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プロローグ
「ほら、もう行かないと約束に遅れてしまうよ!」
と明るい声が響く。
次いで
「お前は急ぎすぎだ。
まだ時間はあるから大丈夫だ、アモル。」
と落ち着いた声が私の名を呼ぶ。
(姉上…私はこれで良かったのでしょうか。
他に方法は無かったのでしょうか。)
答えの無い問いかけをずっと繰り返して来た。
誰も、その問いには答えてくれない。
答えも見つからないまま
ここまで来てしまった。
それでも一緒に探してくれる人が傍にいる。
それが、私がこの国を守るために
この世界で生きていく為に必要な事であり
恐らくそれが姉上が望んだ未来なのでしょう。
私は自分の思考に区切りをつけ
私を待っている二人に微笑む。
「はい。…そろそろ行きましょうか」
(姉上が守って下さったこの命。
姉上が愛したこの国を守るのが私の
私にしか出来ない使命なのでしょう。
四季の移ろうこの国で。
貴方が愛したこの国で私は生きて行きます。)
これは、インズ・アレティ王国
現女帝アモル・インズ・アレティと十の騎士が紡いだ軌跡。