フィクテゥス
USSドミナリーはアメリカが合衆国だった時に作られた最初で最後の核動力第五世代目のハワード・W・ギルモア級弾道ミサイル搭載核融合潜水艦である。
全長180.00メートル
全幅13.1メートル
排水量約49,000 トン
CVX社製CV01原子核融合炉
NEL社製Mk89弱音推進機関
仙桜重工業製音波巡回ソナー
乗員110名
核弾頭12発
まさに世界の“戦争をする為”の技術を集結した潜水艦だ。
しかしその特徴はなんといっても世界初の核融合炉を搭載した潜水艦という事だ。
この炉は従来の原子炉とは違い、海水から核融合に必要な重水素と三重水素を取り出し永久に発電できるのである。
「フィクテゥスさん。そんな潜水艦を発見するなんて困難ですよ。」
サムイル教授はテレビの画面を見ながら言った。
「いくら貴方が投資しようとも不可能です。」
テレビの画面には何も映ってなく、ただ黒い画面が広がっていた。
「なるほど........そうですか。」
真っ黒な画面から声が聞こえた。
「しかし、サムイル教授。僕が誰なのか覚えてもらいたいね。」
その声は合成されており、トーンもバラバラになっていた。
「やろうと思えば貴方の情報を世界中にばら撒けるんですよ?」
サムイル教授は眉を顰めた。
「私たちは、全力を注いで潜水艦を探しております。しかしながら、やはり不可能です。今まで各国が潜水艦を捕まえる為に軍艦を送りました。だが奴の積んでいる[CASAIはいかなる方法で近づいても感知し、即座に撃沈する能力を持っています。」
「分かりました。」
フィクテゥスが言った。
「だけども貴方を信用しているからこの事は任しているんです。何としてでも入手して下さい。」
「分かっています。」
サムイル教授が答えた。
「そうそう。そういえば.......。」
フィクテゥスが付け足した。
「天使について新しく情報が入りました。それによると奴は人類にとっては危険だそうです。早く見つけて殺した方が良いでしょう。」
「分かりました。それでは。」
そう言うとサムイル教授はパチリと瞬きをした。
画面には<通話終了>と白い文字が浮かんだ。
「やれやれ。あのWITPのCIOめ。我々を使いよって........。」
彼は空中を見つめた。そして人差し指で空中を指差した。
「またC-チップの調子が悪い。」
彼の手は空中を撫でるように動いた。まるでキーボードを叩くように。
コンコン
誰かがドアをノックした。
「入れ。」
サムイル教授は後頭部に手を伸ばすと銀色の500円玉ぐらいの大きさのチップを外した。