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魔犬士  作者: チョコ
22/48

22 絶望への罠

平華教はある武器を開発、それを試したいがそんな状況にはまだない。そしてアジトの情報、詳しく魔物について知りたかった

だがそのチャンスが今回向かっていることにまだ誰も知らない


魔物のアジト――

煌びやかな装飾が壁一面に施された豪奢な部屋に、横並びの五人と、ロブ、アグルク、エゴロトが座していた。


三体の魔物から放たれる圧倒的な威圧感が、空気を重く支配している。


アグルクは、目の前に立つ五人を順に見定めると、左端から命令を下した。

「お前はとある政治家をハニートラップにかけろ……お前はここに残れ。そしてお前もここに残っていろ……そしてお前もだ」


「見たことのある女だな。インフルエンサーとかいうやつか」

エゴロトが低くつぶやく。


「今から何が行われるんですか……?この人にハニートラップだなんて、一体……」

一人の女性が怯えた声を漏らした。


「金が欲しくて来たんだろう? 軽く接待してもらうだけだ。そしてそこのハニトラ女は、今こちらが狙っている男を引っかけてもらう」


「わかった。詳しいことはマカルから聞いてる。じゃあ行くね」

女は迷いもなく部屋を出ていった。


「それで一番右の……男? まさかお前、男で……?」

エゴロトがアグルクに尋ねる。


「違う。そいつは下層集落の視察人だ。我らの学校を破壊した集落を見つけ出すために来てもらった。現場に残っていた人間の落とし物から、該当する人物を探し出すのだ」


エゴロトは無造作に女性の手を掴んだ。

「じゃあ、始めますか。こっちに来い!」


「やめて……!」



「俺は性には興味がない。ただ、力が欲しいだけだ」

一方でロブは目の前の女性に拳を叩き込んだ。




 ………………




アグルクの命を受けた視察人は、きっちりとスーツを着こなし、真泉町の下層集落へと足を踏み入れていた。


「これで四つ目か……やはり中心から外れた下層は息苦しい。この集落で何か情報を得られればいいが……」

彼は首長の家へ向かって一直線に歩みを進めた。



 バゴンッ!!

首長の家のドアが蹴り壊される音


「おっさん、君がこの集落をまとめてるんだよね。今俺真泉の学校を破壊した人を探してるんだよ。教えてくれないかな」


「急になんなんだあんたは…!」


「ただ視察しに来たんだよ。良いから早く知ってることを話せ」


「あ、あれはわしのせいじゃない」


「じゃない?じゃあ誰のせいだ。知ってるんだろ」

「犯人がここの集落の人だから言えないんじゃないか?」

  

「いや言える…魔物らの学校を破壊したのはこの集落の人ではなく、平華教の生き残りの仕業だから」


「平華教、生き残り?いい加減にしろ、平華教はマカルの手によって崩壊したはず」

 

「奴ら相当しぶとかったんだろう。見たところ、 新たに教祖が生まれ、その教祖に似た子供が2世として仲間になっていると見れた」


「教祖に似た子…供…魔物の復讐のためにそこまでするとは…だがその情報が本当とは限らない。信じるのはまだ早いな」 


「そいつらのアジトは真泉市民ホールだ。あいつらがいたら、わしらがとばっちりを受ける。わしは生贄となって人生を終わらすのが嫌なんじゃ…」


「じゃあ嘘だとしたらこの集落の命はないと思えよ。逃げようものなら地の果てまでマカル達が追いかけることだろうよ」

そうして、視察人は首長の家から出ていき、言われた通りに市民ホールへと向かっていった


外に出てトランシーバーを繋げる

同じ視察人と連絡をとった

「こちら学校破壊の有力な情報を得られた。真偽が分かり次第再び連絡を取る」

 



 ………………


真泉市民ホール――


監視カメラにて、視察人が真泉市民ホールに向かってくるのが映る。そして監視係の1人がそれに気付いた

「佐武!佐武!何者かがこちらに向かってくるぞ」

真泉市民ホールの周りは荒廃しており、ひとけはない、政府からの視察人が1人目立って見える


「監視カメラの様子を見せろ」

「身だしなみの整えられた男が1人、怪しい…」

佐武は怪訝な表情でモニターを見つめる


「どうしましょうか」


「あの時の男の刺客、もしくは政府からの刺客かもしれない。また返り討ちにあうのはごめんだ」

「皆、身を隠して銃の用意をしろ…」

 

みんなは指示通りに散らばって身を隠しに行った

  




 

 

 トコトコ…

ポケットに手を入れ意気揚々と現れる視察人

噛んでいたガムを吐き出し言う

「ふぅ…中に入ったはいいものの、見た感じただの廃墟

か?もしかしてあいつ嘘つきやがったか…?」

首長から嘘をつかれたと思い、怒りが先走る


入り口から入ると受付エリアが見え、待合場のイスがズラッと並んでいた。歩いていると、2階に上がる階段も目に見えたのでゆっくりと足をかけた

「誰もいないのが薄気味悪い……」

「戻ってマカルに伝えよう……いや、もしこれで平華教の情報が嘘だった場合、俺は嘘の情報を伝えたとして生きてはいられないだろう」

「そうだ、他の視察人を引き連れていけば」

急いでトランシーバーを取り出した。

すると、遠く目線の先にキラッと何かが光った


次の瞬間…


 バァンッ!!

