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魔犬士  作者: チョコ
46/48

46 狂乱

ロブとの戦いで勝機は今だに見えない

スゥイルの気持ちは今だに変わりそうもない

混沌が渦を巻く中で動きの見えないマカルは予言の通りことを進めている



 ドンッ!ドンッ!ドンッ!

互いの拳がぶつかり合う


「凄い、ロブと張り合っている」

信者達は息を呑み、その光景を見守っていた

 

しかし、ロブは余裕の笑みを浮かべる

「張り合っているだと?笑わせる!!」

ロブの拳が竜輝の顔面を捉え、すかさず追撃の裏拳を食らわせた

 

竜輝は道路まで吹き飛ばされ、身体を強く打ち付けた。

それでも、すぐに起き上がり叫び声を上げながら再び向かっていく

 

ロブは変わらず構えたまま動かない

 

竜輝の素早い連撃がロブに迫る

しかし次の瞬間、ロブの巨大な手が竜輝の拳を覆うように掴んだ。

さらに追撃の拳も封じ込める。

「どれくらい力を込めれば、お前の手は壊れるんだろうな」


竜輝の右脚が赤く煌めく

左足を踏み込み、渾身の回し蹴りを放った


だがロブはその異変を察知し、片手で竜輝の身体を持ち上げる

 

蹴りは虚しく空を切った

 

「お前の鞘に収まった剣……魔力が随分と溜まっているようだな。それを吸収すれば、さっきの爆発以上の破壊ができる!!」

 

ロブはそのまま竜輝を地面へ叩きつけた




その時

空を切って聖犬が現れた

竜輝とロブの間へ割って入り、ロブを脇に抱え上げると、一気に空高く跳躍する。

 

「また俺を高所から落とすつもりか?あんたらの仲間全員死ぬけど」


「違う、見ておけば分かるさ」

そう言うと聖犬はロブを後ろから羽交い締めにした


信者達は再びロケットランチャーを構え始める

聖犬に当たるのを恐れるも、聖犬が作り出したチャンスを無駄にするわけにはいかない


 ボンッ!!

轟音と共に、複数の弾が放たれた


「ふっはっは…捨て身の覚悟だけは褒めてやる…!!」

 ブチィ!!

ロブは聖犬の両腕を引き千切り脱出

「ハッハッハッ!!だが、それは無駄な事に過ぎなかったな」

ロブはビルの瓦礫に落下し、着地した

 

聖犬は弾を間一髪避けると、高所から身体を打ち付けて倒れる

「早く…自身の回復を行わなけれ…ば」


「どこ経由で持ち込んできた武器か分からないけど、所詮は人間ってところだな」

動けない聖犬に向かって走っていくロブ


ロブの目の前に颯爽と竜輝が現れる

 

「邪魔すんな!!」

ロブは構わず竜輝に拳を振るった


竜輝も拳を振るう


 バァンッ!!

衝撃で竜輝は後退するが、歯を食いしばり強く踏みとどまる

 

「さっきから負かされてばかりなのに、ただ体力が無くなっていくだけだというのに俺に立ち向かうつもりか」


「回復が終わるまで耐えれば良い、それまでは俺と付き合え!」

 

 バゴンッ!!

竜輝は蹴り飛ばされ、地面を転がった

「殴りだけの一辺倒な攻撃じゃあ楽しくない。まぁ魔力を使えさせなくする俺のせいでもあるんだけどさ」


身体を打ち付けて竜輝はその場に倒れる

ロブは不敵な笑みを浮かべて顔を聖犬の方に向ける


しかしロブの足が止まった

目線の先の聖犬の前脚が復活していたからだ

「ちっ、回復済んじゃったか。じゃあこいつにトドメでもさしますか」

そう言い、ロブが後ろを向くもそこに竜輝の姿は無かった



その隙に聖犬と竜輝が合流する

「竜輝すまない、私のせいでロブの攻撃を食らうことなってしまって…」


「いや大丈夫です。それよりロケランによる攻撃はロブに効いてるはず、避け続けているのが何よりも証拠だろう」


「しかし、元の弾数が少なくて供給が間に合わない可能性がある。今のうちに新たなプランを考えておくべきだ」


ビルの瓦礫を遠回りして信者達も集合した

なんとしてでもロケットランチャーを当てることだけを目的に作戦を組む


ロブは構わず向かおうとしたその時、繁華街方面から大きな物音が聞こえてきた


ロブは何かを悟ったかのようにその方向を見ている



 ………………  


 

数分前の繁華街――


ィザァンプの死を告げられたことでスゥイルの気は狂い始める

「ィザァンプが死んだなどと、そんなデマカセを言うな…!!」

走ってリュウガに攻撃を仕掛ける


リュウガはスゥイルの斬撃を避ける

「すまないが本当だ。スゥイルの子供がどこに行ったのかは分からないけど、まずいことになったかもしれない…」


「どうすればいいんだ…教えてくれリュウガ!」


 ガンッ!!

