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黒い都市迷彩は所々剥げ落ち、茶色の鉄板が覗いていた。
錆びついた取っ手をゴリゴリと回し、ハッチをこじ開ける。
ほっそりとした体をコクピットに滑り込ませると、ユナは無線のスイッチを入れた。
「こちら、フィアー03。無線感度良好、どうぞ」
「こちら、フィアー05。現在、ミツキの起動を手伝っている。うーん、もう少しかかりそう」
「了解。03も起動するよ」
座席の背もたれに付属したケーブルを首根っこのソケットにつなぐ。これで電気信号をやり取りするのだ。
アフノイドが腕をもぎ取られれば相応の痛みを感じ、頭を吹き飛ばされればそれなりの激痛が走る。
これだとモニターで腕がもぎ取られるのを見るより速く、より本能的な反応ができる。
また、戦闘時に感じる恐怖も倍増する。
電気が通い、軽いめまいのような感覚を覚える。
しかしそれもすぐに慣れ、手足は柔らかいセメントに突っ込んだような感覚になった。
一瞬後せき込むような音を立て、エンジンが起動する。
(今日も威勢がいいねえ)
背中にその振動が直に伝わってくる。
「燃料の流入量に、回転数。すべて問題なし」
わざわざ声に出すほどのことでもないが、いつもの習慣だった。
「神経回路問題なし。セーフティピンも抜いた…。よし」