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人気者の彼女を私に依存させる話  作者: 琥珀のアリス
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腕を組んでました! side雪音

 私は、いつもと同じ時間に教室に入り、六華がいるか確認した。

 彼女はいつも私より早い時間に来て、一番に私に挨拶をしてくれる。そんな彼女が可愛くて、いつも彼女より遅く来てしまう。


 しかし、今日はいくら待っても六華は来てくれない。それどころか、教室のどこを見渡しても、六華の姿は無かった。


 朝に連絡を貰った時は、体調不良でも寝坊でもないと言っていた。

 なら、来る途中で何かあったのではないか。そう考えると、昨日までとは違う不安が私を襲う。

 とりあえず、自信の気持ちを落ち着かせるため、自分の席に座った。


 それから数十分後、六華が教室に入ってきた。何事もなかった事に安堵しつつ、彼女のことを見ていると、チラッと視線があった。

 いつものように挨拶に来てくれるのかと思ったが、その後彼女は視線を戻し、自分の席に向かった。


(まぁ。今は人が多いもんね。六華も私の事を考えてくれたのかも)


 そんな事を考えていると、私の周りにはいつもの友人たちが集まり話しかけてくれる。

 それでも、六華の昨日や今日の態度の変化が気になってしまい、彼女をチラチラと見てしまう。

 今まではこんな事なかったのに、今は六華の事で頭がいっぱいだ。


 私が何度目かのチラ見をした時、私の視線に気付いたのか、六華が振り返り小さく手を振ってくれた。

 私はそれが嬉しくて、私も急いで振り返そうとしたが、その前に六華は視線を戻し、友達との会話を始めてしまった。


 六華のその行動に、胸の奥がモヤっとしたが、それが何なのか分からなくて、でも無視なんて出来なくて、どうしようもない感情のまま、また彼女を見てしまう。

 六華は今、私や六華と同じ中学に通っていた葛飾莉緒さんと話をしていた。

 六華は中学時代から彼女と仲が良いようで、高校に入学してからもよく一緒にいるのを見かける。

 楽しそうに話す二人を見て、私は思う。


(いいなぁ。私ももっと六華と一緒にいたい)


 いつも一緒にいる葛飾さんを羨ましいと思いつつ、六華だけでなく、友達との交流も大切にすると決めたのは私自身のため、その感情を胸の奥に仕舞い込み蓋をする。


 それから少しして始業のチャイムがなったので、友人たちも自分の席に戻り、教室には担任の先生が入ってくるのであった。





 その後、午前の授業はいつも通り進み…いや、進まなかった。

 どうしても昨日や今日の六華の変わりようが気になってしまい授業に集中できず、またチラチラと六華を見てしまう。

 授業に集中せねばと前を向くも、気付けばまた六華を見てしまう。


 午前の授業はそんな感じで集中できず、今日習った部分もあまり覚えていなかった。

 幸いだったのは、ノートだけは書いていたので、帰ったらそれを見ながら復習をする必要があるだろう。


(はぁ。ダメだ。六華のことが気になって授業に集中できない)


 そして、時間はお昼休みとなり、またいつもの友人たちが一緒にお昼を食べるため集まってくる。

 私はいつもお弁当を持ってきて、友人たちと教室で食べている。


 お弁当の準備をしながら六華の方を見ると、彼女は葛飾さんと一緒に教室の外に出るところだった。

 六華はいつも、葛飾さんと購買でお昼を買ったあと、中庭で食べているらしい。

 今日もそうなんだろうと彼女を眺めていると、突然六華の方から葛飾さんの腕に自身の腕を絡めていた。


 それを見た私は驚愕のあまり動けなくなった。急に動きを止めた私を見て、周りの友人たちは不思議に思っているようだが、今はそれらを気にしている場合ではない。


(ど、どういうこと!? あの六華が自分から葛飾さんに腕を組んでた! 今までそんな事してるの見たことないし、私もされたことないのに!)


 六華はいつも、友人から一定の距離を置いている。そのため、手を繋ぐや腕を組むなどのスキンシップをしているところは見たことがなかったし、自分からそれをするなどありえないと思っていた。


(もしかして、昨日と今日素っ気なかったのは、私の事が嫌いになったから?それで私と別れたあと、葛飾さんと付き合うから腕を組んだりしたの?)


 私の頭は、六華が私と別れて、葛飾さんと付き合うのではないかということで一杯になり、胸の中ではまた訳の分からないモヤモヤが渦巻いている。

 このままでは良くないと思い、私は一度大きく深呼吸をする事にした。


「……すぅ……はぁ……」


突然深呼吸を始めた私を、友人たちはいよいよ心配し始めるが、私はなんでもないと微笑み、再び考える。


 (落ち着いて考えるのよ、私。六華の態度が変わったのは昨日の放課後からだ。でも、昨日は見た感じ六華と葛飾さんの間には何もなかったし、いつも通りだった。

 なら、六華が変わったのは私と別れて葛飾さんと付き合うからではない…はず。


 それに、挨拶はしてくれなかったけど、私の視線に気づいて手を振ってくれた。だから、おそらく六華が変わったのには他の理由があるはず。

 さっき六華から腕を組んだのは、たまたま…そう。本当にたまたま躓いたとか、そういう偶然のあれで腕を組む形になってしまったのだろう。とにかく、今日の放課後一緒に帰って六華に聞かなきゃ。)


 私は放課後一緒に帰って本当のことを六華に聞くことに決め、今は友人たちとお昼を食べる事にした。

 お昼をいつもより少し早めに食べ終え、私はスマホを取り出してメッセージを送る。


『今日、一緒に帰らない?』


 私がメッセージを送ってからしばらくして、六華から返信が来る。


『ごめん、雪音。今日は莉緒と一緒に帰る約束しちゃったから、今日は一緒に帰れそうにない。それと、しばらくやる事があるから、金曜日に一緒に帰ろ?』


 その返信を見て、私は絶望感に苛まれる。今まで私から誘った時、六華から断られる事はなかった。都合が悪くて、六華から今日は無理だと連絡を貰った事はあったが、それは六華からの誘いだったり、電話など日課になっているものが無理になった時だ。


 決して今回みたいに、私からの誘いを断られた事はなかった。それに--


(また、葛飾さんだ。…もしかして、金曜日まで無理っていうのも、葛飾さんと何かあるからなの?)


 私の感情は、また悪い方へと行きそうになるが、それでも金曜日は一緒に帰れるし、六華にも都合があるだろうから無理強いはできない。


『約束しちゃったなら仕方ないね。分かった、金曜日は絶対一緒に帰ろうね』


 だから私は、金曜日だけは一緒に帰るため、絶対とつけてメッセージを送る。

 それでも私は、不安と謎のモヤモヤが消えず、落ち着かない気持ちのままお昼休みを過ごした。







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