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糸の半分  作者: 幻月
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言伝

「……、お1人では後悔の海に沈みかねませんが

こうやって支えてくれる仲間もいるようですしね……」


問いかけ、ではなく呟き


独り言のようにマタルはこぼした。


「わかりました。……現状私がレ・ワイズ様よりお預かりしている言伝をお伝えします」


『この国の最初の皇女が悲劇の始まり。

姉妹が争うのも呪い。

この呪いを解くのはククルスとカムラのいる時でないと困難。

けれどもその正確な方法は未発見。


呪いの正体に気付けるのは先見のある姉のみで

呪いに振り回されるのは姉妹のどちらも


まだ見ぬククルスの娘よ

貴方が姉を愛しているのであれば

貴方の代でこの呪いを終わらせる為に動いて欲しいのです。


けれども、結末はきっと幸せなものではないでしょう。


貴方の思い描く幸せな未来は

手が届かなくなるかも知れません。


それでも、1人でないことは忘れないで下さい。


身勝手なお願いでごめんなさい』


「……以上です」


2人が口を挟む隙などなく、マタルは言伝を述べた。


「この言伝がどういう意味を持つのか、それは私には計り知れません。

ただこの内容は私がレ・ワイズ様の騎士として仕え始めた頃にお聞きしたものです。


この言伝、カムラ様はご存じではありません。


呪いとやらを解く方法を見つける為にも

秘宝探しの旅に出るのが先決かと思います」


カムラ姉様の知らないレ・ワイズ様の言伝。


これには何か意味があるのだと思う。


それに、姉妹で争っていたはずなのに

呪いを解く鍵はなぜか『ククルス』と『カムラ』なのだ。


そこにも何かあるのだとは思うけれど

今の私では答えが出せない。


「アモル……」


心配そうなリューゲの声が響く。


「大丈夫、今の私にはみんながいるからね」


1人ではない


それが私の心を支えてくれていた。


「私からお伝えしておきたいことは以上です」


マタルはそれ以上は何も告げずに足早に秘書室を去っていった。


 マタルもハスグラッジも居なくなった秘書室は静まり返っていて


世界に置き去りにされたかの様な感覚を覚えた。


いや、この感覚はその昔

まだリューゲやティラノと出会う前の私が抱いた感覚だ。


誰も私の本質など見ていない

皇位継承者としてのアモルにしか興味を持たれないのだと

そう信じていた頃の私だ。


 けれども今は違う。

継承者としてのアモルではなく、ただのアモルとして

私を見て接してくれて、信じてくれる人がいる。


「リューゲ、ヴァールハイト。

とりあえずみんなの所へ戻ろうか」


継承の話を各地に伝えに戻った騎士たちがそろそろ帰ってくる頃だろう。


これからの事を信頼出来る人達と話し合って、考えなければならない。


それが今の私に出来る唯一の事だろう。


そう決意し発した言葉に2人は


少しだけ口角を上げて頷いてくれた。

 

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