35 偽りの楽園
竜輝の前に立ちはだかったロブ
離れていぅた真里は取り戻せるか
「来るなら来い。俺を倒せるものならな!」
竜輝は剣を握りしめた。しかし手が震える
「……剣が、通らなかったよな。あの巨体に傷ひとつ付かないなんて……」
「あの時のリベンジだよ。来ないなら俺から仕掛ける」
ロブが右腕を掲げた
その瞬間、掌から輝く光、それは蛇のようにうねり竜輝達を追いかける
「避けろ!」
轟音が地を揺らし、
バーンッ! バゴォンッ!
竜輝達に光線が命中し、爆発が起こった
――煙の中にある竜輝の人影
竜輝が現れ、素早く接近した
竜輝の剣が閃き、次々とロブの装甲を叩く
金属が打ち鳴らされるような音が響くが、刃は肉を裂かない。一切の攻撃も通じない
ロブは分厚い拳を竜輝に向けて振る
ロブの一撃は重いが素早さはない、次から次へと来る攻撃を竜輝は避け続ける
背後に回ったマナが牙を光らせ襲いかかる
だがそれも効きはしない
「お前らの攻撃を数字で示すとするなら"0"だ。 やはり魔法が使えないとこんなものか」
笑って攻撃を受け続けるロブ
次の瞬間、ロブの身体から光線が放射状に放たれる
光線を食らった竜輝達は吹き飛ばされる
「このままじゃ殺される…立ち上がらないと」
竜輝はふらつきながらも食らいついて立ち上がる
「まさに光景は地獄絵図、だがこうなったのもお前のせい。この村の人間もお前らと関わらなかったら良かったと思ってるんだろな」
「くそ…!お前がこの村のことを語るな!」
叫びながら走る竜輝
剣を振りかざし続けるも、ことごとく弾かれる
兜から見える赤い目が竜輝のことを睨んでいる
「いいぞ、もっとやってこい」
「何だその目…その穴から剣で貫いてやるよ!!」
しかしロブに剣を掴まれる
「魔を喰らいし怨念の剣、どれほど喰ってきたか知らないが思ったより魔力が溜まっている。これも吸収できるな」
剣が震え始める
剣はひとりでに抜けていった
「あの剣、独自で移動するなんてまさにリュウガの刀みたいだな」
そう言い、手を伸ばし竜輝のことを掴む
「失せろ!!」
物凄い勢いで蹴り飛ばす
ロブはゆっくりと歩き出す
竜輝の前に立ちはだかるマナ、マナの身体が突然光り輝き出す
ロブは立ち止まった
「これは聖獣の光、だがこのオーラに圧は感じない。一部覚醒といったところか。大した脅威ではないな」
ロブは再び光線を放った
「聖獣の加護光」
竜輝とマナを包む光のベール
「このシールドは光属性の攻撃を無力するシールドだ。お前の吸収したその技は効かなくなった」
そのシールドは光属性以外の攻撃にも守りとしての効果はある。聖獣時代、邪神を倒す時に使われた技で、邪神1体に対して聖獣達は百体近い数。仲間の攻撃が仲間に当たる可能性を懸念したことで生み出された技
「これは聖獣の時の技 (だんだんとその時が近づいているというわけか…)」
マナの表情は少し悲しそうだった
ロブの放った光線
ベールがマナ達を光線から守った
「効果は本物、しかし俺を倒したければ完全に聖化してからだ。そんな小細工が俺に通用するとでも思ったか!事前にマカルの魔法を吸収しておいて良かったよ」
ロブの身体を循環している光の力、そこにマカルの闇の力を混ぜる
「デッドリーレイ」
光り輝く闇がマナ達を襲う
ベールを破壊しながらマナ達を襲い、大きな爆発が起こった
光線が触れた地はえぐられ、大きく爆煙が広がる
だがしかし、その爆煙がなくなった時、竜輝達の姿はそこにはなかった
「逃げたか…吸収の供給も足りなくなった」
「だがあいつらが逃げるのも予言のうち、邪神様のためとはいえ、予言通りの行動をしているだけでは物足りない」
澄んだ青空、変な浮遊感。
真里の目が覚めるとそこはマカルの腕の中だった
「なにが…起きてるの…」
「動かないで、あなたは今あの化け物から逃れることが出来た」
優しいマカルの声
「なんで…空を飛んでいるの?」
「信じてもらえないと思うけど、私の超能力のおかげで