銃声とともに視察人の肩が吹き飛ぶ


血が噴き出し、手を離しトランシーバーが宙を舞った 

 

「誰…だ…!!」


 ヒュンッ…

彼の周りを謎の影が通り過ぎる

「一体何の真似だ、まさかあの老人の言っていたことは本当だったのか?!」


「なんだ、ただの人間か…」

  

 ブサッ!

静かに視察人の首にナイフが刺される

「ぐあぁぁ!!」

 バタッ…

痛みからその場に倒れてしまう…

首からダラダラと血が流れていく

「誰…だ、こんなことしてタダじゃすまないからな…!」


 トコトコ…

「良くやった。じゃあこいつの服を漁って、使えそうなものがあったら奪い取れ」

冷たい声で佐武は言った


「こんなことして…お前らは必ずマカルに殺されるからな!!」


 ガサゴソ…

平華教団の1人が何かを見つけ出す

「何かあった…これは、アジトに入る為のパスです!」


佐武が近寄ってそのパスを受け取る

「これは使える」

 

「お前ら…許さねぇからな…」

視察人は震える声で佐武に言った


しかし、

 ドスッ!

佐武は彼の顔面を蹴り続ける

「魔物に魂を売った人間が何をほざく、人間捨てた時点でお前に生きてる価値はないんだよ」 


「く…そ……」

そう言い放ち、少し経って絶命した

 

「直ちにこの死体を処理しろ」

「そしてすぐにこいつの変装を行うメンバーを決める」


「変装?」

隊員の1人が問いかける


「こいつは視察としてここに来た。ということは視察結果を報告するために今日にでもアジトに戻る予定のはず。戻ってこないことを知ればもちろん魔物側は怪しむだろう」

 

「なるほど、それでは直ちに向かわせるように言ってくるね」

側近の須川は走ってメンバー達を集めに行った 




 ………………

 


「相田!田上!賀川!この3人に行ってもらおう」

須川の大きな声が響く 

「この通信カメラにて中の様子を撮ってこいと佐武が言っていた。平華教のためにも頑張ってくれ」


「はぁい!!」


「潜入で撮った動画はUSBに保存させている。あなたたちの勇姿はこれからずっと残るんだ」


「光栄に思います!」


「準備が出来たら声をかけてから行って下さいね」

そう言い、須川は2階に上がっていった




 タッタッタッ…

須川がいなくなり、相田のもとに駆け寄る河井

「相田、本当に行くのか?」


「やっと選んでくれたんだ。しかも今回はアジトの侵入、魔物をもっと深く知る為には重大なお仕事」


「戦闘経験とかはあるの?」


「ないけど、潜入調査だから見つからなければ大丈夫だろ」


「これがそんなに重大な仕事だとするなら、もっと戦闘経験のある人が選ばれるべきだ!だけど佐武は自分で行くことが怖いから、怖いから相田達を駒として利用している」


「佐武さんの悪口は言うな。平華教の復活のためには駒にだってなるさ。まぁお前には分からないだろうけど」

相田は武器庫に向かって歩き出してしまった


河井は膝から崩れ落ちた

「また死ぬ…誰かがまた死ぬ。あんな超能力を使える魔物を人間が倒すなんて不可能。だけど相田達は対峙したことがないからあんなこと言える…」


遠ざかっていく相田達3人

河井はもう彼らには会えないような気がした…




 ………………



「行ってきます」



ついにその時が来てしまった

相田が視察人の服をそのまま着て、田上と賀川は学校破壊の犯人として仕立て上げた


「行って来い!」

佐武は笑顔で送り出した



「ちょっと待って相…田…」

遠くから河井の声がした


教団員がみなこちらを振り返る

「あっ、絶対生きて帰ってきて…ね」


相田は笑って応えた



そうして3人は、こちらに背を向けて中心部へと向かっていった

 




 ………………


荒廃した道を歩み続ける


「最後の最後になって、河井も俺達の気持ち分かってくれたようだな」

相田は安堵の表情をしていた 


「河井もなんだかんだ良い奴だよ。目に涙なんか浮かべちゃってさ」

田上は笑って言った


「俺達は捕らえられた身っていうテイなんだから、笑み浮かべてるんじゃないぞ田上〜」


「お前も笑ってんだろ賀川!」



中心部への門が見えてくると、次第に彼らの会話は無くなっていった

目線の先には屈強で鎧を着た魔物が2体立っていた


「パスを提示すればいいって言ってたもんな…大丈夫だよな…本当に大丈夫なんだよな…」

相田の額に尋常でない汗をかきはじめる

「ハアァ、ハアァ、」



「例の視察人か?」

重く低い声が聞こえてくる


「はい…」

顔を下に向けて相田は硬直する

震える手でパスを見せた


「捕まえたようだな。じゃあその2人を生贄に持っていきたまえ!」


「え?本当に行けた……」

賀川は半信半疑だった。魔物のセキュリティの低さに心の中で驚く 


そうして門が開き、中が見えだす 

 

 



 

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