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福島上空 高度4万5000フィート地点

B78ストラトヘルパーはかつてアメリカのボーイング社が製造した全長47.45メートル、四発エンジンを積んだ大型輸送機である。

3078年に設計されたこの“成層圏の助け人”はたった三機しか製造されなかった。

そのうちの一機が今福島上空を舞っていた。


「こちらNJA91ナランハ・エストエラ。乱気流を抜けた。これよりオートパイロットに切り替える。」

操縦室からの無線が貨物室まで丸聞こえだ。北日軍の兵士たちは戦闘服を身に付けて貨物室の真ん中に置いてある檻のような物をジロジロと見つめていた。


「おい、あれなんだよ。」

一人の兵士が同僚を小突いた。


「分からねえ。」

小突かれた兵士は目を細くした。

「だけど、白い物が入っているぜ。」


確かに檻の頑丈そうな鉄格子の間からは何か白い布のような物が中にあることが確認出来た。


「お前ら。あの事については喋ってはならない。」

一際目立った戦闘服を着た男が注意した。

おそらくこの部隊の隊長だろう。


貨物室はまた静まりかえった。


不気味なぐらい静かだ。


「まるで......。」

兵士の呟き声が反響した。

「嵐の前の静けさだなぁ」


予言は的中した。


突然機体がガクンと揺れたかと思うと爆発音が響き渡った。


「緊急事態発生!緊急事態発生!ゲリラの.....。」

操縦室から無線が聞こえた次の瞬間、今度は前から爆発音が聞こえ操縦室に通じるドアから黒煙がドッと貨物室に流れ込んできた。


「自爆ドローンだ!!!」

兵士の一人が窓を見ながら叫んだ。


外はだんだん夜が明けて来ているのか、紺色の空が段々と紫色に変わり始めていた。

それを背にして一機の戦闘機がまっしぐらに突進している所だった。


目を凝らすとコックピットには人の代わりに円筒形の物が載せてある。


爆弾だ。


赤いランプが点灯して警告音をけたたましく鳴らした。


「メーデー!!メーデー!!」

サイレンの中、誰かが叫んだ。

「現在トウキョウ方面に迷走中!!操縦室大破!!」


機体はゆっくりと旋回していた。


「ターレットを使え!!」


掛け声と共に数人の兵士がハシゴを登って天井にくっついているガラスドームのような物から頭をひょっこり出した。


このガラスドームには強力なパルスガンが備わっていたのだ。


パルスガンは一斉に自爆ドローンに狙いを定めた。


「撃て!!!」


銃口から赤い発光した三十センチメートルばかりの光線が発射されるとドローンめがけて飛んでいった。


1発目はドローンの機首に命中して爆発を起こした。その次に命中した光線は尾翼をもぎ取った。

それでもドローンは突進して来た。


「現在トウキョウ上空!!」

また誰かが叫んだ。


「バッテリーを装填しろ!!」


「急げ!!」


「貨物室から出ろ!!」


「だったらどこに逃げりゃ良いんだよ!!」


「知るか!!」


ドローンはもう目前まで迫って来ている。

騒ぎはいっそう大きくなった。


「わー!!」


「とにかく積荷を守れ!!」

隊長が拳銃片手に叫んだ。

だが突っ込んでくる戦闘機相手に拳銃なんて効果があるのだろうか。


「おい!衝突するぞ!!」


「衝撃に備えろ!!!!」


鉄がひしゃげる音。


爆発。


誰かの叫び声。


頑丈な檻はペチャンコに潰れて中身は空中に放り出された。


それは白い服を着て、日の出の光を浴びて輝いていた。

白い髪の毛が風に靡いてまるで龍のように靡いた。



それは.....

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