刀でスゥイルの爪を受け止めた

「くそ…(魔物の自己回復とはいえ腕の回復となればまる1日はかかる…こいつの攻撃を片腕だけで受け止めるのは流石に酷か…?」


「言われた通りに動けば大丈夫なはずだ。魔物として生きれば俺は助かるはずだ!俺の子供はただの人質にされているだけに違いない」

振り切った爪がリュウガの頬を軽く切った

そこからはスゥイルの一方的な攻撃が続く


片手だけで身を守るリュウガに攻める隙は訪れない

遂にはスゥイルに蹴られ倒れてしまう

 

スゥイルは仰向けになって倒れたリュウガの顔面を爪で刺そうと飛びかかる


リュウガは咄嗟に顔を避け、すぐに飛び起きると頭突きをお見舞いした

 

両者ともふらつきながら倒れる

リュウガは呟いた

「国会侵入は俺達の思い通りにいった。だがマカルの中でそれまでも予言のうちだった場合、わざわざィザァンプを戦わせた理由はなんなのか……」


「ィザァンプのかたき、くらえ!!」

再びスゥイルは走り出す

 

「(スゥイルは今冷静さを欠いている。一旦ここで刀の独自行動を封印してここぞという時にそれを放つ。それまではひたすら耐え続ける……)」


 キンッ!!キンッ!!

再び攻防戦が繰り広げられる 

  

「マカルが魔物の指揮をしているんだよな…?」

 

「だからなんなんだ!自分は殺してないとでも言いたいのかよ?!」

スゥイルの攻撃は激しさを増す


「マカルはィザァンプを利用するために無謀な戦いを挑ませた!」

リュウガの声が響く

「あいつは予言ができるんだったよな!昨日の国会侵入の結果は俺らの思う通りで終わった。だがそれまでもが予言だった場合、ィザァンプと俺らを戦わせた理由はなんなんだ」

 

「そんなはず…は」

次第にスゥイルの攻撃は大振りになり、足元がおろそかになっている。それはスゥイルの中で1つの仮説が生まれてしまったからだ

何も考えたくない、この最悪の事態は想像するだけでも自分の精神をすり減らしてしまいかねない

「うあぁぁぁあ!!」


 バンッ!!

スゥイルは気が狂ったかのように発狂した後にリュウガのことを蹴り飛ばした

「これで…終わらせてしまえばいいんだ…」 

スゥイルは最大の一撃を放とうと腕を大きく振りかぶる

 

リュウガはそれと同時にこれまで抑えていた刀の力を解放する

「今だ…!」

放たれた刀はリュウガの手を離れ、まるで意志を持っているかのようにスゥイルの心臓めがけて放たれた


 ブサァッ!!

刀がスゥイルにトドメを刺した

振りかぶった状態で固まり、口から多量の血を吐き出す

そして倒れた


「スゥイル…スゥイル…!」

トドメを刺したものの、リュウガには少しやるせない気持ちがあった

倒れたスゥイルのところへ走っていく


「リュウガ…長らく考えていたんだけど、本当は答えなんて見つからなかった。でもその中でも死への恐怖の方が勝ってしまった」

「でも今ようやく答えが見つかった。死が俺にとって救済だということに」


「これで良かったのか…スゥイル」


「これでいいなんて思ってない。出来ることならもう一度あの子の顔が見てみたい。でも、今はもう死んだほうがマシなだけだ」

「俺はどうすればよかったんだ…人間に関わってしまうことが全ての間違いだったのか」


「間違いなことあるかよ…!全部はマカルのせいだ。人間も魔物も分かり合うことが出来るって俺らが証明したじゃないか」

 

「どうせ死ぬ結末なら、マカルに一矢報いたほうが良かったかも…な」

 

「ただで死ねると思うなよ…?」


「…!?」

突如として聞こえた低い声に2人は驚きの表情を見せる

「マカ…ル?」


現れるとすぐに、マカルはリュウガを蹴り飛ばした

「最後にこいつの顔を見たいだとか言ってたな。お望み通りに叶えてやろう」

マカルはスゥイルの子供を雑に掴んで見せた


「あ、ぁ…どうして…ここに」


「お前はもう死ぬ。救済を届けに来た」


「救済…やめろ!やめてくれ!」

スゥイルは刺さった刀を引き抜き、最後の力を振り絞って立ち上がろうとした


しかしマカルはスゥイルの顔を踏んでそれを止めさせる

「察したか、じゃあただちに始めよう。邪神様!今ここで生贄術を行う!!」


 ゴゴゴ…ゴゴゴ!!!

繁華街の建物が一斉に倒壊を始めた

そして、崩れた瓦礫がスゥイルの身体を囲むようにオブジェを形成させようとしている


「リュウガ逃げろ!!巻き込まれるぞ…!!」


リュウガは苦悶の表情を浮かべながら、刀を手元に戻して必死に逃げた


「リュウガ…!!何かあったら俺のことを躊躇なく殺してくれ!!」

スゥイルの声はオブジェによって遮られた


つくられたオブジェは巨大な邪神の手

これから生贄術が始まる……

 

 

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