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ミチノミライ  作者: ばくー
第二話、塔の上の少女
23/59

7

「はあ、はあ…ちょっと…待ってくださいよぉ~」


冷たい空気が肺に突き刺さる。


白い息を吐きながら、ミツキはなんとか息継ぎをする。


(なんで…こんなに…寒いのよ!)

重いものを持っているせいか、かじかんだ手が余計に痛んだ。


(実際に…体を動かすのは…あんまり…)


「おせーぞ、ミツキ!」


マリンは後ろを振り返りながら叫んだ。


「早くしないと分け前ゼロだよ~!」


(ほんとに…もう、勘弁して…)


ミツキは肩で息をしながらつぶやく。


(大体、なんで私よりちっこいのにこんなに足が速いのよ~!)

身長と運動能力は比例しないらしい。


「マリン先輩!乾パンはどうしましょうか~?」


「全部だ!積めるだけ持って行くわよ!」


マリンは後ろを振り返りながら叫んだ。

「ミツキ~?」


「は、はい!今行きますぅ…」


(も、もう無理~!死ぬ!)


ふらつく足をなんとか前へと押し出す。が…


ぐきっ。


(あっ…)

あっという間に天地が入れ替わる。

ミツキはずってーん、と盛大なモーションで転んだ。


音を聞きつけたマリンはあきれた様子で振り返る。


「はーあ。全くとろいんだからぁ」


(ごめんさい、ごめんさい、ごめんなさいぃ~!怒ってるよね?!絶っ対に怒ってる~!)


「しゅ、しゅみまへん、まひんさん」


ミツキは地面に顔面をつけたまま、もごもごと謝った。


「ええ?!大丈夫ですか?」


ノノミの声だ。ばたばたと駆け寄ってくる。


(えへへ~。やっぱり持つべきものは可愛い後輩だなぁ…。ノノミ、傷心の私をこのまま抱き起して…)


「よいしょっと」


ふっと、腕が軽くなる。


(ん、ん?)


「あ、無事でした!缶詰め、大丈夫です!」


「なーんだ、よかった。さ、次いこ!」


足音が遠ざかっていく。


冷たい床の上、ミツキはただ一人取り残された。


(…ああ、いっそこのまま凍死したい)

人は床より冷たい…。(経験者は語る)


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