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人気者の彼女を私に依存させる話  作者: 琥珀のアリス
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六華はどこですか? side雪音

 六華と葛飾さんは、お昼休みが終わる少し前に教室に戻ってきた。六華のことが気になってしまい、友達との会話に集中できずに何度も教室の入り口を見てしまっていたため、彼女が戻ってきたときにはすぐに気付くことができた。


 六華は私の視線に気づいたのか、私の方を見て微笑んでくれた。その顔が綺麗だったため私は見惚れてしまったが、六華はまた前を向くと、すぐに自分の席に戻ってしまった。

 その後を追う形で葛飾さんも自分の席に向かう。私は、先ほど六華が葛飾さんと腕を組んでいたことを思い出し、葛飾さんのことを見てしまう。

 すると、葛飾さんが六華の方を向いて話しかけた。


(何話してるんだろ。てか、距離近くないかな?…あ、なんか葛飾さんが喜んでる)


 六華と葛飾さんが楽しそうに話しているのを見ていると、胸の奥がモヤモヤしてくる。二人が何を話していたのか凄く気になるし、六華は今日、葛飾さんと一緒に帰ると言っていた。

 いつもならそこまで気にならないのだが、お昼を食べに行く前、二人が腕を組んだのを見てしまったためか、どうしても気にしてしまう。

 そのせいか、午後の授業は午前以上に六華のことを見てしまい、授業に集中することができなかった。





 午後の授業も終わり、担任の先生からの連絡事項も聞いたので、あとは帰るだけである。六華のことを考えながら帰り支度をしていると、友人の一人である、八雲雫やくも しずくが声を掛けてきた。


「朝比奈、この後みんなでカラオケに行くんだけど、一緒に行かない?」


 いつもなら、六華と帰るから断るところだが、今日は彼女も友人と一緒に帰っているため、私はその誘いを受けることにした。


「いいよ。私も行く」


「おっけー!なら、準備できたら声かけてよ!」


「わかった」


 返事を返した後、まだ六華はいるか確認したが、教室には既に彼女の姿はなかった。


(一言くらい声かけてくれればいいのに)


 心の中でそんなことを思いながら、私は友達を待たせるわけにはいかないと思い、急いで帰り支度を済ませた。


「お待たせ」


「全然大丈夫だよ! それじゃ、行こうか!」


 私が声を掛けると、待っていてくれたみんなが席を立ち、私たちはカラオケに向かうため教室を出た。


 



 カラオケに来てから30分ほど経った時、雫から声をかけられた。


「それにしても、朝比奈が来てくれるなんて珍しいね?いつもは雪喰さんと一緒に帰るからって断ってたのに」


「今日は六華が友達と帰るみたいだったから、せっかく誘ってもらったし来ようかなと思ってね」


「そーだったんだね。にしても朝比奈、ほんと雪喰さんと仲良いよね?同じ中学なんだっけ?」


「そうなんだぁ。といっても、実際に話したのは三年生の頃からなんだけどね」


「え、そーなの?てっきりもっと前から仲良いのかと思ってた」


「三年生までは違うクラスだったから、なかなか話す会とかもなかったんだよね」


「へー、でもいいなぁ。雪喰さんってクールでかっこいいから、私も仲良くなりたいなー」


「そうだね。機会があるといいね」


 その言葉を聞いた瞬間、私は一瞬、モヤっとした気持ちを抱いたが、何とか顔には出さずに微笑み、そう答える。


 その後は特に何もなく、カラオケの終了時間にもなったためお店を出て、私たちはそのまま解散となった。

 家までの帰り道、隣に六華がいない事を寂しく感じ、いないはずの彼女を求めてしまう。


(はぁ。六華に会いたい。どうして急に距離を置かれるようになったのかな。私が何かしちゃったのかな。寂しいよ、六華)


 私は、気づけばまた六華のことを考えてしまう。でも、金曜日には一緒に帰ってくれると約束したから、その時に色々聞いて、悪いところがあったなら直すように頑張らないとと思い、私は一人で家に帰った。





 その日の夜、そろそろ寝ようかと思った時に六華からメッセージが来た。


『おやすみ、大好きだよ』


 そんな短い内容だったが、大好きだといってくれたことが嬉しくて、すぐに返信をしてしまう。


『私も大好きだよ!また明日ね!おやすみ!』


(明日は、少し早めに行って六華に会って、私から声をかけよう。もしかしたら、六華も早く来て、いつもより長く話せるかもしれないし)


 私は、明日は少し早めに行くことに決めて、明日に備えて眠りについた。





 翌朝、その日も六華から朝の挨拶はなかったが、いつもより早く起きた私は、早めに準備を済ませて家を出た。


 教室に着くと、昨日はいなかったはずの六華がすでに来ていて、少し慌てた感じで私のところに来て声をかけてくれた。

 そんな六華が可愛くて、私は心の中で微笑んでしまう。


「おはよ、雪音。今日は早いね?どうしたの?」


「六華、おはよう。たまたま(・・・・)早く起きちゃったから、少し早めに来たんだよ」


 本当は六華より早く来て、私から彼女に声をかけるためにこの時間に来たのだが、そうとは言えるはずもなく、たまたま早く起きたからという適当な理由を答える。

 そして、六華はどうして昨日は遅かったのかをさりげなく尋ねてみることにした。


「いつも通り家を出たけど、途中で忘れ物に気づいて取りに戻ったんだ。だから、いつもより遅い時間になったんだよね」


 どうやら忘れ物をしたため、それを取りに戻ったので、いつもより遅い時間になってしまったようだ。

 心配はしたが、何事もなかったようで安心した。


 その後も、いつもより少し長く話をしていると、少しずつ教室にも人が増えて来て、雫たちも来たようだったので、六華は自分のせきに戻っていった。


 そして、始業のチャイムがなるまでは友達と話をして過ごす。

 ときどき六華の方を見てみるが、彼女は特に何かするわけでもなく、ただスマホを弄っているだけだった。



 授業が始まると、そこからはいつも通り…とはいかなかった。

 朝に六華と話したためか、もっと彼女と話したいと思ってしまい、気づけば昨日と同じく、六華の方を見てしまう。

 でも授業中のため、当然、六華は私のことを見てくれるわけがない。

 私はそんな状態で授業に集中できるわけもなく、結局、昨日と同じでほとんど授業の内容を覚えていなかった。


 でも、休み時間になれば、目が合った時に六華が微笑んでくれる。それがどうしようもなく嬉しくて、また目が合うことを期待しながら、彼女のことを何度も見てしまう。


 そして、家に帰ってからは、六華と少しでもお話がしたくてメッセージを送るが、返ってくるのは数時間後だし、夜の電話も忙しいからと断られてしまう。


 そんな感じで、話したいのに話せない状態が続いた事で、授業には集中できず、いつも以上に六華のことばかりを考えてしまう。そんなもどかしい日々を送っていると、気付けば一緒に帰る約束をした金曜日になっていた。





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