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魔犬士  作者: チョコ
2/21

2 闇信仰

竜輝とマナが魔泉町を視察する計画を立てている裏で、魔物達は人間を騙してある計画を進めようとしていた


だが事件が起こる…




次の日

 

真泉町を出る1体の魔物

魔物四天王のうちの1人であるスゥイルが立之宮大学内を徘徊している

仮面を被ってフードを被り、あらゆる人を観察している

「お目当ての奴は…いるかな?」



 

数多くいる大学生を観察している中で、スゥイルは1人の大学生に目を向けた

急いでその人に向かっていく


「君、よく1人でいるよね」

 

「そ、そうですけど?別にいいじゃないですか…」


スゥイルは静かに手を前に出して握手を求める


「なんですか…」


「いいから」 


しかたなくその大学生は握手に応じる


スゥイルの冷たい手が大学生の手に触れた瞬間、その大学生は一瞬で自身の持つ弱みを全て見透かされた様な感じがした

ビリっと刺激が走ったのだ


 

「君、みんなみたいに友達が欲しいんでしょ。でも今の自分の力じゃ無理だって思ってる」

「まぁこんなところじゃあれだし、外に出よう」




2人はひとけの無いところに行った

「なんで、俺の事をそんなに知ってるんですか?」


「ざっくり言うと神のおかげ。私達と同じように神を崇拝していればそんな不安はなくなりますよ」


「それって…宗教というやつですか?」


「君は宗教に対してあまり好印象ではないようだね。だけど私達は違う、あの「平華教」とは違うんだよ。まぁ今の自分を変えたかったら来てみてよ」

スゥイルは、この大学近くの駅付近にある宗教施設の案内チラシを渡した



「いったん、行ってみます!」



行ったのを確認し、

スゥイルは、同じく魔物四天王のアグルクに電話をした

「1人いけましたよ」


「こっちも1人いけた。だけどそっちは楽でいいよな、馬鹿の弱みにつけこめばいいだけなんだから」


「お前こそ、友達の多そうな人を狙って金で釣ればいいだけだろ。後は芋づる式で勝手にその人が人間を集めてくる」

「まぁお互い1人ずつ誘い出せたんだ。そんなピリピリせずいこう」


「そうだな…こっちはまだ1人、目星のつく奴がいる。後で報告するよ」


「わかった」



 


 

 竜輝のいきつけの店――


昼飯を食べに竜輝が来店するが、今日はいつもより人が少ない様子

「いつものお願〜い」


「いつものね。いいけど今日から値上げちゃったんだよね。実は結構前から厳しくてさ、値上げしない方針でいこうと思ったんだけど…」


「最近色々高くなってるからね…。いつもの安くておいしい味噌ラーメンが食べたかったけど、値上げしても食べるよ」


「ありがとう竜輝。あっでも、マナには何もあげられないんだよね」


「クゥ〜ン…」


「そんな顔しないでくれよ…」

早歩きで料理場に向かう






 店の中にあるテレビでニュースが放送される


本日未明、小苗村付近の道路にて40代とみられる男性が死亡しているのが発見されました。殺人の可能性を見て現在犯人を追っている模様です――――

 




「40代の男性…?いやあいつ魔物だけどな…」

「まぁこれから調査が進むにつれて分かってくるだろう。その時は魔物でしたってちゃんと報道するはず」



 

「この店の近くだね」

料理場から亭主の声が聞こえる


「そうですね…こんな田舎でこんな事件だなんてね」


「帰り気をつけてよねホントに」

「はい、味噌ラーメン出来上がり」


「ありがとうございます」


 お店の中にあるテレビの画面が切り替わり、平華教の特集が始まりだした――


平華教の政府との癒着、それが発覚したのは1年も前のことだった。今はもう平華教を見ることは無くなったが、本当にいなくなってしまったのでしょうか?今回はそれについて追求していく



「平華教の報道なんて1年ぶりか、でも何で急に…」







 


食べ終えて店を出る竜輝、バイクに乗って小苗村に帰る


その道中昨日倒した魔物のいた道を再び走ることになる。また信号待ちをしてしまう

 

ふと竜輝が歩道の方を見ると、歩道に黒服の男2人が歩いていた。この様な田舎に似ても似つかない彼らは異彩を放っている…

竜輝はそんな彼らのことを目で追っている。彼らが昨日死んだ魔物と何か関係があるのかは知らない。だが、不自然なくらいに辺りを見回している


 

「あっ、青信号だ。行かないと…」

不思議がりながらも竜輝は先に行ってしまった







 立之宮市――

仮面をつけてフードを被ったアグルクが赤月大学に乗り込んだ。

観察を続けていると誘い出せそうな人が目に付いた

それは、男女集団がいる中1人だけ先に帰ってしまう男の人だった


集団の話を聞くと、バイトの時間だとのこと…


アグルクは走って追いかける 

「キミキミ、あのみんなとカラオケ行くんじゃないの?」


「い、いや…バイトがあって…」

「てかあなた…誰ですか」

怪しげな目でアグルクのことを見ている


「僕は君みたいに大学生活を存分に楽しめない人を助けたいだけなんだよ。楽に稼げる仕事教えてあげる」


「闇バイトですか?それならテレビでも危険だって言ってましたし、てかあれ全然楽でもありませんよね」


「違うよ。君が会員になって私達の最高の製品を売るんだよ。ここだけ聞けば楽じゃないと思うじゃん、でも君の周りの友達も会員になってしまえばその人達の売上の一部も君のところに入るんだよ」

