秘宝とは
秘書室を後にして私達は自室へ戻った。
部屋に着いた時、自領から戻っていたのはボノスとナーダで
ロバールはまだ戻っていなかった。
「2人とも、お帰りなさい」
「アモル様こそ、お帰りなさい」
「……はい」
此方を労って声をかけてくれるボノスと
静かに頷くナーダ。
「こちらは秘宝について調べて見たのだけれど……
あまり良い結果は得られていないわ」
先程の秘書室であった事をリューゲが掻い摘んで説明してくれる。
レ・ワイズ様の手紙について説明した時
2人ともの表情が少しだけ硬くなった。
「……秘宝探しと呪いの終止符を打つことは繋がるのでしょうか」
ナーダは静かに紡ぐ。
「それは今のところなんとも言えませんね、未来は不確定ですから。
ただ、マタル様が言った言伝は恐らく本当の事だと思います。
……彼は、嘘はつきませんから」
ボノスがナーダを宥めながらこちらを真っ直ぐに見つめて来た。
彼の人を見る目は異常なほどに当たるので
きっとマタルに対するそれも信頼に値するのだろう。
「とりあえずは、秘宝集めをするしか無いということだな」
重たい沈黙を破ったのはヴァールハイトだった。
彼の言う通り、このままこの部屋で沈黙を貫いたところで何も解決しない。
それどころか、これは未来への歩みを止め
託された手紙すらも無に帰してしまう行動だ。
今の私に出来ることは、ただ前に進むだけ。
考えることが出来なくても歩みを止めない事。
それだけなのだ。
そう決意し、秘宝集めをしようと
何処から行くべきかと話しているとロバールが部屋に戻ってきた。
「アモル。秘宝についてなのだが……」
ロバールが口にしたのは
私たちが秘書室で探し求めていた『秘宝』についてだった。
「領土に帰った時に先代に聞いてみたのだが
『各家の引き継ぐ物だな』とだけ話してくれてな……。
それが一体何なのかまでは教えて貰えなかったが、それを見つけに各地へ赴く必要がある様なんだ」
ロバールの持って帰ってきてくれた情報を元に、私達は秘宝探しを始めることとなった。
行先も分からない
終わりの見えない旅を始めるのだ。
「カムラ様はブレイク領に向かったんだろう?……後を追うか?」
ヴァールハイトは此方を横目に見ながら問いかけた。
きっと私の心情を察しての事だろう。
――姉の後を追い続けるかどうか――
だから私は
「秘宝に関する手掛かりが少ない以上、カムラ姉様の後を追う方が正しい選択の様にも思うのだけれど」
素直な思いを口にした。
ここで悩んでいても仕方ないのだ。
先ずは踏み出す事が先決なのだから。




