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人気者の彼女を私に依存させる話  作者: 琥珀のアリス
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動画を送ったら返信が…

 雪音と別れた後、私は一人電車に乗って、さっきのことを思い出していた。


(雪音の唇柔らかかった。舌も柔らかくて、絡めるたびに甘やかな刺激が私に流れてきて、キスってあんなに気持ちいいものなの?

 何より、キスしてた時の雪音の蕩けた顔がやばい。雪音の家であんな顔されたら、間違いなく抑えが効かなかった)


 雪音とキスをした時のことを考えていると、気づいた時にはいつも降りる駅に着いていたので、私は慌てて電車を降りた。


「雪音、ちゃんと帰れたかなぁ」


 私はあの後、雪音がちゃんと家に帰れたのか心配だったが、場所も彼女の家の近くを選んだし大丈夫だろうと信じて、私は自分の家に帰った。





 家に着いてから数時間後、雪音からメッセージが来た。


『六華、電話で話したい。かけていい?』


 私が計画した第2段階では、キスをした後も距離を置く事にしているため、すぐに返信は返さない。

 それから1時間ほど経った時に、今は手が離せないからできない、夜も話すのは無理そうとだけ返信を送る。

 それに対して、雪音からすぐに返信が来たが、またしばらくは放置する。


 その間、私は明後日、莉緒と遊ぶ時に何をするかや集合時間を考えて彼女にメッセージを送る。


『莉緒、明後日の集合時間は13時でいい?それと、映画を見に行く予定で考えてるけど、見たいのとかある?』


 メッセージを送ってからしばらく待っていると、莉緒から返信が来た。


『ホラー映画が見たい』


『りょーかい。何かないか探しておく』


 明後日の予定も大まかに決まったので、あとは今やっているホラー映画を調べたり、時間調整をすれば終わりだ。

 そんなこんなで、明後日の予定を組んだり、夜ご飯やお風呂、勉強の復習などをしていると、あっという間に時間は過ぎていった。

 その間、雪音からは何度かメッセージが来たが、彼女にはたくさん私の事を考えて欲しいので、返信は少なめにし、予定通り寝る前の電話もお断りした。





 翌日、今日は特に予定がないため、遅めの時間に起きる。枕元に置いてあるスマホ画面を見ると、雪音からたくさんのメッセージが来ていた。

 電話で話したいとか、会いに行ってもいいかとか、返信して欲しいなど、たくさんの愛がこもったメッセージが来ていて、私は朝から嬉しさが込み上げて来る。

 この事は明日、莉緒に自慢する事に決め、私はスマホ画面を閉じて一階に向かう。


 そこで朝兼昼ごはんを食べ、部屋に戻ってスマホゲームをする。

 最近ハマっているのは、シミュレーションゲームで、動物をモチーフにしたキャラたちを操作して旅館を経営し、発展させていくというものだ。


 そして、満足いくまでゲームで遊んだ後は雪音に返信を返す。

 私の大好きな雪音は今何をしているのか。私のことだけを考えてくれているだろうか。

 どうやら私も、昨日、彼女とキスをしたためか会いたくて仕方がないようで、彼女のことばかりを考えてしまう。


(いや、それはいつもの事か)


 雪音への返信が終わると、暇になったので動画アプリでVTuberのゲーム配信などを見て時間を潰す。

 その間も雪音からはメッセージが来るが、スルーする。

 気付けば外は暗くなっており、母親にご飯ができたと呼ばれた。私はまた一階に降りて夜ご飯を食べ、少し休んだ後にお風呂に入る。


 そこで私は、雪音に悪戯を仕掛ける事を思いついた。私はいつもお風呂にスマホを持ち込んでいるので、スマホを内カメにし、胸より少し上あたりが映るようにして動画を撮影する。