「最後の部分がどんどん広がれば広がる程、楽にお金が入る」

アグルクは大学生の手を引いて強引に握手をする

「君には友達もいるそうだし、いい素質があると思うよ」 

「こういうシステムって言っちゃうと最初にやってる人が儲かるものだから、今しかないチャンスだよ」


「す、凄い…」

この大学生は目を輝かせて話に聞き入っている

「これをするにはどうすればいいんですか…!」


「連絡先を教えて、これからはそれで連絡を行うから」


「はい!分かりました!」 


連絡先の交換が終わると

アグルクの携帯に着信音が鳴った

「それじゃあ今日の夜に連絡するからチェックしておいて」


「ありがとうございました!」

その大学生は笑顔でその場から立ち去った


 

アグルクの電話先はマカルだった…

「リルのまとめていた宗教にスパイが混じっていたそうだ。地下通路についての情報を盗まれた可能性が高い」 

 

「それは本当ですか…」


「アグルクが場所的に一番近いはず、今すぐその場に行って確認してくれ、スパイの名前はリュウガだ」


「分かった」

 シュバッ…

アグルクは霧のようにその場から立ち去った





 

立之宮市の1つ西にある市、西野市

その中の天智町にリル教があった

 


だが、刀一本持ったリュウガによって会場は大荒れの状況

ボロボロのフードで素顔を隠すリュウガ、隙間から赤い目が煌めく



「我ら仲間よ!あの裏切り者を処刑しろ!」

リルの声に反応して信者達が立ち上がる


リュウガはリルの信者たちによって囲まれてしまう

だがリュウガは全然怯える素振りもない

「逃げたい奴はそこの出口から出ろ。俺だって無駄に殺したくないんだ」


逃げたのはほんの数人だけ


「刀を目の前にしても逃げない、完全に洗脳されてるか…」

「すまない、恨むなよ」


 ズザァズザァァッ!!

向かってくる人達を次々と斬っていく


激しい刀さばきを見せ、信者達を圧倒させる

そうして遠くの舞台で立っているリルに目を向ける。そのリルめがけて走っていった


だが、前に信者達が立ちはだかる

「ここを通りたかったら俺達を倒せ!」

真剣な表情で言った


「ちっ、どいつもこいつも何でこんな宗教にハマりやがってんだよ…!」

「どきやがれ!」

刀を振り下ろすふりをし、その信者の頭の上を飛び越えた 


「なんだと」


「構ってる暇はないんだよ…!」

信者を踏み台にしてそのままリルのいる舞台の上に飛び降りた


「やはり人間如きじゃリュウガのことは倒せないか…」


 バッ…!

刀を構えたリュウガがリルの頭上に現れる


リルは咄嗟にその攻撃を避ける

「お前も下級魔物のはず、戦闘にむいていないはずなのになんでここまで強くなった…」


「俺の妻を取り返すためだ。くらえ!」


「ふっはっ…こっちに来るな!」


「首は狙った…」


「ぐあっ…!!」

 ズザァッ!

 バタッ…

リルが死んだことにより、会場が静まり返る


信者達は全員舞台の方を見るも、怯えている

たった1人によって「神」と思っていたものが殺されたのだから



だがそこにアグルクが現れてしまう

「やってるねぇ…」

そう言い笑みを浮かべると、闇の力を双刃槍に具現化させ装備した

「ここはもうおしまいだ。さようなら」

するとアグルクは持っていた槍を振り回した

その斬撃が辺りに放たれると、会場にいた信者達の身体を斬り裂いてしまった



舞台下が血の海の様になっているのを見てリュウガの足がすくんだ

だが睨みを利かして言う

「何故お前らがそんなに宗教を立ち上げ信者を増やし、それだけに留まらずマルチ商法に似た悪徳商法で、何の社会も知らない大学生を狙っているのか、それの秘密が分かった」 

「その人間から金を巻き上げ、地下通路を作りよりバレずに生贄を運ぶことが出来るもな」


「正解、復讐に燃えたリュウガの行動力は凄いな」

「その通りで俺らは金を集め続けている。金が払えなかったやつはもちろん生贄だ」

 

「その情報はもういただいた。真実は必ず暴かれるからな」


「何を勝手に勝ち誇っている?その真実は暴かれることは無いぞ。この国のメディアはもう私達の物なんだから」

「まぁお前を殺すように言われたから仕方なく、やらせてもらうよ」


「かかって…こい」



 

毎週日曜日の午後に投稿予定です

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