空を飛べているんだ。この超能力というのはあの化け物を倒すためのもの」
「じゃあ、あなたは私のことを助けてくれたんですね…! でもちょっと、その超能力?のおかげとは言っても上空過ぎて怖いです」
「それならすぐ近く、"真泉"にでも向かおう。ここはセレブや俳優だけが集う場所だから楽しめると思うよ。聞いたことあるでしょ?」
「ありますけど…そんなところに行っても大丈夫なの?」
「みんななら分かってくれるはずだよ」
「ところで、あなたはなんで仮面を被っているの?感謝したいし顔くらいは覚えておきたくて」
「あの化け物と戦っている時に顔に火傷を負ってしまって…本当は外して君と会話したかったけど」
「ごめんなさい…そうなんだ」
「私が超能力ということはバレてはいけないんだ。もう瞬間移動で向かおうか 」
――真泉のパーティー会場
真っ暗なホールをネオンの光が照らしていた。
音楽が低く鳴り響き、笑い声とグラスの音が交錯する
パシャ、パシャ
真里はカメラを構え次々とシャッターを切っていた。
「こんなこと初めてだな……夢みたい……」
隣でマカルが微笑む
「私たちはいつもこうして楽しんでいるから、写真を撮るという感覚が少し不思議なんだよな」
「これみんなに見せたいな。私、あの村からほとんど出たことがなくて……今まるで違う星に来たみたいです」
「そうか」
マカルは柔らかく言うと、視線を扉の方へ向けた
「少しやらなきゃいけないことがある。あなたはここで楽しむといいよ」
真里を残し彼は出入口へと歩いていく
扉の前に立つ門番の肩に手を置き、低い声で呟いた
「アイゼスはどこにいる?」
「控え室におります。ご案内します」
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「マカル様」
「アイゼスよくやった。短時間で人間との“ハーフ種”たちをここまで集めるとは、おかげでこのパーティー会場を開くことができた」
「ええ、女神があんなことになったせいで彼らは散らばっていましたからね。集めるのは少し骨が折れましたよ」
「だがもう問題ない。新しい“女神”は今さっき、私が連れてきた」
「ハハハ!さすがはマカル様だ」
「これで準備は整う。“あの時”が来るまでは、彼女を絶対に解放させるな」
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――再び会場
真里のもとに光沢のあるスーツを着たかっこいい男が近づく
「ひとりでいるのかい?……あれ、君、マカルさんの連れ?」
「(マカルさん……あぁ、あの人のことか)はい、そうです」
「なるほど。マカルさんにはお世話になっててね。私はノクタと言います。少し向こうで話さない?」
「はい、いいですよ」
二人はカウンター席に並んだ
ノクタが微笑みながらグラスを指さす
「ここのマスターが作る酒は絶品だよ。ぜひ一度は飲むべきだ」
「あの……でも私、未成年なので……」
「大丈夫大丈夫。みんな飲んでるし、しかもこれは飲みやすい。アルコールが弱い人でもいけるやつだから」
そう言って、ノクタはグラスを真里の前に押し出した
「……じゃあ、一口だけ」
真里はおそるおそる口をつける
——ゴクッ。
「え……おいしいかも……!」
ノクタは微笑んだまま、心の中で呟く。
「(確かに飲みやすいが……度数は高い。すぐ酔いが効くだろう)」
時間が経つにつれ、真里の瞼が重くなっていく
視界が滲み音が遠のいていく
その様子を見ていたマカルがゆっくりと近づき、静かに真里を抱き上げた。
「ノクタ、よくやった。続けたければパーティーを楽しむといい」
「はい、マカル様」
マカルは真里を抱えたまま背を向ける
「こいつは“保護下”に置かせてもらう。特別な部屋でな」
その声には微かな冷笑が混じっていた。
「待っていろ竜輝」
マカルは低く呟く
「ふふ…お前に味わわせるのは“最大の絶望”。これは……その序章にすぎない」




