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糸の半分  作者: 幻月
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理解できないもの

「姉上…。」

 

「カムラ!居たのか…。」

 

 ほぼ同時に言葉を紡いだ。


「アモルが愛らしいのは認めるけれど

 貴方にアモルは渡せないわよ。

 その子が欲しいなら、まずは私に剣で勝ってみせて?」

 

冗談めかして姉上は薄く微笑む。


ーそういえば、この頃はまだ姉上は微笑んでくれていた。

 気付いたときにはもう、私たちの距離は離れきっていたー

 

「欲しいとかじゃ無くて……

 いや、カムラに勝つとかあと10年は軽くかかるだろうな…。」

 

どうしよう、と後頭部をしきりに掻く彼を見てか

姉上が冗談を言う間柄と知ってか

気づくと私の中にあったはずの警戒心は薄らいでいた。


それを知ってか知らずか姉上は真っ直ぐ私の元へと近付いた。

そして少し屈んで、一息吸って

 

「アモル、今日はねこのデュオと私が

正式に主従契約を結ぶ儀式があるの。

……貴女も出てみないかしら?」

 

 まだ幼い私に、儀式への参列などした事のない私にそう言った。

 

 日に二度も呆気にとられ動けないことなどなかった。

 

「……なぜ。」

 

どうにか紡げたのはただ一言だけだった。


  


「貴女はまだ儀式への参列したことは無いでしょう?

作法を学んでおいて損することはないからね。」

 

ー騎士との主従契約の儀式ー


それは皇帝を継ぐ意志を示すもの。

その作法を学べと姉上は言った。


それが意味することを幼いながらも私は知っていた。

 

ー皇帝の座を争えー


ー私と闘えー

 

そう姉上は言っているのだと。

 

「私は姉上が皇帝を継ぐべきだと思っています。だから」

 

「違うのよ。そうではないの。

そうなってしまってはいけないの。」

 

ー私は皇帝の座を捨てるー

 

そう紡ごうとした口は姉上の手によって止められ

紡ごうとした言葉は言葉で遮られた。

 

目の前にあるのは悲痛に眉をしかめる姉上の顔だった。

 

何故そんなにも悲しむのか


何故こんなにも悔しいのか


何故喜んではくれないのか


私には何一つとして理解できなかった。

 

私が継承権を棄ててしまえばこんな争いなど起こらなくていいのに。

幼い私には何一つとして理解できなかった。

 

(理解が追い付いていないのは今も同じなのだけれど)


心の何処かでそう感じた。

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