情報収集
「WITGのビルはオフィス街で一番高いビルだ。」
ミゲルが言った。
「社長室は最上階にあるって事は分かった。さて、どうやってそこに到達する?」
ニシキ博士はビルの写真を見せた。
「隣のワールドブルー株式会社の屋上からワイヤーをかけて、渡っていけば良いんじゃないか?」
ヴェルケが隣に建っているビルを指差した。
「ただでさえ人が多いオフィス街だよ。すぐバレと思うよ。」
ソフィーが意見を出した。
「なら忍び込むのはどうだ?」
今度はミゲルが言った。
「身分証明書を作るのに時間がかかる。あと大体、C-チップを持ってないじゃないか。」
と、ニシキ博士。
「ならもう、銀行強盗みたいに.........。」
「んー?!みんなー?!ちょっと来てー!!」
パソコンをいじっていたベルが叫んだ。
画面には電話のマークが表示されている。
ベルがそれを押すと
「こんにちは。このパソコンの持ち主さんがた。誰か代表で僕と会話して下さい。」
ミゲルが目でベルに「これ何だ?」と聞いた。
ベルは肩をすくめた。
「すいませーん。居留守しないでください。
今、僕はわざと音声だけにしているんですよ?」
「分かった。何のようだ?」
ミゲルが答えた。
「こんにちは、僕の名前は@initialiです。あなたの名前は?」
名前を聞いて皆んな顔を見合わせた。
「知らない奴に自分の名前は言わない。強いていうならばMだ。」
「Mさんですね。好きな食べ物はありますか?」
ここでベルがスマートフォンのメモ機能に何かを打ち込んだ。
個人情報を特定しようとしている
こう書いてあった。
「ないです。」
ミゲルは慌てて答えた。
「趣味はありますか?」
「ないです。」
「すいません、年齢は?」
「言えません。」
「渋いですね。悩みはありますか?」
「ありません。」
「それも人生ですからね。」
ミゲルは「何じゃこりゃ。」という顔をしていた。
「あの、人間ってどう思います?」
「え.....あ、んー、なんか存在していて?うっ......ウケる?」
ヴェルケはやれやれと言うように首を振った。
「ウケるんですか?そうなんですね...........。」
それから@initialiは黙ってしまった。
「あの.....。」
ミゲルが何か言おうとしたその時、ニシキ博士が叫んだ。
「フィロ!!!Wi-Fiのケーブルを抜いて!!!」
一同とは少し離れた所にいたフィロは咄嗟にWi-Fiルーターのケーブルを全部引っこ抜いた。
すると微かに
「......チッ。まあ......世.....界が終わっ......ている......って......い.....うけど.......人間も.....みん.....な......終わり......ます......からね..........。」
と聞こえ、電話は切れてしまった。
「よく気づいたねー。あやうくー、発信場所を特定されそうだったー。」
ベルが呑気に言った。
「あっぶね!」
ミゲルは額の汗を拭いた。
「だけど、声の高さとかで年齢は特定されているだろうな。」
ニシキ博士が言った。
「これは早めにアイツを捕まえた方がいいよ。」
今まで黙っていたテンが口を開いた。
「私、すっごく嫌な予感がする。」
「そう言えばアイツの名前<@initiali>ってラテン語で仮っていう意味だったぜ。」
ヴェルケが言った。
「絶対アイツ、WITGの奴じゃないか?」
「という事はスラムにいる事はバレている。早めに襲撃しないとまずいぞ。」
ミゲルが頭を掻きながら言った。
「一週間後に襲撃する。みんな充分だな?」
「武器はここに揃っている。改造を急ピッチで進めるよ。」
エリーフが付け足した。
「情報は任してー。」
ベルが言った。
そんな中、フィロは黙っているしか無かった。




