聞こえ、ゆっくりと扉が開く。

 完全に扉が開ききった個室の中にいたのは、血まみれの制服を着た同年代くらいの女の子だった。その子は様子を伺うようにこちらを見ていたが、やがてニヤリと笑った。


「貴方」

「おおおおぉおお———————————ッ!!!!」

「うっさ」

「花子さん!本物の花子さんなんよ————————ッ!!!」


 結桜、テンション上がり過ぎだ。血管切れるぞ。てか花子さん今ちっちゃい声で「うっさ」って言った?

 驚きつつ花子さんを見ると、さっきまでの嗤い顔とは違い明らかに引いている顔をしていた。結桜、今この瞬間お前は花子さんを引かせた人類最初の人になったぞ。


「生!生花子さん!!」

「え、ちょっこの子なんなの!?」

「一緒に写真!写真撮らせて!てか撮るから!」

「え、やめ、やめなさい!!」


 なんか花子さん本気で困ってるっぽいのでそろそろ止めよう。


「落ち着け、花子さん困ってるだろ」

「止めるな朔!!うちは、今、猛烈に、感動している!!!」

「お・ち・つ・け、な?」

「はい」


 圧を強めにかけて結桜を黙らせた。

 怪異だろうが何だろうが、趣味のことで他人に迷惑をかける人は許しません。




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