「雪音。あまり話せなくてごめんね?月曜日に会えるのを楽しみにしてるよ」


 撮影した動画を雪音に送ると、すぐに既読がついた。しかし、しばらく待っても返信が返って来る事は無かったため、私はお風呂から出ることにした。


 その後も、雪音から返信が来る事はなく、少し心配にはなったが、ここで私が電話をかけたら計画が台無しになるので、なんとか我慢する。

 そして、その日は結局、雪音から返信が来る事はなかった。





 日曜日、今日は莉緒と遊びに行く日である。

 起きてスマホを確認するが、雪音からはまだ返信が来ていない。

 本当にどうしたのだろうかと気にはなるが、家にいる限りはご両親もいるだろうし、大丈夫だろうと結論付け、私は遊びに行く準備をする。


 準備が終わった後、家を出る前に、雪音にメッセージを送っておく。


『これから莉緒と遊びに行って来るね』


 莉緒と遊びに行くことを改めて伝え、彼女の嫉妬心を煽る。

 これで少しでも嫉妬してくれれば、私の計画はまた一歩前進する。

 雪音にメッセージを送った後、私は家を出て、莉緒との待ち合わせ場所に向かった。


 待ち合わせ場所には5分前についたが、既に莉緒は来ていて、私のことを待っていた。


「おはよ、莉緒。相変わらず来るのが早いね」


「そうか? 私がたんに人を待たすのが嫌いだから、少し早めに来てるだけなんだけどな」


「莉緒らしいね。あ、そういえばお昼は食べた?」


「まだ。映画は何時からなん?」


「映画は15時からだよ。まだ時間あるし、お昼食べてから行こうか」


「おーけー」


 映画を見る前にお昼ご飯を食べることにした私たちは、近くにあるファミレスに向かった。ファミレスに入った私たちは、メニュー表を見て注文を決めた後、店員さんを呼んだ。


「それで? 今日の映画は何かいいのあった?」


「口コミの評価でいいものがあったから、それにしたよ。あとは見てからのお楽しみだね」


「まぁ、六華が選んだものだし、期待できるでしょ。前に六華が選んでくれたのも面白かったし」


「ふふ。信頼してくれるのは嬉しいけど、期待に応えられるかは分からないから、ほどほどにお願い」


 これから見に行く映画についての話をしていると、店員さんが頼んだものを持ってきてくれた。

 私が注文したのは魚介系のスープパスタ、莉緒はクリームスープパスタと食後に蜂蜜をたっぷりとかけ、フルーツで飾り付けさられたデニッシュを注文した。

 料理が来てからも、これまで二人で見た映画などの話をしながら食事をし、食べ終わった頃にはちょうどいい時間だったので、そのまま支払いを済ませ店を出た。


 映画館に着いた私たちは、予定していた映画のチケットを買い、入場まで多少時間があったので、グッズが売られている場所に行き、パンフレットやグッズをみて時間をつぶす。

 そして、私たちが見る映画の入場時間になったので、私たちは入場口でチケットを見せ、指定されたシアターの中に入った。





 映画を見終わった私たちは、近くにあったカフェに入り、さっき見た映画についての話しをしていた。


「いやー、結構面白かったな。やっぱホラー映画は海外の方が面白いな」


「同感だね。特に今回はホームビデオを基にした映画だったから、尚更リアリティがあってよかったね」


「それな。日本のホラーはどうしても作り物感が否めないよなぁ。しかも、時々わけわからない方向の終わり方するのもあるし。前に見たのなんか、最後にバトルぶち込んできて意味わからんかったよな」


「あぁ、あれね。確かに、途中まではちゃんとホラーでそこそこに怖かったけど、最後の最後に幽霊と戦ってたから意味わからなかったよね」


 その後もしばらくは今日見た映画の感想をお互いに言い合い、満足したところで、注文していた飲み物を飲み一息ついた。


「あ、そういえば、前に話してた計画のことだけど、今どんな感じなの? 金曜日に仕掛けるとか言ってたじゃん」


「ふふ。金曜日に私たち、一緒に帰ったでしょ? そのあと、雪音の家の近くにあるカフェに寄って帰ったんだけど、その途中で雪音を裏路地につれて行ってキスしちゃった♡」


「んぇ、まじ?!」


「まじだよ。しかも、ディープの方で。でも、そのあとは何もせずに帰ったんだ」


「え、なんでだよ。お前ならそこまでしたら最後まで行きそうなのに」


「そうした方が、この土日で雪音が私のことをたくさん考えてくれるでしょ? その証拠に……ほら」


 私はそういうと、昨日と一昨日に雪音から送られてきたメッセージを見せた。それを見た莉緒は少し動きが止まり、驚きを隠せていない声で感想を言ってくる。


「……え、これ、ほんとに雪音さんなの? なんか、前との変わりようがすごいんだけど。なんというか、愛がすごいな」


「ね。こんなに私のことでいっぱいになって愛してくれるなんて可愛いよね。ほんと幸せ過ぎて最高だよ」


「お前が一番やばいな。まぁ、幸せそうで何よりだよ。ここまで愛されたら、もう終わりでいいんじゃね?」


「いや、まだ足りないかな。だから莉緒、これからも巻き込むかもだけど、その時はよろしくね?」


「……私、いつか雪音さんに殺されそう」


「大丈夫。その時はちゃんと助けるから」


「ほんと、まじで頼むぜ。まだ死にたくないから」


「任せてよ」


 雪音と私の惚気を莉緒に聞かせた後、時間もちょうど良いということで、店を出た後は駅まで向かい、そこで解散となった。

 家に帰った後は雪音からのメッセージが来ていないか確認したが、結局その日は一日、雪音からメッセージが来ることはなかった。

 なので、ご飯を食べお風呂に入った後は、ゆっくり過ごし、明日会える雪音のことを考えながら眠りについた。






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