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魔犬士  作者: チョコ
41/48

41 暴かれる真実、混沌の世

真実は暴かれる。

だがその真実が暴かれたところで信じる者がいなければ意味はない。

何よりも、状況が手遅れであればこれまでの旅は無駄になる。





「ホワイトウルフに情報を渡さないようにって……もう、用済みだから」


総理は視線を泳がせ、指先を震わせていた。


「あんたの魔物との関係を配信で話してくれたら助けてやるよ」


「……分かった。話すから……頼む、命だけは……」


竜輝はスマホを手に取り、配信を開始した。

「はあぁ…だいぶ時間は経ってしまったが、ようやくこの時が来た。さっきは襲われてしまい配信が途中でストップしてしまったが、お前らの知りたい魔物の情報は今ここにある」


画面の画角を変え、竜輝は総理大臣の姿を映し出す


レンズを真剣な目で見つめながら語り始めた

「魔物がこの国を支配するようになったのは何年も前だ…」


コメント欄が一気に流れ始める。

何言ってんだ

嘘くせえ

顔色悪すぎだろ


総理はそれでも続けた。

「真泉で発見された四体の未確認生物……それが始まりだった。捕獲して秘密裏に研究を行った結果、その4体は小さくとも人間以上の力があることが分かった。実験的に建設現場での採用をした時、効率的な結果が見込めた」

「だが研究を続けるうちに魔物の成長は人間の2倍はあると分かった。気付けば私達は逆らうことができなくなってしまった。そして何よりも明日…」


 バゴーン!!


奥から聞こえる爆発音、漂う煙からマカルが姿を現した 

杖を振って魔弾を放ち続ける


竜輝は魔剣を構える。魔力で無数の氷の礫を発生させ相殺させる

「この人を2人で避難させてください…!」

竜輝はスマホをリュウガに預け、1人で突っ走っていった


「ィザァンプの死は無駄ではない」


「分身如きが俺を倒せると思ったら大間違いなんだよ」

竜輝は魔剣を振りかざした


だがマカル分身は杖で魔剣をさばき、至近距離で魔弾を放つ


爆発が竜輝を襲った


――ここで止められたら、真実は闇に戻る。


「ここに来たのはお前らを倒すためじゃない」

マカル分身は余裕の笑みを浮かべる。

「予言通りの様子を見に来ただけだ」

 


爆風から魔剣が伸びてくる。マカル分身は仰け反って顔への攻撃を避けた。仰け反ったまま地面に手をつき、竜輝の腕に足を絡めて壁へと放り投げた


竜輝は壁に足で着地、顔を上げマカルの方を向いた

瞬時に手足に魔力を溜めると、足元から爆炎が噴き上がる

壁が壊れる程の勢いは、一瞬でマカル分身との距離を縮めた

「くらえ!!」


分身も拳に闇の力を纏わせ振るう


だが、せめぎ合うこともなく分身は押し負けて床に叩きつけられる

竜輝は倒れたマカル分身を殴り続けた


分身は霧となってそこから抜ける

「こんなにも力が増えていたとは…だが所詮は分身、本当の私相手には手も足も出ないだろう」


「滅却の炎」

魔剣から放たれる業火がマカル分身を包んだ


マカル分身の身体は燃えていく

「状況は把握した。これでいい、ぐあぁぁあ!!」

叫び燃え上がり、塵となって消えていった





避難した先でもリュウガは配信を構える

 

配信に映る総理は再び口を開いた

「明日は魔物が人通りの多い立之宮にて攻めて来る日、今まで魔物達の顔色を伺って、魔物の存在を隠していました」


「視聴者のコメントは未だに賛否両論、がっかりしているコメントやホワイトウルフ言わされてるとかのコメントで埋め尽くされてるか…」


リュウガ達のもとへ戻ってきた竜輝

「マカルの分身はこっちで倒せたけど、配信の様子はどう?」


「賛否は半々といったところだ。まっ、そりゃあそう簡単に信じてはくれませんか」



すると、河井はスマホを見て気づく

「とあるネットニュース会社が明日の魔物について記事を書いています」

慌てるように竜輝の顔目の前にスマホを突きだした


「この会社、望月の勤めている会社だな…さっき書かれたばかりか…?」

「ちょっとスマホを貸してくれ」


竜輝はスマホを持って自分の顔を映した

「視聴者のみんなにとあるネットニュース会社のURLを送ります。これは明日についての内容がより詳しく書かれているのでこれを見てみんなはどう思うのか、今日の夜までに考えておいてくれ。もうこのくらいでいい」


配信を停止して総理大臣を解放した


総理大臣は外で待機していたSP達に保護される


裏口から抜け出した竜輝、未だに真里の返還が成功したわけではない。不安が募るばかりだが1つやらねばならないことを果たした


だが竜輝達には一つの疑問があった。こんなに配信で暴露してしまったのに本当に明日行われるのかというところ


だが安心もつかの間、夜、望月からの連絡によってそれは伝えられる

「安西が殺されまし…た」


その場の空気が凍りついた。

誰も言葉を発せず、ただスマホの画面だけが光っている。


「報復、か」

竜輝は歯を食いしばった。


安西からの死に際の電話、望月は急いで安西の家に向かったが当然遅かった。暴露したことによる報復、自宅で滅多刺しにされていたのだ


「必ず敵を…取ってください」




再び竜輝は配信を開始する。配信内でのアンケート、魔物の存在を信じるかどうか


信じる派と信じない派でアンケート結果はせめぎ合う

最終結果――信じない派がわずかに上回った


竜輝は一瞬だけ目を閉じた。それでも想定よりは多い

 

「今回の記例の記事を書いた安西さんが何者かによって殺されました。信じるも信じないも視聴者の勝手だが、安西さんは信じない奴も含めて全員救おうと魔物に抗ったんだ。それだけは覚えておいてくれ」


 




 ………………


ロブはスゥイルの子供をマカルに預けた

「あの子供も、あの子供も、急に現れてなんなんだよ」


「ィザァンプが死んだからな。スゥイルの動向を伺えばィザァンプが子供を隠していることは容易」

「許可なく人間との子を授かった奴らはその妻を殺すことで抑止になったと思ったがそうはいかなかった」


「ィザァンプそういう奴だったんだな。そういや、竜輝の配信見たか?無駄なことなってるよなマカル」


「明日の用意をしておけ、明日生贄術を"2回"は行う。そして、邪神復活が成される」

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