42 審判の日
繁華街のある立之宮、人通りが多く真泉に近いから狙われたのは言うまでもない。襲撃の日当日になってしまったがまだ始まったばかり、絶望はこれから
真泉町内 魔物アジト
マカルは祭壇の前に立つ
ようやくこの日が来た。今までの行動は無駄ではなかったと噛みしめるように微笑んでいた
早速、予言を始める
この日は今日一日に起こる全て、そして邪神復活に至るまでの結末が語られる日
これまで断片的だった予言が一本に繋がり、どんな未来であろうと受け入れねばならない
――目覚めた大群を生贄に捧げるため、巨悪を召喚せよ
膨大な情報が一気にマカルの脳内へ流れ込んでくる
そして結末が示された瞬間、マカルの身体は完全に硬直した
「……今日、私は死ぬ?」
震える身体を抑えながらマカルは静かに祭壇を後にした
マカルの行った先はアジトの1階のロビー、すでにロブの集めた部下で埋め尽くされている
「マカルようやく来たか。予言の方はどうだった?」
マカルは数秒ロブのことを見つめると話しだす
「……特に不備はなく進められる」
「そうか、それは最高だな。そういえばスゥイルの行方が見当たらないんだが何か知ってるか?」
「あいつなら昨日からもう視察として行ってるよ。なによりも子供についてバレてはいけないからな」
「早く合流しないといけないな」
「合流はしなくていい」
「ん、何故だ?」
「それは予言と反している。後で内容は言う、まずはこいつらに指示を与えるのが先だ」
そう言うとマカルは高台に立ち、下級魔物へ今日の指示を始める
「邪神復活のために、調達した生贄を立之宮のマンホールから入って地下通路で運べ。予定の時間よりも1時間ほど早く始める」
「向かう際もその地下通路を通るようにしろ。先に潜んでいる完全人間擬態型の種が何か大きなアクションを起こしたらそれが合図だ。直ちに向かえ!」
下級魔物達の歓声が起こると、彼らは直ぐ様散らばっていった
竜輝とリュウガと河井とマナで雑魚寝していた
窓から差す光と外から聞こえる物音で竜輝は起きる
「もう朝か…なんだか騒がしいな…」
外に出るとそこには聖犬とその仲間達が勢揃いしていた。ざっと100人はいるだろう
聖犬は真っ直ぐに竜輝を見据えた。かつての敵意ではなく、そこにあるのは一人の剣士としての敬意だ
「……君の動画を見させてもらった。今日は立之宮が火の海に変わるだとか」
「わざわざそんなに信者を連れて、俺を糾弾しにきたんじゃないだろうな」
「そんなことはしないさ、ただ、マカルを打ち倒すために君達と共闘しなければならない。力を貸してくれ」
「あぁ…共闘の誘いか」
「一応こちらもロブの脅威を超える手段が見つからなかったところだから、共闘ならもちろん手を貸します」
「それは良かった。私は1回ロブに敗れたから、再び戦いあいつを倒したいんだ。魔造であるあいつは魔力を吸収する。だから人の手に頼るしかない」
「背後の人達はそのためか、でも人の力は流石に限度というものがある気がするけど…」
「状況変わらず戦う方が勝機はないと思う。そのためにも私達は裏ルートで武器を調達した。本来は聖獣様の本来の力を使ってほしいものだが、いまだに聖獣様がその力を使っていないということはあなたとの思い出を忘れたくないのだろう」
「俺のことはいいから聖獣として世界を救ってとマナに伝えてくれないか」
「私からはおこがましい。先に私は向かうから、後に合流しましょう」
聖犬は信者を連れて立之宮(西方面)へと向かっていった
ゆっくりとマナが玄関から顔を出す
「こんな朝早くから来客…?」
「まぁ来客かな、聖犬が先に立之宮に向かうから後で共闘しようって」
「それなら心強いね。今日が本番だから頑張ろう」
「うんマナもね」
………………
小学生の同級生7人グループが学校の帰り道を歩いている
「なあなあ、今日みんなどこで遊ぶ?」
「公園でサッカーしようぜ!!」
「でもあそこの公園ルール厳しいじゃん。だからさ…」
1人の子供の腕に刃が生え始める
腕に結合された長い刃を用いて1人の首を斬り落とした
「殺し合いでもしようよ」
………………
立之宮にあるオフィス内で部下が上司に叱責されている
「この資料さぁ…残業してやれって言っただろ!」
「お前は無能なんだから、死ぬくらい残業してこの会社に貢献しろよ!」
「ただの人間のくせに…いつ偉くなったつもりだ?」
部下の口が大きく変わる
口を開いて長い舌を上司の首に巻いた
グググッ…!!
「うっ、ぐっ……何を…する」
「ようやく来たんだよ。その時が」
舌で巻かれた首は木の枝程の細さに圧縮されていた
………………
立之宮都心内を走っているバス
「次は終点、終点で〜す」
バスアナウンスが聞こえてくる
「終点?早くない?」
「うん、確かに早いかも。まだ2回しか停留所止まってないもん」
会話をしていた女子高生が気付く
だが運転手の見た目が魔物に変わる
「お前らの終点地点へと連れて行ってやる」
ハンドルを回し急カーブをした
逆走して向かってくる車に激突し続ける
バゴンッ!!バゴンッ!!
バス内は悲鳴に包まれる
その中で1人の男が運転手席に走っていく
「お前!ふざけたことしてんじゃねぇ……?!」
知らぬ間に目が3つに変わっている運転手を見て目を丸くして驚いた
「黙れ」
運転手はその男の胸ぐらをつかみ、ボコボコに殴りまくる
キィィ…!!
スリップしてバスの進行が変わり、歩道に乗り上げビルに突っ込んでいく
「アクショーーン!!」
バゴーーン!!
バスは一瞬にして火に包まれ大爆発を起こした
大きな爆発音がアクションになり、各地マンホールから下級魔物がぞろぞろと現れ始めた
悲鳴が飛び交い数分も経たないうちに立之宮区内は地獄絵図へと化してしまった
繁華街がある場所は人同士がごった返している。それも繁華街は魔物によって囲まれていたからだ
どけ!どきやがれ!
押さないで…!
きゃあぁ!やだぁ!
やめてください殺さないでください!
すると、混沌と化した立之宮に白いローブを纏った集団が現れる
「あの人を信じていてよかった。信者の皆さん、魔物は見つけ次第殺してください!」
神々しく登場した聖犬が告げると、信者達は走り出した
腕に装着した装置に魔力エネルギーを装填して放つ




