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旅の終わり

その叫び声は喜びに満ちていた。ラクレスたちが困惑していると、団長が青い空を指差し、急いで説明した。


団長「見ろ‼︎ あそこに白い鳥が飛んでるだろ⁉︎ あんなもん月光砂漠には滅多にいねえんだ! ただ一つの場所を除いて……」


ラクレスは固唾を飲んで団長の話に耳を傾ける。


団長「オアシスだ! 近くに水がある‼︎ 俺たちの命、まだもつかもしれねぇ!」


団長がそう言うと、男たちは一気に盛り上がって叫んだ。


「急げ、あの鳥の後をつけるんだ!」


男たちはすぐさまラクダにまたがると、その鳥が水のあるところへ導いてくれると信じ、一斉にその白い鳥を追った。


ラクレスもがむしゃらに、その鳥の導きを信じた。男たちにとってそれはまるで、神様が差し伸べた救いの手のようだった。しかし、このときラクレスの心に一瞬だけ疑いが芽生えた。それは両親が死んだときに感じた、何かを信じることへの疑い。だがラクレスはそれを感じないように、無視してラクダを走らせた。




それから彼らはその鳥の飛ぶ方へ進んだ。それが救いへ導いてくれることを信じてただ歩き続けた。しかし、どれだけ歩いても目的地の村はおろか、オアシスさえも見つからない。そして一団は昼を超え、そして夜を迎えた。暗くなっても鳥は止まることなくゆっくりとどこかへ進んでいた。このとき既に半日が経過し、タイムリミットの昼は徐々に近づいていた。


涼しい満月の夜、ただただ鳥を追いかけていると、色々な想いが男たちに浮かんだ。まだ達成していない夢、村に残る家族、友人、恋人、もう一度食べたいもの、飲みたい酒、馴染みの風景。それらのことを想うたびに、彼らの死ねない理由が、強くなっていった。


そしてとうとう、朝を迎える。水分を失い過ぎたせいで喉は裂けるように痛くなって、皮膚は完全にハリを失った。体は汗もかけなくなって、強烈な脱力感を感じた。それに加えてめまいのせいで、ラクダの上に跨っているのも精一杯だった。それなのに太陽はどんどん高く昇ってゆき、あたりを一層暑くした。


彼らが倒れそうになりながらも、なんとか前へ進んでいると、目の前に高い砂の丘が現れた。一団の追いかけていた白い鳥はそれを難なく飛び越え、ついにラクレスたちはその鳥を見失った。


(この丘の頂きが限界だ…… それ以上は進めない)


その場の全員が思った。男たちは弱々しくラクダから降り、その急な丘を自力で登った。登った先の頂上から村やオアシスが見えなければ、待つのは死だけだった。膝を砂に埋めて、ゆっくりと一歩ずつ登ってゆく。砂が滑り落ちて何歩か後退した。それでも一歩ずつ、その丘の先に村があることを信じて前に進んだ。そしてなんとか最後の一歩を踏み締め、丘のてっぺんに立つ。


しかしそこからの景色に人や水の影はなく、終わりの見えない真っ白な大地が広がっていた。彼らの必死の抵抗も生きたいという想いも、全て砕かれた。そしてようやく、自分たちの死ぬ日が今日で、死に場所がここだと理解した。


フィロソフィアを読んでくださりありがとうございます! 僕は高校3年生なのですが初めて小説というものに挑戦してみました。受験勉強の合間を縫って頑張って書いた小説なので、好きになってくれたら嬉しいです!


拙い物語かもしれませんが、気に入ってもらえたのなら、『ブックマーク』と

【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです!


応援の言葉が執筆の原動力です!

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